インタビュー

顧客満足度を上げるためのアンケートを取ってそのままにしない。サイト改善のPDCAを回すカギとは?

アンケート結果へのすばやい対処がカスタマーエクスペリエンスの向上に直結する――クアルトリクス合同会社 カントリーマネージャー 熊代悟氏に聞く

カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を調査、分析できるアメリカのサービス クアルトリクスが、2018年2月に日本で本格的にサービスインした。

最良のカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、とにかく日々こまめな改善活動が欠かせない。そのために必要なのが、いわゆる「お客様の声」。クアルトリクスは、そうした「お客様の声」を明確で具体的な改善案にし、行動を促してくれるサービスだ。サービスの特徴をクアルトリクス合同会社(Qualtrics Japan LLC)の熊代 悟 氏とジョン・フェターズ 氏に伺った。

クアルトリクス合同会社 カントリーマネージャー 熊代悟氏

アンケートが目的ではなく、結果をもとに改善することが大事

――クアルトリクスは、ビジネスの現場では、具体的にどのようなシーンで使われているのですか?

熊代:圧倒的な需要としてあるのは、顧客満足度、あるいは、カスタマーエクスペリエンスの確認と、それを向上させるための改善策を得ることです。他では、従業員満足度の調査や、製品のライフサイクルの確認にもお使いいただけます。また、発売後の製品のユーザーアンケートの一括管理や、自社ブランドの認知度調査などにも対応しています。

――調査会社に頼んで行うアンケート調査を自社でやれるということでしょうか?

熊代:そういう側面も否定しませんが、少し違います。外部の会社に依頼してアンケート調査を行うことは、どの企業でもやっていることですが、果たして集まったデータは、どうしているでしょうか。本来は、きちんと詳細分析を行い、速やかに、それに対する改善アクションを起こすことが大事。でも実際にはクアルトリクスの本当の価値は、調査をすることではなく、お客様からいただいた貴重な声を、お客様の利益に還元するためのアクションを促すところにあります。

――アンケートを取った後が重要ということでしょうか?

熊代:そうです。多くの企業は、アンケート結果の用途を「経営指標です」と答えるんです。しかし、その認識では、PDCAサイクルを回せませんし、アンケートに答える人の時間を奪っているだけ。これでは、エンゲージメントの向上には寄与しません。

もはや新規顧客の奪い合いは不毛

――クアルトリクスが提供しているツールはもともとは大学生向けだったんですね。

熊代:はい。「学生でも使える操作性の容易さ」と、かつ、「Ph.D.(博士号)の学生がきちんと論文に活用できるだけの精度の高いデータを集められること」この2点を重視して開発されたツールです。

アカデミック界隈は口コミで広がるところもあって、2002年の創業以来10年で、最終的に1800校ぐらいの大学で採用していただいた。それを使っていた学生さんが社会に出て、企業でも使っていただく機会が増えたため、ビジネス向けにも販売するようになったという背景があります。

――アメリカではフォーチュン100企業の75%で採用されたという実績がありますね。その後、2015年にオーストラリア、2017年にシンガポール、2018年に日本に進出。

熊代:今は、安価なものから高価なものまで、あらゆる製品の機能やサービスがコモディティ化されており、製品そのもので差別化することが非常に難しくなってきています。しかも、最近のカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)は非常にセンシティブで、お客様に少しでも嫌な思いを感じさせたら、そのブランドの価値は一気に下がってしまう。

今まではどれだけ新規顧客を取るかがメインでしたが、人口が減っていくなかでの新規顧客を取り合いはコスト高です。それよりも、既存のお客様をどれだけ保持できるかに力を注ぐほうがはるかに大事。そのためにカスタマーエクスペリエンスにこだわる必要があるのです。これは、今後、日本のデジタルマーケティングにおいても、非常に重要な考え方になっていくはずです。

データからの推測よりお客様の生の声に価値がある

――クアルトリクスは、「O(オー)データ」「X(エックス)データ」という2つのデータを組み合わせて、測定、分析するのが特徴だということですが、この「Oデータ」「Xデータ」とは何なのか、教えていただけますか?

熊代:「Oデータ」とは、オペレーショナル(業務)データの意味で、「何が起こったのかを理解するためのデータ」と定義しています。具体的には、企業が持つ、営業・販売、顧客情報、生産、財務、製品品番(SKU)、人事などのデータです。「Xデータ」とはエクスペリエンス「なぜ起こったのかを理解するためのデータ」と定義しています。具体的には、従業員エンゲージメント、顧客満足度、ブランド認知度、ユーザー体験(UX)、製品満足度などのデータで、これらは基本的に、Oデータをもとに導き出されます。

「Xデータ」と「Oデータ」に含まれる項目

Webサイト上の課題を改善する際、多くの場合、「Oデータ」を分析して仮説を立てて行います。でも、仮説はあくまでも仮説。お客様から聞いた声、すなわち「Xデータ」の収集や分析を現場レベルで行えて、改善の手立てにする、ここまでを1つのプラットフォームで行えるのが、クアルトリクスの一番の強みなのです。

――「Xデータ」はどうやって取得するのでしょうか?

