PWAに取り組まないのは、SEOで大きなチャンスを逃しているも同然?
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PWAに取り組まないのは、SEOで大きなチャンスを逃しているも同然?
多数のPWA成功事例も出てきた (Pedro Dias on Twitter)
ブラジルのグーグルのサーチクオリティチームで以前に働いていたペドロ・ディアス氏が、こんなツイートを投稿した。
SEOに取り組む身として、プログレッシブ ウェブ アプリ(PWA)に関して何も意識していないのならば、それは絶好の機会を失っていることになる。
As an SEO, if you’re not getting acquainted with Progressive Web Apps (PWAs), you’re missing the boat!
— Pedro Dias (@pedrodias) 2016年8月31日
大きなチャンスがPWAに潜んでいると、ペドロ氏は認識しているようだ。
日本のSUUMO(スーモ)のPWA成功事例を以前に紹介した。グーグルの開発者向けサイトには、最新のPWA成功事例がほかにもたくさん公開されている。3つ紹介しよう。
まず、AliExpress(アリエクスプレス)の事例だ。AliExpressは、アリババグループのECサイトで、さまざまな商品を中国から直販している。米国やロシア、ブラジルで特に人気がある。
すべてのブラウザを合わせて計測すると、新規ユーザーが104%に増えた
iOS端末では、コンバージョン率が82%増加
1セッションあたりの訪問ページ数が2倍に増えた
1セッションあたりの滞在時間が74%増加
次は、Jumia(ジュミア)の事例だ。Jumiaは、アフリカのECサイトだ。ほとんどのユーザーはスマートフォンからアクセスする。Jumiaはプッシュ通知で成果を上げた。
プッシュ通知の開封率は38%
カゴ落ちしたユーザーにプッシュ通知したところ、購入が9倍に増えた
ネイティブアプリのコンバージョン率が4.5%だったのに対し、プッシュ通知したカゴ落ちユーザーのコンバージョン率は7.85%
最後は、BaBe(ベイブ)の事例だ。BaBeは、インドネシアのニュース配信サイトだ。もともとはアプリだけのサービスで、100万以上のダウンロードを誇っていた。2016年初めにPWAを用いてウェブ版も公開した。
1セッションあたりの利用時間がアプリでは3分、PWAサイトでは3分
1セッションあたりで読まれた記事の数は、アプリでは3記事、PWAサイトでは4記事
PAWはこれまでのWebサイト構築とは必要なスキルも設計も大幅に異なる。そのため、制作会社やUXデザイナーなど、協力会社もいままでどおりとはいかない可能性が高いし、システム面での運用ノウハウもこれまでと異なる。
そうした事情もあわせて考えると、数十ページしかないような小規模サイトではPWA対応は不要だという判断も、決して間違ってはいない。
しかし中規模以上のサイトであれば、PWA対応することに価値があるかどうかだけでも調べたほうがいいかもしれない。大規模サイトなら、それこそ対応すれば、大きなチャンスをものにできる可能性もありそうだ。
米国のIPアドレスからのアクセスを制限してはいけない
Googlebotのクロールも遮断してしまう (John Mueller on Twitter)
Googlebotは、ウェブサイトをクロールする際には米国のIPアドレスを今でも使っているのですか?
米国のIPアドレスからのアクセスを制限しているサイトは、クロールされない可能性がありますか?
グーグルのジョン・ミューラー氏に、ツイッターのフォロワーがした質問に、ミューラー氏は次のように答えた。
ああ、そのとおりだ。ほとんどの場合、Googlebotは、ユーザーと同じ場所から同じコンテンツを見る必要がある。
@marie_mickael @methode yes, most of the time. Googlebot needs to see the same content as users from the same location.
— John Mueller (@JohnMu) 2016年8月31日
つまり米国のIPアドレスに制限をかけていると、そのサイトはクロールされない可能性があるということだ(ミューラー氏の回答には、「米国の検索ユーザー向けにはクロールされない」というニュアンスも含まれているが)。
フォロワーは質問を続けた。
地域分散クロールでは、米国以外のIPアドレスも今は使うことがあるそうですが、となると、それは本当ですか? support.google.com/webmasters/answer/6144055
ミューラー氏の返信はこうだ。
(まれなことだとしても)ときにはそうすることもあるので、文書化しておくことは大切なのだ。
@marie_mickael @methode since we sometimes (even if it's rare) do that, it's important to have it documented.
