AIがCMSに搭載されると、Web戦略はどう変わる?
CMSがAIを搭載すると、Web担当者の仕事はどう変わるのか? かつて、Webサイトは誰がいつ見ても同じ情報が載っていて、自社の製品カタログを電子化したものに過ぎなかった。しかし、今やそれは通用しない。類似の情報がWeb上にあふれているなかで頭一つ抜けるコンテンツ力を得るには、ユーザーのニーズや趣味・嗜好を判別し、適確な情報を提示しなければならない。
AI搭載のCMS「HeartCore」を提供するジゾンの宮本氏は「デジタルマーケターズサミット 2017 Summer」で、「AIを搭載した次世代CMSで実現するWeb戦略」と題し、適確なカスタマーエクスペリエンスを提供し続けるための超高速PDCAサイクルWeb戦略について解説した。
モバイルファースト・カスタマーファーストのWebサイトを作る
昨今、SEO界隈では「モバイルファーストインデックス」という言葉が注目されている。Googleが検索結果の掲載順位を決める情報を、モバイルページ優先に変更するというものだ。一部のセミナーでは、2018年にロールアウトされるという講演があった。
ちなみにモバイルファーストインデックスでは、モバイル端末で見やすいデザインかどうかだけでなく、表示されるスピードも重視される。生活者の検索体験が変化していることが理由だ。
以前は自宅や会社のデスクでPCに向かい腰を落ち着けて検索するのが一般的だったが、いまは外出先でスマホを使って近くのお店を検索する、知人と談笑しながらスマホで必要な情報を検索するといったような瞬間的な利用方法が増えている。
このようにユーザーのライフスタイルが顕著に変化している中で、ページの応答速度が悪くなかなか表示されないサイトでは、カスタマーエクスペリエンスが低下し離脱につながってしまう。Googleが検索順位の決定に表示スピードを重視しはじめていることは、「Test My Site」というモバイルサイト読み込み速度測定ツールの提供を始めていることからも推し量ることができる。
ただ、表示スピードが速いことだけが、モバイルファーストやカスタマーファーストかといえば、もちろんそれだけではない。真に重要なのは、ユーザーが求めている瞬間に、求めている情報を、好みやシチュエーションに合わせて適切に提示するということだ。ニーズを正確に捉えてその場で満足してもらえるコンテンツを提供しなければ、ことデジタルネイティブの若者はすぐに離脱し、再訪問してもらうことすら難しくなる可能性がある。
つまり、カスタマーファーストを実現するには、ユーザーをよく「知る」ことが必要となる。そのための手段として、たとえばDMPにためたデータやIPアドレスの情報を活用する、社内のCRMとの連携し利用するといった手法がある。これらのデータに基づいて個々のユーザーのことをよく知り、それぞれに最適なコンテンツを提供できるようパーソナライズすることが重要だ。
パーソナライズされたカスタマーファーストのWebサイトであれば、訪問したユーザーの満足度は向上し、離脱率も下がる。こうしたアプローチにより、大きくコンテンツの質を上げることが可能になるが、本当の意味でユーザーに満足してもらえるパーソナライズコンテンツ群を構築するためには、A/Bテストのような検証を実施し、顧客満足度を数値化しながら顧客とのコミュニケーションを最適化する必要がある。
パーソナライズがユーザーのニーズに寄り添うことができたかどうかを数値としてあらわし、テストしながらPDCAサイクルを回し、より質の高いコンテンツを探し出していくということだ。
しかし、顧客を知るためのデータ量や、コミュニケーションを最適化するテストを実施し分析すべきデータの量は日々膨大になっていく。たとえば一日に訪問するユーザーが一万人いるサイトを運用するとした場合、全員に対してペルソナを設定し、カスタマージャーニーを立案するというフローを、人的リソースのみで構築することは、ROIの観点からも現実的ではない。そこで「HeartCore」では、AIを使ったオートメーションを実現している。
CMS/MAにおけるAI活用と必要性
一般的にAIには、特化型と汎用型があり、現在のところ存在しているのは特定の領域に活用が限定された特化型のみだが、中でも機械学習やディープラーニングをユーザーデータの解析や自然言語処理に集中するアプローチで、デジタルマーケティングへのAI活用が広がり始めている。
たとえば、国内のAI活用では、次のような技術が発達してきている。
- レコメンド/最適化
- アナリティクス診断
- IoT
