情報発信力強化=オウンドメディアのサイト力向上! その3つのポイントとは?
新型コロナウイルス問題は、国内市場に大きな影響を与えている。売上をはじめとした数値面はもちろん、消費者マインドが根底から変化する可能性についてもしばしば議論されている。「その方向性の1つがインターネットのさらなる活用であり、外出自粛で対面販売が減るなか、Webサイトの重要性はますます高まっていくとみられる」と語るのは、のれんの八木康介氏だ。
CMS「NOREN」で知られるのれんの八木氏は、オンラインで行われた「Web担当者Forum ミーティング 2020 春」のセッションで、テレワークが進むなかで求められるオウンドメディアの強化ポイントについて解説した。
テレワーク普及で、購買行動の変化が加速
Webサイトの在り方が新型コロナウイルス問題発生以降、変わってきているという指摘は多い。八木氏は特に「テレワーク」の普及が、その背景にあると分析する。
従業員1,000人以上の大企業を対象にした調査によれば、コロナ問題をきっかけに今年2月以降はじめてテレワークを導入したという企業は45%。これは導入済みだった企業39%よりも多い数値である。また、コロナ問題に合わせて初めてテレワークを実施したという個人は53%にも上った(参考:大企業のテレワーク導入比率は8割超、テレワークの障壁は「紙・ハンコ業務」【ドリーム・アーツ調べ】)。
たとえば企業が設備投資を行う際には、担当者がイベント・展示会・見本市などに足を運び、製品販売企業の営業担当者とコンタクトをとり、面談を重ねて購買に至るというケースが一般的だった。
しかし最近は、設備投資検討者はあらかじめWebで情報収集を済ませてしまい、営業担当者を頼るケースが相対的に減っているという。営業担当者が“売り込み”をかける余地が減っているのだ。
こうした傾向がすでに出ているところへ、今回のコロナ問題によって対人接触が敬遠されるようになった。アフターコロナの時代には、ますます「Webサイトからの情報収集」が重視されるだろうというのが八木氏の見立てだ。
オウンドメディアを作るなら、まずはマーケツールより「サイト力」
企業がWebでの情報発信を強化しようとする場合、有力な選択肢となってくるのが、今回の講演の本題である「オウンドメディア」だ。顧客の悩み、課題解決に役立つコンテンツを多数掲載し、見込み客を呼び込む。購買を喚起するような仕組みも盛り込みながら、最終的にはコンバージョンに至ってもらうというのが、基本的な考えである。
また近年は、見込み客の動向を正確にトラッキングするためにMA(マーケティングオートメーション)、ページ閲覧履歴に基づいたレコメンド機能などをオウンドメディアへ組み込むことが一般化した。
ただ八木氏は、そうしたマーケティングツールに飛びつく前に、まずはサイト制作をしっかり行うことが重要だと主張する。
集客ができても、そもそものサイトのクオリティが低ければ客はすぐに離れていく。物理的に見られない、コンテンツがない、課題解決できないオウンドメディアでは意味がない(八木氏)
「サイト力」を強化する3つのポイント
ここから八木氏は、オウンドメディアの“サイト力”を強化させる3つのポイントについて、順番に解説していった。
- サイトのクオリティ向上
- 誰でもサイトが見られる
- コンテンツ管理の基盤構築
1. サイトのクオリティ向上
ユーザーは、そもそも構文上のエラーやリンクミスがあるWebサイトを利用したがらない。当然の指摘ではあるが、オウンドメディアはページ数が多くなりがちなため、少数の担当者が人力でそれらの予防策を実施するのはなかなか困難だ。
サイトチェックのポイントは、次の3つだと八木氏は語る。
- クオリティ
- アクセシビリティ
- SEO
八木氏は、クオリティチェックを効率的に行うためには、やはり専門のツールを活用するのが早道だとし、上記の3つのポイントに関して明確なスコア表示が可能なツールとして、デンマーク・Siteimprove社製の「Siteimprove」を例示した。サイトの品質を明確に点数化してくれる機能を軸に、リンク切れ、SEO対策の不備や改善方法などをピンポイントで教えてくれる。
2. 誰でもサイトが見られる
アクセシビリティ対応はWebサイト運営でも非常に重要な要素だ。Webサイトを見るためのハンディとなる症状は、老眼、色覚異常、パーキンソン病、難読症などさまざまあるが、実は障害を持っている方はインターネット利用率が高い傾向にあり、対応を疎かにはできないという。
なお、前述のSiteimproveでもアクセシビリティ対応状況の確認はできるが、人によって障害の状況は異なるため、すべての対応は物理的に難しい。
この課題に効果的なツールとして紹介されたのが、フランス・FACIL'iti社製の「FACIL'iti(ファシリティ)」だ。Web管理者は専用のタグを埋め込んでおけば、あとはサイト閲覧者自身が症状に合わせてサイトの見た目を変更できる。
3. コンテンツ管理の基盤構築
オウンドメディアは、サイトを構築すれば終わりではなく、コンテンツの日常的な更新など、運用があってこそ成り立つ。
Webサイトのローンチは、ゴールではなく当然スタート。お客様の解決に役立つための仮説を立て、それに合わせてPDCAサイクルを回していかなければならない(八木氏)
八木氏はPDCAサイクルを回す例えとしてコンビニをあげた。お店のオープンはゴールではなく、以降、発注、陳列、商品の売れる/売れないを検証して改善を繰り返していく。Webサイトもそれと同じだ。その意味において、コンテンツの追加・管理を容易にするCMSは重要なファクターとなる。
CMS「NOREN」でサイト運用をアシスト
CMSは「Content Management System」の略称で、作成したWebコンテンツの管理・公開承認・配信・サイトデザインの変更などを一元的に行える。
のれんが提供しているCMS「NOREN」は、国内導入実績730社を誇る。大手ではセブン銀行、九州旅客鉄道(JR九州)、関西電力、日立製作所などが採用しているという。
八木氏がCMS「NOREN」の強みとして第一にあげたのが、コンテンツの量産に最適化された設計である。NORENでは「ブロック」単位で記事見出し・概要・画像・地図などを組み合わせることで、ページを作成できる。また、ひな型をもとにしたコピー、グループ会社内での共用を前提とした差し替え機能なども備えている。
第二が「サイト構造の柔軟な変更」だ。たとえばディレクトリー構成を管理者視点で作った場合、部署体制などの観点からは確かに管理しやすいかもしれないが、社内事情を一切知らない一般顧客にとってはむしろページ遷移がわかりにくい。そこでNORENでは、コンテンツ管理構造とWebサイト構造を分離しており、紐付けによって変更できるようにした。
第三の強みは「新型コロナにも対応」していることだ。これは、テレワークをはじめとしたさまざまな仕事環境から、NORENを通じてオウンドメディアを更新できるという意味である。CMSがあれば、手書きのHTMLを社内情報システム担当者にメールして手動更新するような業務から開放される。
のれんでは、CMSの「NOREN」を軸に、AIチャットボットなど各種ソリューションのワンストップ展開を図っている。Webサイトリニューアル、CMSの入れ替え、そして何より顧客体験の向上をアシストしていきたいと八木氏はアピールし、講演を終えた。
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