キーワードプランナーでAdWords広告費が少ないとデータ制限、原因はSEO屋の無茶なアクセス!?
今日は、SEOの話題を。SEOのキーワード調査に必携のツール「グーグルAdWords広告キーワードプランナー」で、広告費の少ないアカウントでは、表示されるキーワードデータの精度が制限される変更が入りました。どういう制限なのか、その背景とともにグーグルに聞きました。
AdWordsの広告予算が少ないと月間検索ボリュームがざっくりとしか表示されなくなる!?
グーグルは、AdWordsのキーワード調査ツール「キーワードプランナー」で、月間の利用広告費が少ないアカウントでは、キーワード調査結果のデータ表示制度に制限をかけるようになりました。
具体的には、次のような表示になります(検証用として、作りたてのAdWordsアカウントを使用)。
月間平均検索ボリュームの欄が、通常のアカウントでは「135,000」「60,500」「4,400」と表示されているのに対して、作りたてのアカウントでは「10万~100万」「1万~10万」「1000~1万」となっています。
この件は、英語版のAdWordsコミュニティへの書き込みという形で8月12日に発表されました。
- Updates to the Keyword Planner Tool(The Google Advertiser Community)
ここで書かれているのは、次のようなことです(一部、安田が補足)。
キーワードプランナーで技術的な(表示が遅くなる)問題が起きていたが、修正した。これに伴い、次のようなアップデートをAdWordsキーワードプランナーに追加した。
ほとんどの広告主は、キーワードプランナーのデータを以前と同様に見られる。
月間支払い広告費が少ない広告主は、キーワードプランナーでのデータ表示に制限がかかる。
たとえば、「月間平均検索ボリューム」の情報が「0」「1~100」「100~1000」「1000~1万」「1万~10万」「10万~100万」「100万~1000万」「1000万~1億」といった具合だ。
さらに、検索ボリューム情報を大量に調査している場合も、同様にデータ制限が入る場合がある。
トラフィック予測(クリック数の予測)のデータには制限がかからない
もともとキーワードプランナーで表示される検索ボリュームの数字はさほど正確ではないため、単純にその数字に頼ってはいけないという話は以前からありました。
とはいえ、少しでも正確なデータを知りたいというのは人情でしょう。
もちろん、キーワードプランナーはSEOのためのツールではなく、AdWords広告主のためのツールです。でも、なぜグーグルはこうした変更を加えたのでしょうか。
グーグル「ボットによる過剰アクセスのせいで、ちゃんとした広告主の利用に問題が生じていた」
この変更の背景を、グーグルさんに聞いてみました。
―― キーワードプランナーでのデータ制限は英語のAdWordsコミュニティでの発表でしたが、日本でも同様なのでしょうか?
グーグル グローバルでの対応なので、日本のアカウントでも同様に適用されます。
AdWordsコミュニティでの発表(8月12日)の頃から、全世界で一斉に適用を開始しました。ですので、日本でも英語圏と同じタイミングで順次変更されていっています。
―― なぜデータ制限を加えたのでしょうか。
グーグル ボット(プログラムによる自動アクセス)でキーワードプランナーにリクエストを大量に投げてデータを収集している人がいたのです。そうしたボットのせいでサーバーが遅くなり、ふつうに使っているAdWords広告主がキーワードプランナーを利用しづらくなっていたことが原因です。
本当にちゃんとキーワードプランナーを使っている人がちゃんと使えるように、今回の制限に踏み切りました。
―― そうしたボットは、人と比べてどれぐらいのリクエストを発行していたのでしょうか。また、日本でもそうしたボットが動いていたのでしょうか?
グーグル ボットが人に比べて具体的にどの程度の負荷をサーバーに与えていたかについては示せませんが、実際に、キーワードプランナーでデータを取得しようとすると、非常に重くなってしまう問題が発生していました。ですから、問題があったのは確かです。
個別の国の状況については公表していませんが、グローバルでロールアウトしているということから、実際に日本でもボットが動いていたのではないかと思われます。
―― 制限がかかるのは、具体的にどれぐらいの広告費やどれぐらいのリクエスト数からなのでしょうか。
グーグル 申し訳ありませんが、具体的なしきい値は公表していません。
制限の理由が前述のようなものですので、具体的な数値を公表すると、そのギリギリのラインをクリアしたうえで以前と同様にボットを動かされてしまう可能性があるからです。
ただし、ふつうにAdWords広告を利用していれば、いままでどおりキーワード情報を取得できるはずです。
また、キーワード調査の回数が多くなると制限が入るという点についても、利用されている広告費が多ければしきい値が緩和されます。大量に広告費を使っているということは、よりたくさんの広告を出しているということであり、それだけキーワード調査も必要になるからです。
―― SEOコミュニティにはある種の衝撃が走ったようですが。
グーグル AdWords広告のためだけでなく、SEOのためにキーワードプランナーを使っている方がいらっしゃるのは、グーグルでも理解しています。
今回の制限は、「AdWordsで出稿していない人にはキーワードプランナーは使わせない」という意図ではないことをご理解ください。
本来キーワードプランナーは、AdWordsを利用している広告主さまが広告を運用するためのデータを提供するものです。
その本来の利用者が適切にツールを利用し続けられるようにするための、やむを得ない制限なのです。
―― 自分のアカウントでデータが制限されてしまったら、どうすればいいのでしょうか。
グーグル ご利用のAdWordsアカウントでキーワードプランナーのデータ表示が制限されてしまっている場合でも、広告を出稿すれば、通常どおり利用できるようになるはずです。
よくわからない場合は、グーグルや広告代理店の担当者、またはサポート窓口に連絡していただければと。
制限がかかってしまった場合、AdWordsで広告を出稿すればすぐに戻るのか、少し時間がかかるのかは、残念ながら確認できませんでした。
読者の方で、試してみた方がいれば、ぜひコメントなどでお教えいただければと。
個人的には、実はこれぐらいのデータ精度でもいいんじゃないかと思います。
というのも、データ精度が粗いほうが、あまり細かい数字にとらわれず、潜在顧客のニーズや検索意図を考えるほうに意識がいくようになるのではないかと思うのです。
それにしても、悪質なSEO屋には困ったものですね。昔も、盗用したオーバーチュアのキーワードツールのデータを自社データのように見せてサービスを提供していた会社がありましたが。
いつの時代も、単に「できるから」という理由で行動し、他者に迷惑をかけてしまう人というのは、なくならないものですね。
あなたのAdWordsアカウントではキーワードプランナーのデータは制限されていましたか? この制限について、あなたはどう考えますか?
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