— John Mueller (@JohnMu) 2016年8月31日
地域分散クロールは、国・言語ごとのコンテンツをIPアドレスによって振り分けているサイトを適切にクロールするための仕組みだ。2015年の1月に導入された。
だが原則的にGooglebotは、米国のIPアドレスで動いているGooglebotでクロールすると考えてもいいだろう。地域分散クロールの仕組みがあったとしても、米国のIPアドレスからのアクセスを拒否していたとしたら、適切にクロールしてもらえない可能性が高い。
h1タグは必ず設置すべし、グーグルの理解を助ける
ただし劇的な順位上昇は期待しないこと (Google Webmaster Central office-hours)
h1タグがあるのとないのとでは、どんな違いが出ますか?
こんな質問が英語版オフィスアワーで取り上げられた。
グーグルのジョン・ミューラー氏は、次のように説明した。
HTMLにh1タグがあると、ページの構造つまりページにあるそのほかのテキストとの違いを理解するのに、ほんの少しだけだが役立つ。
そのページのメイントピックが何であるかを、h1タグがない場合よりも若干よく伝えることができるということだ。その点において、h1タグはメリットになる。だから私なら絶対に利用するだろう。
検索で使われることもあるから、やっぱり絶対に使うね。
ただし覚えておいてほしいが、「この5つのキーワードが見出しタグにあるから、そのキーワードでの検索で1位にしよう」なんて判断をグーグルがすることはない。
「ページにあるテキストの意味合いを理解する手助けになる」という点において、とても小さな働きをする程度のものだ。
h1タグがどう役に立つかは、新聞の見出しを思い出すといい。まず見出しを見ることで、何のニュースなのか想像がつく(想像がつかない見出しは悪い見出しだ)。ウェブページも同じことで、見出しが適切に使われていれば、グーグルは何についてのページなのかを理解しやすくなる。
「h1タグを使ったほうがいいか? 使わなくてもいいか?」とだけシンプルに問われれば、間違いなく使ったほうがいい。
だがh1タグを使ったからといって、ランキングに目に見えるほどの変化はないであろう。また、h1タグにキーワードを詰め込んだからといって評価が上がることもない。
しかし、ページが何について書かれているかをより適切に理解させることにはh1は確かに役立つ。
API利用条件としてのリンクは有料リンクと同じ
何かの代償としてのリンクはガイドライン違反 (John Mueller on Twitter)
APIを使う条件としてリンクを張るように指示しているサービスがあるのですが、これは問題ないのでしょうか?
こうした質問をツイッターで受けたグーグルのジョン・ミューラー氏は、次のように返信した。
それは本質的には有料リンクだ。
@jsilton That's essentially a paid link. :-/
— John Mueller (@JohnMu) 2016年8月29日
問題のサイトにはこのスクリーンショットのように指示が書かれていた。
お金が介在していないとしても、何かの代償としてリンクを張らせる行為はガイドラインに違反する。張る側も張らせる側も、どちらも手動対策の対象となるので注意してほしい。
辻氏から次のような指摘をいただいた。
「API利用条件としてのリンクは有料リンクと同じ」の件、全てNGというわけではなく、状況によるはずですね。このケースでは当然こう答えるよね、という文脈問題かなあと。 https://t.co/enqyYycIGe
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016年9月8日
たとえば日Yahoo!のAPIも、dofollowリンクの「HTMLソースの変更」を禁止していますけど、これでAPI利用者やYahoo!が有料リンクでペナったら大笑いになりますわ。 https://t.co/j4InNASuvv
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016年9月9日
辻氏が言うとおりで、API利用の条件としてリンクを要請することがどんな場合においても必ずガイドライン違反とは限らないだろう。PageRankを渡し、検索順位を操作する目的でリンクを張らせることが前提条件として含まれていることが筆者の説明には欠けていた。
指摘してくれた辻氏にこの場を借りてお礼する。
この秋は、グーグル検索でファッションショーを楽しもう!
普及するかどうか怪しいビミョーな機能? (Inside Search)
検索結果にリアルタイムで投稿を表示させる機能を、グーグルは試験的に公開している。現在は、米大統領選挙の候補者と限られたローカルビジネスがこのサービスを利用できる。
今回あらたにグーグルは、ファッションショーの様子をこのサービスを通じて検索結果で表示するようにした。著名なアパレルブランドが参加している。舞台裏も見られるそうだ。
世界中でファッションショーが開かれる時期なので、提供を始めたそうだ。ファションに興味があるユーザーには喜ばれるかもしれない。
普及するかどうか微妙な機能のように筆者は感じているのだが、しばらくの間はさまざまなジャンルで試していくのだろうか。
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