- チャットボット
そんな中でジゾンでは、デジタルマーケティングにおけるAI活用のポイントとして、次の2つに着目し、研究開発を進めている。
- 質の高いユーザーエクスペリエンスの利活用
質の高いユーザー体験をアルゴリズムで導き出し、他ユーザーに効率的に還元する手法。商品やページのクリエイティブのA/Bテスト結果を機械学習し、その最適化を自動で行うことで、より良い成果をを導き出す。
- 非接触チャネルで見込み客のニーズを正確に捉え、成果につなげる
機械学習で、これから狙っていきたい新規見込顧客層の属性の発見をアシスタント。
これらが、これがAIを使う大きなメリットだ。
AIによる超高速PDCA Webサイト構築のロードマップ
ジゾンは、「HeartCore」というCMSの開発・販売ベンダーで、国内製品であることからサポートが手厚いのが特長だ。「HeartCore」は日本航空や中古車のガリバーを含む、450社以上が導入している実績があるCMSソフトウェアだ。上位エディションの「HeartCore CXM」ではMAを搭載し、デジタルマーケティングプラットフォームとしての活用も実現している。「HeartCore」は、ITRの調査で2015年度1位(※1)、富士キメラ総研の調査で2016年度1位(※2)の国内売上シェアを獲得している。
さらにジゾンでは、AIを利用したマーケターアシスタント機能の開発を進めている。このAI機能で実現しようとしているのは、次の図のような世界だ。
- 仮説立案フェーズ
- 仮説立証フェーズ
のステップを踏み、さらに
- PDCAサイクル高速化アプローチ
を経ると、高速でKPIを達成することに近づくという。
仮説立案フェーズでは、「仮説の質と量」を重要視している。デジタルマーケティングにおいては、最初に立案した仮説や施策が正解である確率はとても低い。大規模なアノニマスユーザーに対し成果を上げることのできる施策を最短で導き出すにはトライ&エラーあるのみだ。
つまりマーケターは、良質なトライの創出と、トライ結果を得ることのスピードアップを目指すべきである。AIによるセグメントの自動提案やクリエイティブの自動提案によってカスタマージャーニーやペルソナを考案する時間を削減できれば、デザインやコンテンツの改善など、人間にしかできない仕事に集中する工数を生み出し、より良いWebサイトの構築につながっていくという。
次の仮説立証フェーズのポイントは、「必要最低限の検証で最大の効果を生み出す」ことだ。宮本氏は、次のように話した。
細かなアナリティクスにこだわりすぎると、確実に運用が破綻する。必要最低限の検証で、最大の効果を得られる運用設計がカギ
セグメントやクリエイティブに対する評価はAIに委譲し、たとえばセグメントにはゴール到達率を数値化した評価のみ、クリエイティブにはCVR/離脱率/滞在時間といった評価のみを軸としてモニタリングするといったような、検証行為の最適化を行う機能の構築を研究している。
これらが、ジゾンの考える超高速PDCAサイクルをAIで実現するための今後のロードマップとなる。最後に宮本氏は、超高速PDCAサイクルというWeb戦略について次のようにまとめた。
A/BテストやAIなどの機能を活用して仮説立案・立証の高速化を実施し、顧客ごとに最適コンテンツを提供するパーソナライズで、WebサイトのKPIが達成に近づくのだ
上記のセミナーとは別のセミナーではあるが、ジゾンは下記のセミナーを開催する。「HeartCore」に関心を持たれた方は参加してみてはいかがだろうか。
次世代Webサイト戦略でデジタルシフトの実現へ!
デジタルネイティブ世代は、どんなカスタマージャーニーをたどるのか? お悩みのマーケターに次世代Web戦略の秘訣を授けます
- 基調講演「デジタルマーケティング最新市場動向とその課題と解決に向けて」
- 「HeartCore」のパートナー各社による、リアルなWeb構築の手法や事例
- 「HeartCoreハンズオン」AI機能搭載「HeartCoreCXM実習」
- トークセッション「大胆予測!5年後の Webサイト市場は?!」
- イベント名称:「HeartCoreDAY2017」
- 開催日時:2017年10月25日(水)11:00~18:00(受付開始10:30)
- 開催場所:大手町フィナンシャルシティカンファレンスセンター(大手町駅直結)
- 参加費:無料(事前登録制)
- 主催:株式会社ジゾン
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