全Web担当者が5月24日までに確認しておくべきGoogleアナリティクス[データ保持]設定の真実
今日は、Googleアナリティクスの新しい[データ保持]設定に関する情報です。
設定を5月24日までに変更しておかないと、古いデータをもとにした詳細な分析ができなくなる可能性があります。
また、この件が思わぬ形でデータ分析に影響を与える可能性があります。
念のために確認しておきましょう。
結論から言うと、今回の件はこんな感じです:
Googleアナリティクスに「データ保持」期間の設定が登場、デフォルトでは「26か月」
そのままにしておくと26か月より前の古いデータが削除される
ただし削除されるのはユーザー(ブラウザ)などに関連する「ユーザー」「イベント」データをつなぎこむ識別子のみの模様
- 期限が切れてもサイト全体などの集計データは削除されないはず
- ただしカスタムセグメントなどを使う場合は今までどおりではなくなる模様
設定を変更して「自動的に期限切れにならない」ようにできる
各Web担当者さんは自社のニーズを鑑みて設定を確認&変更してね
この設定が有効になるのは2018年5月25日の予定
ただし設定変更しても24時間は反映されないことに注意
プロパティを新たに作るときにも設定に注意
本質はプライバシーの保護
ほとんどのサイトではデフォルト設定で問題ないかも
詳細はGoogleアナリティクスのヘルプを参照
Googleアナリティクスに「データ保持」設定が登場、デフォルトでは26か月
Googleアナリティクスに新たな「データ保持」という設定が登場しました。
表現は「データ保持」ですが、実際には「一定期間でデータを削除する機能」が実装されて、その設定を変えられるようになったというのが正しいところ。
つまり、「一定期間が過ぎると、一部の詳細データをGoogleアナリティクス内から削除するよ」というもの。デフォルトでは「26か月」、つまりそのままにしておくと、26か月より前のデータが削除されるようになります。
と聞くと「大変だ! データが消えちゃう!」と騒ぎたくなるかもしれません。
でも、実際にはちょっと違います。削除対象は、あくまでも「ユーザーやブラウザといった、プライバシーに関連するデータ」、具体的には、次のようなものです。
削除対象となるのは、次のような情報に関連付けられた「ユーザー単位」や「イベント単位」のデータ:
- Cookie
- ユーザーの識別子(例: ユーザー ID)
- 広告ID(DoubleClick Cookie、Androidの広告ID、Apple広告主向け識別子など)
サイト全体やURL単位などのデータは「ユーザー」「イベント」に関係ない集計データですから、設定期限を越えても削除されることはないとされています。
現状でグーグルが出している情報では「集計データは今後も消えない」ということですが、それはあくまでも標準レポートのメニューから選ぶ基本的なデータのことだと考えるほうがいいでしょう。カスタムセグメントをかける場合など単純集計ではないデータに関しては、以前と同様には確認できなくなる可能性が高いことに注意してください。
この件と関係するのかどうかは不明ですが、標準のセグメントでは問題ないけれども、カスタムセグメントを設定すると26か月より前のデータが集計に現れないという現象が4月23日時点で確認されています(GAの設定は無期限に変更済みのプロパティ)。
そもそもの話でいうと、Googleアナリティクスのデータをどの程度の期間保持して分析できるようにするかをグーグルは正式には示していません。昔からGoogleアナリティクスのデータは25か月分しか保証していないといわれていますが、こうした情報の根拠はグーグル社員が公式フォーラムなどで行った発言に過ぎず、公式なサービスとしての規約などではありません。
公式に発表がない以上は、「多くのサイトで現実的に実用として必要な」範囲を超える過去データはいつ削除されてもおかしくないという認識でいるほうが良いかと思われます。
必要に応じて「自動的に期限切れにならない」に設定変更を
さて、あなたのサイトでは、セグメントを切って26か月よりも前のユーザーデータや行動データをもとにデータを分析することがあるでしょうか。
それがあるようでしたら、設定を変えておくほうがいいかもしれませんね。
設定を変えるには、次のような手順をとってください。
Googleアナリティクスにログインする
サイトを選ぶ
左下の[管理]を選ぶ
「アカウント」「プロパティ」「ビュー」と並ぶ真ん中の「プロパティ」内のメニューから「トラッキング情報」を選ぶとサブメニューが展開されるので、そのなかの「データ保持」を選ぶ
「ユーザーデータとイベントデータの保持」のドロップダウンリストから希望のデータ保持期間を選ぶ
