ニューノーマル時代におけるSNSマーケティング戦略

“コロナ以降”のSNSマーケティング施策はどうあるべきか?見直すべきポイントは?(後編)

コロナ禍を経て「ニューノーマル時代」に突入した現在、企業のSNSマーケティングをいかに見直していくべきかを、全2回にわけて考察。後編は、SNSマーケティング施策全体の見直しについて解説。
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2020年も残り1か月ほどとなりましたが、新型コロナウイルス感染拡大が収束する見込みは立っていません。しかし、「afterコロナ」を座して待つことなく、人々の思考・行動・生活様式は大きく変わり、「ニューノーマル時代」に突入したといえるでしょう。

このような情勢の中、企業のSNSマーケティングはこれまで通りでよいのでしょうか? もちろん答えは「No」です。時代の変化、生活者の変化にあわせて、SNSマーケティング戦略も見直し、必要に応じて変更していくべきでしょう。

本記事では、「ニューノーマル時代におけるSNSマーケティング戦略」を、前後編の2回にわけて考察します。

前回(前編)は、生活者の消費意識や行動変化について調査データを確認しながらSNSマーケティングのKGI(目的・ゴール)やペルソナの見直しを中心に解説しました。今回(後編)は、SNSマーケティング施策やKPIの見直しについて解説していきます。

ニューノーマル時代におけるSNSマーケティング戦略

SNSマーケティングのKGIやペルソナを、生活者のデータをもとに見直そう(前編)

コロナ禍を経て「ニューノーマル時代」に突入した現在、企業のSNSマーケティングをいかに見直していくべきかを、全2回にわけて考察。前編は、KGIやペルソナの見直しを中心に解説。

生活者は「ブランドの信頼・信用・安心」を重視するように

前編でもデータを示したように、SNSを利用する生活者の数、生活者のSNS利用時間は、いずれも増えています。SNSマーケティング施策は「止める」「自粛する」のではなく、「生活者の変化に合わせて見直し、継続する」ことが望ましいでしょう。

KPMGインターナショナルでは、消費者の価値観・購買行動の変化などを調べるため、世界主要11か国の一般消費者を対象にアンケート調査を行っており、大変興味深い考察がなされています。今回は、そのなかから2つを取り上げ、SNSマーケティング施策にどう反映すべきかを解説したいと思います。

  1. 顧客体験の多くが、急速にデジタルに移行
  2. 生活者にとってブランドの「信頼・信用・安心」が重要な要素に
出典
“Consumers and the new reality”調査に関するリリース|KPMG
https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2020/09/new-normal-customer-20200901.html
・調査期間:2020年5月末~6月中旬
・有効回答:各国1,000名以上11か国、合計12,334名

(1)顧客体験の多くが、急速にデジタルに移行

この調査によると、ステイホームが拡大したことで、より安全・簡単に情報にアクセスしたいというニーズが高まり、これにともない急速なデジタル化が進んでいることがわかりました。家族や友人とのコミュニケーションもメッセージアプリやSNSへの移行が進んでおり、企業内ではテレワークの導入が拡大しました。こうした傾向は、顧客に提供するサービスにおいても進むと考えられます。

前編ではペルソナの見直しを解説しましたが、「顧客体験=カスタマージャーニー」も大きくデジタルシフトしていると想定して、見直しをかけるのがよいでしょう。

「カスタマージャーニー」とは、顧客(ペルソナ)が商品を認知し、情報を探索し、他商品と比較し、購買に至るまでの行動・思考・感情などのプロセスのことです。図示したものは「カスタマージャーニーマップ」と呼ばれます。アフターサポートまでを含むこともあります。

(2)生活者にとってブランドの「信頼・信用・安心」が重要な要素に

「新型コロナ後の購買要因として重要なもの」という設問では、「価格に見合った価値」「買いやすさ」に続いて、「ブランドへの信頼」が3位となっています。

また「“信用”のイメージに影響する要因」を聞くと、「個人的な安全」「地域社会」「社会的良心」などに意見が分散しています。このことからわかるように「信頼・信用・安全」といっても、その意味するところは多面的です。

実際の企業活動においてはもちろん、SNSマーケティング施策全般にも以下に挙げたような要素を意識して含め、「信頼・信用・安心」に値する企業・ブランドであることを、生活者に認知してもらえるよう努めるのがよいでしょう。

