ユーザーが広告を目にした瞬間、思わずクリックしたくなるクリエイティブに必要な要素とは?
書籍『ネット“打ち手”大全 成果にこだわるマーケ&販促 最強の戦略102』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開。
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特徴ではなく
未来を訴求しよう
商品を手にすることで得られる未来=ベネフィットが刺さる
Chapter 3 ディスプレイ広告 クリエイティブが8割、設定が2割
ユーザーが広告を目にした瞬間、思わずクリックしてしまうようなクリエイティブを作るには、ベネフィットの訴求が有効です。最初に考えたターゲットごとに、さまざまなベネフィットを書き出していきます。
キャッチコピーではベネフィットを打ち出す
ディスプレイ広告において、ターゲットの次に考えるべきなのが「ベネフィット」です。ベネフィット(benefit)は便益・恩恵といった意味ですが、筆者は「ユーザーが商品を手にすることで得られる未来」と定義しています。
ベネフィットが重要となるのは広告のクリエイティブ、中でもキャッチコピー(主要な見出し)を作成するときです。ベネフィットはターゲットによって異なるため、ターゲットごとに考慮します。
ターゲットに対するベネフィットの選定を間違えてしまうと、キャッチコピーがどれだけ名文であっても商品は売れません。ターゲットになりきって考えてみましょう。
10個以上のベネフィットを書き出して絞り込む
例えば、青汁のターゲットシート(図表29-1を参照)のうち、ターゲットAをイメージしたベネフィットは以下のようになります。
- 野菜料理を減らしても栄養不足にならないので料理をサボれる
- 料理をサボっているのに、私も夫も健康診断の数値が良くなる
- 肌が若返ったせいか、化粧ノリが良くなった気がする
- 「相変わらず若くて綺麗ね」と周りから言われる
- 「最近若返った?」と離れて暮らしている娘に言われる
- 夫から「健康を気遣ってくれてありがとう」と評価される
- 奥様友達との会話のネタができる(自慢できる)
- 野菜嫌いの孫にあげて、娘に感謝される
- 運動せずに体脂肪率が落ち、5年前に買ったジーンズが履ける
- お通じが良くなり、毎朝スッキリ起きられる
- 苦い青汁を飲むことで、甘い飲み物や食べ物が自然と減る
- スーパーで野菜の価格高騰が気にならなくなる
- 青汁がきっかけで健康に気を使うようになり、運動も始める
- 高いサプリメントが不要になる
- 風邪をひきにくくなり、薬代や病院代を削減できる
このように、1つのターゲットに対して10個以上のベネフィットを書き出し、それを3つに絞ってターゲットに近い人にヒアリングし、最終的に1つに決めるのが筆者のやり方です。ターゲットに近い人がいなければ、実際に広告を配信してテストします。
特徴を押し出しただけのコピーにならないように
ここで注意したいのは、ベネフィットを「商品の特徴」として捉えないことです。青汁なら「1日分の野菜が入っている」「手軽に飲める」というのは商品の特徴であって、ユーザーのベネフィットではありません。「1日分の野菜を手軽に飲めることで、どのような未来が待っているのか?」というユーザー視点での発想が重要です。
また、「未来の未来」も意識してみましょう。ダイエット関連の商品であれば、ベネフィットは「やせること」とも言えますが、その先の未来に「夏に水着ではしゃいでいる」「フラれた彼氏から連絡がくる」「娘にお母さんキレイと言われる」など、さまざまな未来が想像できます。
筆者もこれらの視点を忘れてしまい、自己満足のキャッチコピーになっていることがよくあります。本当にユーザーのベネフィットを言い表せているのか、何度も自問するようにしましょう。(辻井)
自分が商品を買うときやサービスに申し込むとき、「どのような気持ちになっていたか」を振り返るのも1つの方法です。きっと楽しい未来を思い浮かべているはずです。
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