その下にある「新しいアクティビティをリセット」は「オン」のままにしておくのがいいでしょう
下の[保存]を選ぶ
もし、この設定画面にいっても選択肢がグレーアウトしていて設定を変えられない場合は、あなたのアカウントに「プロパティの編集権限」がないことが原因です。
Googleアナリティクスの権限を管理している人に話して、自分のアカウントにプロパティの編集権限をつけてもらうか、その人に設定変更してもらいましょう。
この[データ保持]機能は、世界的に(特にEU圏を中心に)高まってきている「ユーザーのプライバシーデータ保護」、特にGDPRと呼ばれる規則のためのものだと推測されます。
しかし、GDPR対応やプライバシー保護はGoogleアナリティクスの設定を変えれば済むというものではありません。そのため、ここではGDPRに関して論じることはしません。
5月25日から実施で、変更反映には24時間のインターバルあり
さて、この「データ保持」、言い換えると「古いデータの削除」は5月25日から有効になるようです。
Googleアナリティクスにログインした際に表示されるお知らせでは「2018年5月25日からのデータが影響を受ける」とあります。
しかし、英語版のお知らせを確認すると「データ保持のコントロールが5月25日から開始」されるとも読めます。そのため大事をとって2018年5月25日より前のデータも対象となると考えるほうがよさそうです。
注意しておきたいのが、設定を変えた場合に実際にそれが反映されるまでのインターバルです。ヘルプによると、設定変更が反映されるまでに24時間の猶予があります。
間違って設定を変えた場合でもすぐに戻せばデータを失わずに済むというための猶予期間ですね。言い換えると、変更してもすぐ反映されるわけではなく、24時間は前の設定のままということです。
ですので、この仕組みは5月25日に有効になるようですが、設定を変える場合には念のために5月24日までに変更を済ませておきたいところです(実際にデータの削除が行われるのは月次の処理のようですが)。
新規プロパティでもデータ保持は26か月設定
もう1つ注意しておきたい点があります。
それは、新しいサイトを作ってGoogleアナリティクスを入れる際にも、この設定を確認するということです。
編集部で試してみたところ、現在は新たに作ったGoogleアナリティクスのプロパティでもこのデータ保持期間は26か月となっていました。
26か月を超える長期間でユーザーや行動のデータをもとに分析する場合は、Googleアナリティクスに新サイトを登録する際のチェックリストに、データ保持期間の設定を含めておくほうがいいでしょう。
「新しいアクティビティをリセット」って何?
さて、データ保持の設定画面に「新しいアクティビティをリセット」という項目がありました。これは何でしょうか?
説明によると、この設定をオンにしておくと、対象のユーザー行動が発生するたびにデータ保持の期間がリセットされる(その時点からの経過時間で判断されるようになる)というものです。
先ほどこのデータ保持は「ユーザーやイベントのデータを削除するまでの期間」であると説明しました。でも実際に削除されるのはトラフィックデータそのものではなく、「トラフィックデータとそうしたユーザーやブラウザを紐付ける識別子」のようです。
この設定をオンにしておけば、過去26か月間にサイトやアプリでトラッキング対象となったユーザーの識別子データは、古いものも含めて削除されないということですね。
言い方を変えると、「最近アクセスしてないユーザーに紐付けた分析はできなくなるけど、継続的にアクセスしているユーザーに関しては古いデータも含めて紐付けて分析できる」という仕組み。
実際のところ、最近はサイトにアクセスしていないユーザー行動をもとに何か分析したりアクションしたりということはさほど多くないでしょう(休眠ユーザーの掘り起こしとかは別ですが)。そのため、デフォルト設定の「データ保持26か月間」「アクティビティがあったら期限切れをリセット」で、ほとんどのサイトは問題ないのではないかと思われます。
Web担では、この設定をどうするか、かなり悩みました。
これ、デフォルト設定でいいんじゃないかな、集計データは古いのも含めて取得できるわけだし
ホントに26か月より前のユーザーデータとかイベントデータをもとに分析することあるのかな
現状では、とりあえずデータを自動削除しないように変更しました。理由は、別途APIで取得している仕組みへの影響をおそれてのことです(けっこういろんな処理をAPIでしているので)。
でも実際のところデフォルトでもよかったのかな、なんて思ってます。
あなたのサイトでは、どうデータを使っていて、この設定をどう変更しますか?
ソーシャルもやってます!