グーグル検索はどこへ向かう? モバイルファーストからAIファーストへ
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グーグル検索はどこへ向かう? モバイルファーストからAIファーストへ
AMP・PWA・HTTPS・構造化データの最新情報 (Google I/O 2017)
グーグルは、いま何を重視していて、どこへ向かっているのか。
グーグル本社がある米カリフォルニア州マウンテンビューで5月17日~19日に開催された「Google I/O」というカンファレンスに参加してきた。基本的には開発者向けのカンファレンスなのだが、検索関連のセッションも数多くあった。
筆者が参加した検索に関わるセッションのなかから、グーグル検索の最新情報をダイジェストで紹介する。
AI(人工知能)
モバイルファーストからAIファーストへ ―― すべてのプロダクトでAIを使っていく
Googleの音声認識のエラー率は4.9%(音声認識にはAI技術が用いられている)
音声と同様に視覚も入力方式として重要 ―― カメラに写っているものをAIによって認識し、その情報を提示できるようになる。たとえば、レストランを写すと画像を認識しそのレストランの名前や評価を提示するようなものだ
AIで最も重要なのは検索とGoogleアシスタント。日本語版のGoogleアシスタントは年内もしくは来年早々になりそうだということ。ただしAlloアプリのなかではすでに日本語で使え、ヘルプページも日本語化されている。
AIを利用した求人検索機能を、まずは米国から数週間後に導入する。ほかの国でも展開する予定
AMP
20億以上のAMPページが公開されている
90万以上のドメイン名でAMPが使われている
昨年、Google検索でのAMPページ表示は1秒以内だったと発表したが、これよりも2倍速くなった
Yahoo! JAPANの検索がAMPに対応(3月のAMP Confというカンファレンスですでに発表済みだが)
ECサイトがAMP対応できるように準備を進めている(すでにAMP対応したECサイトあり)
PWA(プログレッシブ・ウェブ・アプリ)
トラベルサイト、パブリッシャー、ECサイトなどなど、世界中のさまざまなジャンルのサイトでPWAの導入が進んでいる
Payment Request APIを使うとワンタップで支払いが完了する。対応する決済システムを増やしていく
マルチメディアやソーシャルシェアなど、さらに多くのAPIを使えるようにしていく
ホーム画面追加のバナーを任意のタイミングで出せるようにする
ホーム画面だけではなく、アプリドロワーにもアイコンが出るようにする
Android設定に統合し、アプリ設定から管理できるようにする
PWAを検証するChrome拡張のLighthouseをChromeのデベロッパーツールに統合する
HTTPS
2017年1月時点で、Windows版のChromeで読み込むページの約3分の2がHTTPS。Android版のChromeは半分以上がHTTPS ―― HTTPSファーストのウェブの世界に実際になってきていると考えてもいいだろう
2017年5月時点で、トップ100サイトの60%がHTTPSをサポートしている。56%が常時HTTPS
楽天グループは、80%のサイトを2017年3月までにHTTPS化
構造化データ
リッチカードを導入した
画像検索にリッチスニペットを導入した
イベント検索をつい最近導入した
グーグル検索の最先端の情報を手にできたことに加え、日本のサイトが事例としてたくさん紹介されていたのも印象的だった。
- すべてのWeb担当者 必見!
ISPがウェブページを改ざんした事例をまたまた発見
HTTPSで防御すべし (Chris Palmer on Twitter)
インターネット接続サービスを提供するISPがAMPページに勝手にJavaScriptを挿入するためにAMPのバリデーションエラーが発生したトラブルを、前回紹介した。似たようなケースをまた見かけた。
同じく、ISPの米コムキャストが、Wi-Fi接続用アプリのインストールを促すポップアップを出現させている。このサイトの管理者が設置した広告ではないことは明らかだ。
Advertising "enhanced security features" by injecting script into the DOM of HTTP pages? Bold move, @comcast; let's see how it works out pic.twitter.com/6dcGiUL2eT
— Chris Palmer (@fugueish) 2017年5月19日
こうした挙動は、ウェブページの改ざんだと言ってもいい。日本でもこういった事例が発生している可能性は十分にある(もし遭遇したら教えてほしい)。
こうしたことを防ぐ方法の第一候補は、言うまでもなくHTTPSの導入だ。HTTPSにはデータの改ざんを防ぐ機能もある。
- すべてのWeb担当者 必見!
自動翻訳をグーグルにインデックスさせてはいけない理由
ユーザー目線で考えれば理由は明白 (John Mueller on Twitter)
自動翻訳ツールを使ったコンテンツのインデックスについて、グーグルのジョン・ミューラー氏は次のようにコメントしている。
自動翻訳はすばらしい。だがインデックスさせないほうがいい。
@MiguelPalau90 @methode Machine translations are awesome; just don't let them get indexed.