対生活者での「信頼・信用・安心」
  • 「この企業の商品は、人体に安全な成分で作られているか」
  • 「この企業は、利益の追求よりも顧客への価値提供を優先しているか」
  • 「この企業の顧客情報は、安全な状態で守られているか」
対社会での「信頼・信用・安心」
  • 「この企業は、どんなCSR(企業の社会的責任)活動に取り組んでいるのか」
  • 「この企業は、人権に対してどんなポリシーを持っているのか」
  • 「この企業は、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に取り組んでいるか」

生活者が「コロナ収束後にやりたいこと」を考察する

コロナ禍によって、生活者の嗜好にも変化が生じている可能性があります。ブランド総合研究所とアイブリッジが実施した調査では、「新型コロナの感染拡大が収束し、自粛が解除されたら、あなたはどんなことをしたいと思いますか」の問いに対して、約半数が「外食」「国内旅行」を挙げました。「ショッピング」「遊園地やレジャー施設」も上位に入り、外出を願う生活者の姿が浮き上がります。

出典
新型コロナウイルスの影響に関する消費者調査|ブランド総合研究所、アイブリッジ
https://news.tiiki.jp/articles/4504

年代別に見ると、20代と60代以上は「旅行したい」という人が多く、“旅行>外食”だったのに対して、30~50代は“旅行<外食”の傾向が見られました。地区別では、関東と中部在住者は特に旅行志向であったりと、年代・地域・収入などの属性によって差異があるようです。

自社のペルソナはどれに当てはまるのか見極めた上で、SNSマーケティング戦略に生かしていくことが望ましいでしょう。

SNSマーケティング施策を見直そう

生活者に「信頼・信用・安心」をいっそう感じてもらえるような、そして、生活者の嗜好の変化にフィットするような、ニューノーマル時代のSNSマーケティング施策を進めるには、どんな点に留意すべきでしょうか。以下4つの観点から注意すべきことを解説します。

  1. 継続性
  2. コミュニケーション
  3. 一貫性
  4. 投稿内容(信頼・信用・安心を心掛け、生活者の“〇〇したい”気持ちに寄り添う)

(1)継続性

常に、SNSで生活者とつながり続けましょう。新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛期間中に閉店・閉館中だった店舗や施設でも、公式アカウントによるSNS投稿を続けた企業は、ファン・フォロワーとの「心のつながり」、ひいては信頼関係が維持できた可能性が高いでしょう。

継続的なSNS投稿は、「ザイオンス効果」(同じ人や物に接する回数が増えれば増えるほど、その対象に対し好印象を持つようになる効果)も期待できます。逆に、投稿頻度が減ってしまうと、ファン・フォロワーのタイムラインに表示されにくくなるなど、SNSのアルゴリズム上もマイナスに働くリスクがあります。

(2)コミュニケーション

一方的に企業から情報発信するのではなく、ファン・フォロワーとコミュニケーションできるというSNSのメリットを存分に活用しましょう。良質なコミュニケーションが増えることで信頼関係の構築にもつながります。SNSでのコミュニケーションであれば濃厚接触を避けられることもあり、ニューノーマル時代にはさらに増えていくべきでしょう。以下に具体的施策例を挙げておきます。

「インタラクティブ」機能を活用する

Twitterの投票機能、FacebookやInstagramストーリーズのインタラクティブステッカー(クイズ、アンケート等)機能などをこれまで以上に活用してファン・フォロワーからの回答を引き出し、それに反応しましょう。

積極的なコミュニケーションを実施する

公式アカウントの投稿に対して、ファン・フォロワーからコメントが付けられたら、「いいね!」や返信を行ってみましょう。さらに一歩踏み込むなら、みなさんの会社名・ブランド名・商品名・サービス名などでSNS検索を行い、ポジティブなSNS投稿を見つけたらそれに「いいね!」したり、シェア・リツイートしたりするのもよいと思います。

コムニコの調査によれば、「企業の公式Twitterアカウントからリツイート、返信、いいね!されるとどう感じますか?」という問いに対し、92%のユーザーが「好感が持てる」と答えています。「いきなりファンに話しかけたら嫌われないだろうか?」と心配する必要はないでしょう。積極的なコミュニケーション(アクティブサポート)をぜひ行ってください。

