ニューノーマル時代におけるSNSマーケティング戦略

SNSマーケティングのKGIやペルソナを、生活者のデータをもとに見直そう(前編)

コロナ禍を経て「ニューノーマル時代」に突入した現在、企業のSNSマーケティングをいかに見直していくべきかを、全2回にわけて考察。前編は、KGIやペルソナの見直しを中心に解説。
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2020年も残り3分の1を切りましたが、新型コロナウイルス感染拡大が終息する見込みは立っていません。しかし、「afterコロナ」を座して待つことなく、人々の思考・行動・生活様式は大きく変わり、「ニューノーマル時代」に突入したといえるでしょう。

このような情勢の中、企業のSNSマーケティングはこれまで通りでよいのでしょうか? もちろん答えは「No」です。時代の変化、生活者の変化にあわせて、SNSマーケティング戦略も見直し、必要に応じて変更していくべきでしょう。

本記事では、「ニューノーマル時代におけるSNSマーケティング戦略」を、前後編の2回にわけて考察します。

今回(前編)は、生活者の消費意識や行動変化について調査データを確認しながらSNSマーケティングのKGI(目的・ゴール)やペルソナの見直しを中心に解説します。次回(後編)では、SNSマーケティング施策の見直しやKPIの見直しなどについて解説します。

生活者のSNS利用動向の変化

まず、生活者のSNS利用動向にどんな変化が起きているかを確認し、戦略の見直しに生かしましょう。

TwitterやFacebookによる発表

2020年7月・8月に発表された主要SNSプラットフォーマーの決算発表によれば、「巣ごもり」需要の影響からか、世界的にSNS利用者が増えていることがわかります。

Twitter

mDAU(収益につながる日間アクティブユーザー)は、前年同期比で34%増加し、過去最高の1億8,600万人に。

出典Q2 2020 Letter to Shareholders
https://s22.q4cdn.com/826641620/files/doc_financials/2020/q2/Q2-2020-Shareholder-Letter.pdf

Facebook

DAU(デイリーアクティブ利用者数)は、17億9,000万人で前年比12%増。MAU(月間アクティブ利用者数)は、前年比12%増の27億100万人で、増収増益に。

出典Facebook社 2020年第2四半期(4月-6月)業績ハイライト
https://about.fb.com/ja/news/2020/07/2020-second-quarter-results/

ICT総研による調査

日本国内の数字についていえば、2020年7月29日にICT総研が発表した「2020年度SNS利用動向に関する調査」の結果が参考になるでしょう。

出典ICT総研「2020年度SNS利用動向に関する調査」(調査時期:2020年7月、回答数:4,400人)
https://ictr.co.jp/report/20200729.html

日本のSNS利用者数

日本国内におけるSNSの利用者(アクティブユーザー)は年々増加しており、2020年末には7,975万人(普及率80%)に達する見込み。日本の人口は減少していますが、SNS利用者数は当面増え続け、2022年末には8,241万人まで拡大すると予想されています。

日本におけるSNS利用者者数(出典:ICT総研「2020年度SNS利用動向に関する調査」より)

SNS利用時間の変化(1年前との比較)

1年前と比較すると、ほとんどのSNSで「利用時間が増えた」が過半数を占めました。たとえばTikTok利用者のうち79%、YouTube利用者のうち65%、Instagram利用者のうち53%、Twitter利用者のうち53%が「利用時間が増えた」と回答しています。

日本におけるSNS利用時間の変化(出典:ICT総研「2020年度SNS利用動向に関する調査」より)

SNSを利用する理由

SNSを利用する理由について聞くと、「知人の近況を知りたい」がもっとも多く43%、「人とつながっていたい」33%が続きました。コロナ禍による外出自粛が続いていることから、コミュニケーション手段、あるいは“人とのつながりの場”としてSNSを利用しているユーザーが多いと推察されます。「自分の近況を知ってもらいたい」「投稿を見てもらいたい」「『いいね』などのリアクションが欲しい」など、SNSを自己表現の場として捉えているユーザーも相当数おり、これも外出自粛によってリアルコミュニケーションが激減した影響を受けた結果といえそうです。

SNSを利用する理由(出典:ICT総研「2020年度SNS利用動向に関する調査」より)

なおアライドアーキテクツによる調査では、新型コロナ以降に利用機会が増えたSNSについて、利用する理由としては、「友人・知人等とのコミュニケーション」よりも「趣味/好きなことに関する情報収集やコミュニケーション」が、Twitter、LINE、Instagram、Facebookの全SNSで上回っていました。

出典アライドアーキテクツ「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」(調査時期:2020年4月8日~12日、回答数:4,157人)
https://service.aainc.co.jp/product/echoes/voices/0028

「もっとも利用する頻度が増えたSNS」を現在利用する目的(出典:アライドアーキテクツ「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」)

SNSマーケティングに限らず、そもそもマーケティング施策の目的・ゴール(KGI、Key Goal Indicator:目標達成の指標)は、不変なものではありません。環境の変化、社会の変化、ペルソナの変化、会社の戦略の変化などを受けて、柔軟に変更することも必要です。

なかでも今回のコロナ禍のようなケースでは、生活者の消費意識・行動や働き方の変化を無視することはできないでしょう。

ヴァリューズによる調査

ヴァリューズによる調査「消費者行動変化とアフターコロナへの展望」の結果も、大変示唆に富むものでした。

出典ヴァリューズ「消費者行動変化とアフターコロナへの展望」(調査時期:2020年4月30日~5月7日、回答数:25,884人)
https://www.valuesccg.com/news/20200603-1527/