熊代:いわゆるアンケートサイトのような形式でも行えますが、Site Intercept(WebSite/App Feedback)というツールを使って、Webサイトに訪れたユーザーに対してポップアップ式に2問ほどの小さなアンケートを出して収集することもできます。

Site Intercept(WebSite/App Feedback)によるアンケート表示例

アンケートと言うよりコミュニケーションツール

――アンケート調査というと、年に数回程度の頻度で、たくさんの質問項目に4択で答えていくといったイメージがあるんですが、クアルトリクスでいうアンケートとは、それとは違うのですか?

熊代:そういったいわゆるアンケートも実施可能ですが、クアルトリクスのアンケートは、それとはまったく違います。アンケートというよりも、むしろ、カスタマージャーニーのマッピングに近いといえるかもしれません。大事なのは、「たくさんの質問を投げかけること」ではなく、「疑問が発生すると思われる瞬間に問うこと」です。

たとえば、週に2~3回サイトを訪問したとき、買い物途中で離脱したとき、購入した後など、いろいろなタッチポイントでのアクションの後に短い質問を出すことによって、お客様も答えやすくて、精度の高い「Xデータ」が収集できます。

――気軽に店頭でお客様に話し掛けるようなイメージでしょうか。

熊代:そうです。お客様とお話ししながら、ちょっとした不満点を理解して、改善するんですね。そのためにも、問題が起きたときに瞬時に聞くことが必要。そこでいただくフィードバックは具体的で明確なはずだからこそ、改善ポイントも明白なはずです。それにすぐ対応するのが、「お客様にお返しする」ということ。そこにお客様が気付き始めたら、それこそが最良のカスタマーエクスペリエンスなんです。

――アンケートには、どれぐらい回答してくれるものなんですか?

ジョン:日本のアンケート回答率は20%ほどあります。私は、アメリカ、オーストラリアを経て日本に着任しましたが、アメリカだと、10%あればいいほうなので、日本の回答率はかなり高いです。

難しく考えずに直接聞いてみる

――Web担当者やマーケッターのほとんどは、調査の素人であることが多いと思います。アンケートの設計の仕方が分かってない人でも作れるものなんですか?

ジョン:アメリカやオーストラリアと違って、日本では「アンケート調査はすごく大変で専門知識のある人しかできない」というイメージが根強いのですが、私たちのインターフェースはもともと大学生が使っていたUIをベースにしていますから、誰でも使えることが特徴だということは、もっと積極的にお伝えしていきたいですね。

熊代:「調査設計」のように難しく考えるのではなく、Web担当者の皆さんは、おそらく、お客様に対して聞きたいことはいっぱいあると思うんです。そうした「聞きたいこと」を直接聞くことができる、と捉えてみてはいかがでしょう。

――利用料はどれぐらいでしょうか?

熊代:初期費用は100万円以下からスタートできます。利用料はアンケートの回答数にもとづいた従量制です。どれだけたくさんアンケートを送ろうが、最終的に価値があるのは回答です。10万件送っても1000件しか回答をもらえなかったら、1000件分しかお支払いが発生しないという形での従量制というのが基本的な考え方です。

――ここまで、おもにWeb担当者やマーケッター向けの「customer Experience」に関してお話しいただきましたが、他のサービスにはどんなものがあるんでしょうか?

熊代:クアルトリクス では、customer Experience(CX)のほか、従業員満足度を測るemployee Experience(EX)、製品調査を行うproduct Experience(PX)、ブランド管理を行うbrand Experience(BX)のほか、専門の調査会社が利用するresearch COREというサービスも含めて、全部で5つのサービスで展開しており、これら5つのサービスをまとめて「エクスペリエンス・マネジメント(XM)プラットフォーム」として提供しています。

クアルトリクスが提供しているエクスペリエンス・マネジメントプラットフォームの図

マーケティング系のサービスはプラットフォームを導入して大掛かりに始めなければならないというイメージがありますが、クアルトリクスは、1つの部署の1つのアンケートから始めることができるのも、特徴の1つです。

デジタルでも「おもてなし」の心を

――スモールスタートが可能というわけですね。

熊代:そうです。我々も製品だけを販売して終わりではなく、お客様のCX(カスタマーエクスペリエンス)プログラムの成熟を一緒に支援するために、継続的にやりとりをさせていただきます。

最初はアンケートを取るだけで精一杯だったお客様も、少しずつ、アンケートを投げるポイントや質問内容に工夫を凝らすようになり、PDCAが回るようになってくると、逆にお客様のほうから、いろいろやってみたいというご提案をいただくことも多くなります。こういったサイクルを作り出せるのが、自社でアンケート調査を行う利点だと思います。ぜひ、小さく始めて、徐々にいろんな気付きを得るなかで、Webサイトの改善向上に役立ててほしいと思います。

クアルトリクス合同会社 カントリーマネージャー 熊代悟氏

――こまめな対応がカスタマーエクスペリエンスを向上させる、ということですね。

熊代:はい。お客様に聞きっぱなしではなく、その成果をお客様に見える形で返せば、必ずお客様の満足度は上がります。日本人って、いわゆる「おもてなし」といった、リアルでのエクスペリエンスはものすごく高いですし、こだわりも強いですよね。にもかかわらず、デジタルエクスペリエンスは弱い。

今までお話ししてきた、Webサイトの問題点にアンケートを設置して、お客様の回答をいただき、即座に改善を実施するというのは、いわば「デジタルおもてなし」のようなもの。ぜひ、クアルトリクスを活用して、デジタル分野でも「おもてなし」力を向上させてください。

――ありがとうございました。

関連リンク: 

クアルトリクス合同会社
https://www.qualtrics.com/jp/

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