参考
We Love Social「2020年に押さえておきたい!Twitterキャンペーン成功のコツ」|コムニコ
https://blog.comnico.jp/we-love-social/tw_research

「ライブ配信」機能を活用する

SNSが提供しているライブ配信機能を使って、新商品のお披露目、サービス発表会、ファンミーティングを開催してみましょう。ライブ配信中にファン・フォロワーからのコメントや質問を受け付けて、それに対してリアルタイムに回答することで、より活発なコミュニケーションが期待できます。

FacebookおよびInstagramには「ライブショッピング」機能が実装される予定です。商品の使い方のアイデアや開発背景などファンが知りたい情報をライブで発信しつつ、そのまま購入までの導線をシームレスに繋げることができる機能ですので、活用できる企業も多いのではないでしょうか。

参考
We Love Social「【Facebook Japanインタビュー】新しくなったショップ機能のポイントと今後の展開」|コムニコ
https://blog.comnico.jp/we-love-social/facebookshop-interview

(3)一貫性

企業の公式アカウントのポリシーからトーン&マナーに至るまで、一貫性(統一感)を大切にしましょう。ひんぱんに投稿を見てくれるファン・フォロワーに「いつもの(中の人の)投稿だ」と感じてもらうことで、親しみやすさが生まれ、安心感・信頼度の向上も期待できるでしょう。

逆に、投稿のたびに言葉遣いやファン・フォロワーとの距離感がコロコロ変わってしまうと、「言動がコロコロ変わる人(信頼できない人)」「つかみどころのない人(ちょっと薄気味悪く不安にさせる人)」という印象を抱かれかねません。改めて、社内の「SNS投稿マニュアル」を見直し、ファン・フォロワーへの対応内容や、投稿のトーン&マナーに一貫性を持たせましょう。

(4)投稿内容(信頼・信用・安心を心掛け、生活者の“〇〇したい”気持ちに寄り添う)

SNS投稿は継続的に行うのが望ましいとはいえ、その投稿内容には配慮も必要です。ペルソナおよびカスタマージャーニーの変更を受けて、「投稿日時」を変更したり「投稿テーマ」を見直したりすることも必要でしょう。

投稿内容には以下の5要素のいずれか1つまたは複数が含まれているのが望ましい、という点は従来と変わりませんが、ニューノーマル時代にはさらに「企業/ブランドの信頼・信用・安心」「生活者の希望に寄り添う内容」も要素に加えることを意識したいものです。

企業のSNS投稿に含めたい要素
  • タイムリーである(例:時節・記念日・ニュース・トレンド)
  • 参加型である(例:クイズ・アンケート・間違い探し・迷路)
  • 親しみやすい(例:キャラクター・動物・舞台裏・スタッフ紹介)
  • 共感できる(例:おいしそう・かわいい・驚いた・懐かしい)
  • 役に立つ(例:豆知識・意外な使い方・ランキング・試してみた)

       +

  • New! 企業/ブランドの「信頼・信用・安心」
  • New! 生活者の願い「○○したい」に寄り添う内容

KPIも見直そう

KGI(ゴール)やペルソナ、具体的なSNSマーケティング施策を見直したことで、当然ながらKPIも見直すことが必要でしょう。とくに「来店客のクーポン利用率」のように実店舗への来店促進を前提としていたKPIは、カスタマージャーニーのデジタルシフトにあわせて、たとえば「ECサイトでのクーポンコード利用率」などへの変更が必要でしょう。
また、KPIの値を決める際に「同業他社のSNSアカウントの数値(フォロワー数など)」を参考にしていたのであれば、大きな変化がないかどうか、改めて最近の数値を確認しておきましょう。前編でも解説しましたが、コロナ禍においてSNS利用者数も利用時間も増加の傾向にあります。

SNS投稿のリーチやインプレッションの数値をKPIにしている場合、コロナ禍以前にくらべ数値に変化が現れている企業もあるでしょう。その数値の変化に一喜一憂する前に、「コロナ禍(生活者の行動様式の変化)によるものなのか」「SNS投稿内容が影響しているものなのか」、冷静に分析することが大切です。前者が理由であれば、KPI値の調整も必要かもしれません。

今回は、実際のSNSマーケティング施策の見直しやKPIの見直しなどについて解説しました。前編とあわせてお読みいただき、貴社の「ニューノーマル時代のSNSマーケティング戦略」にお役立ていただけたら幸いです。

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