以下、私が特に注目した点を挙げておきましょう。

  • 新型コロナウイルスの影響拡大をきっかけに興味を持ったことトップ3
    「健康、医療、病気」17.0%、「節約」15.6%、「無料動画配信サービス」15.5%
    → 在宅時間が長くなったことから、無料で見られる動画を楽しみ始めた生活者が多いようです。
  • 新型コロナウイルスの影響拡大後インターネットで購入・契約したもの
    「日用品、洋服、化粧品」については、購入した割合は若年層ほど高いが、購入継続意向がある割合は、高年齢層ほど高い傾向
    → 高年齢層は「インターネット購入」を一度試せば、その便利さから継続する意向が高いといえるでしょう
新型コロナ拡大後にインターネットで購入したもの(女性年代別)(出典:ヴァリューズ「消費者行動変化とアフターコロナへの展望」より)
  • 外出自粛で変わった休日・余暇の過ごし方
    増えたトップ5が「家で行うことができる運動」「掃除」「動画配信サービスでの動画鑑賞」「料理・お菓子作り」「ゲーム」
    → 休日・余暇は家で過ごす人が増えており、これはbeforeコロナからの大きな変化といえるでしょう。

こうした「生活者」の変化に加えて、社会情勢の変化、自社社員の働き方の変化なども、KGIの見直しに影響を与えます。

SNSマーケティングKGIの見直し例

次に、店舗型ビジネスを展開している企業におけるSNSマーケティングのKGI見直しの例を挙げてみましょう。

withコロナ/afterコロナにおける生活者の変化、ビジネス主軸が「実店舗→ECサイト」へと大きくシフトしつつあることを踏まえると、KGIは以下のように見直しできるのではないでしょうか。

  • ブランド認知度向上 → “オンラインでの”ブランド認知度向上
  • 来店意向向上 → ECサイトへの誘導・購入促進
  • 来店頻度の向上 → ECサイトでの定期購入率の向上
  • 良質なクチコミの増加 → オンラインでの良質なUGCの増加

みなさんの会社でも、SNSマーケティングのKGIについて、変更が必要か否か、変更が必要な場合はどう変更すべきか、今一度確認してはいかがでしょうか?

生活者の変化によりそったKGIの見直し

ペルソナも見直そう

「ペルソナ」とは、マーケティングのターゲットをより具体化した“自社にとってもっとも重要で象徴的なお客様像”です。ペルソナを決めておくことで、SNS投稿コンテンツ案を考えたり、広告のターゲティングやキャンペーン内容を検討したりする際などに役立ちます。

コロナ禍により、ペルソナのプロフィールや生活環境、思考、一日のタイムテーブル等も見直し、適切な修正をかけることが大切でしょう。以下、見直すポイントをいくつか例示します。

ペルソナの居住地は変わっていないか?

「コロナ禍をきっかけとした郊外への引っ越し意向は5.3%、都心への引っ越し意向も5.3%で拮抗」という調査結果があります。

出典大東建託「新型コロナウイルスによる住まいの意識変化やテレワーク実施状況」(調査時期:2020年6月16日~6月22日、回答数:2,081人)
https://www.kentaku.co.jp/corporate/pr/info/2020/coronachosa2020.html

ペルソナの働き方は変わっていないか?

「テレワークの実施率は67.3%」「従業員規模が大きくなるに従い、実施率は高い」「業種別では小売業が全業種で唯一『実施する予定はない』が『実施している』を上回った」などを示す調査結果などがあります。

出典東京商工会議所「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」(調査時期:2020年5月29日~6月5日、回答数:1,111社)
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1022366

ペルソナの趣味・余暇の過ごし方は変わっていないか?

上述のヴァリューズの調査で示されているとおりです。アウトドア派がインドア派に変わらざるを得ない状況であることが推測されます。

出典ヴァリューズ「消費者行動変化とアフターコロナへの展望」(調査時期:2020年4月30日~5月7日、回答数:25,884人)
https://www.valuesccg.com/news/20200603-1527/

ペルソナの一日のタイムテーブルは変わっていないか?

テレワーク導入で通勤がなくなったり、家で過ごす時間が長くなったりしている可能性があります。結果的に、SNSを使う(=オンラインになる)曜日・時間帯にも変化が生じているはずです。SNSの利用状況は、管理ツールを使ってある程度調べることもできます。以下を参考にしてみてください。

Facebook

Facebookページのインサイトの[ファンがオンラインの時間帯]セクションで、自分のページに「いいね!」している利用者がFacebookを利用している曜日や時間帯を確認することが可能です。

出典自分のFacebookページに「いいね!」している人の利用者データを見るには、どうすればよいですか|Facebook
https://www.facebook.com/help/118314051609562

Instagram

インサイトの[オーディエンス]タブで、「平均してフォロワーがオンラインになっている時間」「平均してフォロワーがオンラインになる曜日」を確認することが可能です。

参考投稿への反応を日々把握! 「Instagramインサイト」を使って、運用効果を測定しよう|Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2020/02/13/35183

ご参考までに、下図はbeforeコロナ時代に作ったペルソナの一例です。黄色いマーカー部分が見直すべきポイントといえるでしょう。みなさんの企業でも、SNSマーケティングのペルソナに修正が必要かもしれません。ぜひ見直してみてください。

次回(後編)では、SNSマーケティング施策の見直しやKPIの見直しなどについて解説します。どうぞお楽しみに。

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