— John ☆.o(≧▽≦)o.☆ (@JohnMu) 2017年5月15日
ヘルプ記事にも説明があるように、グーグルは自動翻訳のインデックスを推奨していない。
robots.txt を使用して、自動翻訳したサイトページが検索エンジンからクロールされないようにしてください。自動翻訳は意味が通じない場合があるため、スパムとみなされる可能性があります。また、読みにくく不自然な翻訳はサイトのイメージ低下につながる場合があります。
自動翻訳コンテンツに関する話題をもう1つお届けしよう。
自動翻訳でも人間が(一部だけ)チェックするのならばどうかという質問が、(日本の)公式ヘルプフォーラムに投稿されていた。
この質問に対しては、筆者が回答している。その内容を以下に記載するので、元の質問ややりとりとあわせて参考にしてほしい。
自動翻訳を利用した場合で、Google検索からのトラフィックを重視するのであれば、ガイドラインに従って、人間の目ですべてをきちんとチェックしてから公開します(インデックスさせる)。
まず、Googleがなぜ自動翻訳を良しとしないかを考えてください。
意味がおかしな文ができあがって、ユーザーが戸惑うからです。
Googleがどうこうではなく、ユーザー目線で考えなければなりません。何%ならいいのか? という問題ではないのです。
人間のユーザーがその翻訳で本当に書いてあることを理解できるかどうかがすべてです。
Googleはそういうコンテンツだけを検索結果に出したいのです。
だからガイドラインで明記しています。Google検索が大事、いいかえればユーザーが大事なのであればきちんと翻訳してください。
とはいっても、とりあえずの翻訳で十分という考えを否定はしません。
それだけで十分という場合もあるでしょう。
ただしその場合は、Googleにはインデックスさせてはいけません。
- 翻訳コンテンツを提供しているサイトのWeb担当者 必見!
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
hreflangとインターナショナルターゲティングの違い
似ているようで異なる (Webmaster Central Help Forum
)
特定の地域や言語を対象にしてサイトを公開する際に、どの国や言語の人向けのコンテンツなのかをグーグルに伝える仕組みとして、次の2つがある。
rel="alternate"
を指定したlink
要素のhreflang
属性- Search Consoleのインターナショナルターゲティング
この2つは似ているのだが、検索結果の掲載に与える影響が異なる。
英語版のヘルプフォーラムでグーグルのジョン・ミューラー氏が説明したことと、筆者がグーグル社員に直接確認したことを合わせて、違いを簡潔にまとめる。
hreflang
ページ単位で設定するもの。
基本的に、ランキングには影響を与えない。hreflangで指定した地域・言語のページが検索結果に表示される。国ごとのグーグル検索で、表示されるページが入れ替わるだけ。
たとえば米グーグル(google.com)で検索すれば、英語ページが出てくるし、日本のグーグル(google.co.jp)で検索すれば対応する日本語ページが出てくる
ただし、各言語版ページの評価は統合される。例を挙げると、英語版ページに張られたリンクは日本語版ページの評価にも影響する。
インターナショナルターゲティング
サイト単位、もしくはサブディレクトリ単位で設定するもの。ccTLDのサイトには設定できない(一部例外あり)。
指定した国のグーグルの検索結果に表示されやすくする。一方で、指定した国以外の国のグーグル検索では出にくくなる(ただし“絶対に”ということではない)。
グローバルサイトを運用しているのなら、知っておくといい。
- グローバルサイトを運用しているWeb担当者
アンカーテキストなしのリンクをグーグルはどう扱うのか
認識するが、あったほうが手助けになる (John Mueller on Twitter)
グーグルのジョン・ミューラー氏がツイッターのフォロワーから質問された。
アンカーテキストや画像がない状態で a タグでリンクを設定した場合、グーグルは認識しますか?
ミューラー氏は次のように答えた。
認識する。
ただし、アンカーテキスト(と画像のalt属性)は内容を理解するのに若干だが役立つ。可能ならば、何もないままにはしておかないほうがいいだろう。
@abondance_com @methode Yes, but anchor text (and image alt text) helps us quite a bit in understanding context, so I wouldn't leave it out if you can avoid it.
— John ☆.o(≧▽≦)o.☆ (@JohnMu) 2017年5月15日
リンクというと、通常は
<a href="http://web-tan.forum.impressrd.jp/">
Web担当者Forum</a>
のように記述するのだが、そうではなく
<a href="http://web-tan.forum.impressrd.jp/"></a>
のように記述したらどうなるかという質問だ。
ミューラー氏の回答は、「リンクとしては認識するが、リンク先が何のページであるかの手がかりをGooglebotは入手できない」という内容だ。
一般的に考えるなら、空っぽのリンクが必要なケースがあるとは考えづらいが、あり得ないわけではない。というのも、HTMLタグにクラス名やid属性を指定しておいてCSSでアイコンを表示するといった手法はあり得るからだ。
筆者として気になるのは、空っぽのリンクを多用したら、隠しリンクだとして手動対策の対象になってしまのではないかという点だ。もちろん、Googlebotが正しくJavaScriptやCSSを適用してレンダリングしてくれていれば、そうした問題は起きにくいだろうが。
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