この訪問はいくら? 「1回のセッションあたりの目標値」を集客効率の監視と改善に役立てよう[第22回]
今回は、「各セッション(訪問)がコンバージョンにどれだけ金額的に寄与したのか」を評価できる「1回のセッションあたりの目標値」を紹介する。前回の「ページの価値」と似たものに聞こえるかもしれないが、その使い方はまったく異なる。
「ページの価値」が「1ページの閲覧価値」ならば、「1回のセッションあたりの目標値」は「1訪問の価値」を表すものだ。この指標は、効率の悪い集客施策の改善に役立てたり、サイト全体の集客効率が悪くなっていないかを監視したりするために利用するとよいだろう。
- 「1回のセッションあたりの目標値」を理解する
- 広告費の最適化や中長期的なサイトの最適化につなげる
「1回のセッションあたりの目標値」の利用には目標の「値」が必要
この「1回のセッションあたりの目標値」を利用するためには、目標(コンバージョン)の設定のオプションの項目にある「値」を設定しておく必要がある。
具体的な設定方法などについては第6回の記事を参照してほしい。一応ここでもごく簡単に紹介しておく。
「管理」画面のビューの設定項目の「目標」(図1)で、コンバージョンに該当する目標を登録できる。その設定で「値」をオンにして(図1赤枠部分)、1コンバージョンの金額価値を入力しておく(図1青枠部分)。すると、1回の目標達成(コンバージョン)に対して、その金額が成果金額として計上されていくという仕組みだ。
「1回のセッションあたりの目標値」は集客系レポートで確認できる
指標「1回のセッションあたりの目標値」は、セッション(訪問)に対する金額換算評価なので、集客セクションのレポートの多くで見ることができる。たとえば[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポート(図2赤枠部分)で確認してみよう。
標準では指標グループで「サマリー」が選択されているが(図3赤枠部分)、ここでは「目標セットn(nは数字の1~5のいずれか)」のいずれかの指標グループを選択しよう(図3青枠部分)。「eコマース」を選択すると購入金額をもとにした「1回のセッションあたりの値」を見ることができるが、これは後で少し触れる(図3緑枠部分)。
目標セットを選択すると、データ一覧表示部が切り替わる(図4)。データ一覧表示部の左から4列目が「1回のセッションあたりの目標値」だ(図4赤枠部分)。一番上の行の数値「¥55」がサイト全体における1セッション(訪問)が生んだ金額価値で(図4青枠部分)、その下に続く数値が「参照元/メディア」にある項目別の1セッション(訪問)が生んだ金額価値だ。
「1回のセッションあたりの目標値」の計算方法
「1回のセッションあたりの目標値」は、次の計算式で算出される。
先ほど、サイト全体の1セッション(訪問)によって生んだ金額価値と、トラフィックの項目別の1セッション(訪問)によって生んだ金額価値の2種類があると書いた。具体例を示そう。
たとえば次の3つのセッションがあったとする。
①サイト全体の数値の算出プロセス
まずは、サイト全体の「1回のセッションあたりの目標値」を計算してみよう。計算式の分母はすべてのセッション数なので、3セッションになる。分子にあたる目標値の合計は、セッションXの1,000円とセッションZの2,000円の合算値で3,000円だ。
よって、サイト全体の「1回のセッションあたりの目標値」は次のようになる。
②各参照元/メディアの数値の算出プロセス
次に参照元/メディア別の「1回のセッションあたりの目標値」を見ていこう。「どこから来たか」を表す参照元/メディアは「google / organic」と「yahoo / cpc」の2種類があり、それぞれで計算が必要になる。
なお、「google / organic」は「グーグルの検索結果から来た」ということ、「yahoo / cpc」は「Yahoo! Japanのプロモーション広告から来た」ということを表している。参照元について詳しくは別の記事で解説するので、ここでは「どこから来たかが違う」と思ってほしい。
「google / organic」はセッションXとセッションYの2セッションあるので、計算式の分母は2だ。「google / organic」のセッションにより発生した目標値の合計は、セッションXの1,000円とセッションYの0円を合計して合算値は1,000円で、これが分子になる。
同様に、「yahoo / cpc」はセッションZの1セッションだけで、1セッションあたりの目標値の合計は2,000円なので、次のようになる。
厳密に言えば、前回の「ページの価値」は目標値の合計にeコマースの収益が含まれるのに対して、こちらでは含まれないという違いがある。前回の「ページの価値」と、「eコマース」指標グループ(図3緑枠部分)にある「1回のセッションあたりの値」を含めて計算式をすべてまとめると、次のようになる。
「1回のセッションあたりの目標値」の見方と活用方法
それでは、「1回のセッションあたりの目標値」はどのように活用すればよいのだろうか? ここでは、トラフィック(参照元ドメイン、検索エンジン、キャンペーンなど)別の「1回のセッションあたりの目標値」から考えていこう。「1回のセッションあたりの目標値」は、各トラフィックの1訪問あたりの価値を金額換算した指標だ。
短期的には、広告のキャンペーン別に「コンバージョンにあまり寄与していないキャンペーンはないか」という視点で見ていくことができる。キャンペーンに掛ける費用を最適化するときに活用すればよいだろう。集客トラフィックの粒度は、一番大ざっぱな「チャネル」(図5赤枠部分)では参照元、メディア、キーワードで(図5青枠部分)、「すべてのキャンペーン」(図5緑枠部分)ではキャンペーン単位で、といった具合にさまざまな選択肢があるので、用途に応じて使い分けよう。
一方、サイト全体の数値の方は、「1セッション(訪問)の価値が中期的に改善していっているか」といった見方をしていくとよいだろう。短期的には気が付きにくい長期の傾向を見ることで、セッションの価値が低落していないかを定点観測しておこう。
たとえば図5の[参照元/メディア]レポートで、集計対象期間を比較的長く指定し、比較する指標に「1回のセッションあたりの目標値」を選択した折れ線グラフが図6だ。
図6では過去12か月(図6赤枠部分)を集計対象期間にし、月次(図6青枠部分)で折れ線グラフを表示した例だ。指標には「1回のセッションあたりの目標値」と、コンバージョン数合計を意味する「目標の完了数」の2つを選択した(図6緑枠部分)。
例示した図6の長期トレンドがそうなっているということではないが、たとえば「目標の完了数(コンバージョン数のこと)」が増加傾向にあり、かつ「1回のセッションあたりの目標値」も上昇傾向にあるなら、集客効率を上げながら成果が増えているので最も良いシナリオだといえる。一方、どちらの指標もその逆の傾向であれば、最悪のシナリオが進行中だと評価できる。
2つの数字を短期的に追っていても変化は気が付きにくいものだ。このように2つの指標を中長期的に見ることで、じわじわ悪化していることを早期発見することも重要だ。
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