HTTPやFTPの「プロトコル」とは? 元は外交儀礼や議定書を表す言葉
今日は小ネタです。「HTTP」や「FTP」など、ネットに関連する言葉で「プロトコル」という言葉がありますが、この元は「外交儀礼」や「議定書」といった国際間のやりとりのルールを表す言葉だと、知っていましたか?
HTTPもFTPもプロトコル
「HTTP」も「FTP」も「TCP」も「IP」も、コンピュータの世界では「プロトコル」と呼ばれます。どれも、コンピュータ間でデータ通信をするためのルールの取り決めです。
Webやマーケに従事している人が技術的な詳細を知る必要はありませんが、「HTTPとは何か」「FTPとは何か」のことを知っておくのはいいでしょう。
「HTTP」は、HTMLや画像を取得したりデータを送信したりするためにブラウザとサーバーがやりとりする通信手順を定めたもので、正式名称は「ハイパーテキスト転送プロトコル」。
「FTP」は「ファイル転送プロトコル」の名のとおり、ファイルを送信したり取得したりするための通信手順を定めたものです(ファイル転送ソフトの名前ではありません)。
「TCP」「UDP」「IP」は、インターネットでデータ通信を行うための決まりです。宛先に正しくデータを届け、やりとりをするための手順やデータ構造を定めているものです。HTTPやFTPは、これらのデータのやりとりの仕組みを前提としています。
いずれも説明のなかに「手順」という表現があるように、「まずこういう形式でデータを送り、それに対して相手がこう返事したらこういう状態なので、次はこういう形式でデータを送っていい」といったことが定められているものです。
なぜ、こういうものが存在するのでしょうか? それは、ハードウェアもOSもソフトウェアもさまざまな種類のコンピュータが接続するインターネットでは、「こういうルールでやりとりしましょう」と定めていなければ、ぐちゃぐちゃになるからです。
実際に、サーバーもルーターもスイッチも、パソコンもスマホも、ブラウザもFTPソフトも、WindowsもMacもLinuxも、すべてそうしたプロトコルに則って通信しています。
そもそも「プロトコル」って何?
というと、「プロトコル」というのはコンピュータの世界の用語だと思うかもしれませんが、実は違います。
「プロトコル」は本来「外交儀礼」を表すもので、この意味を表すときは「プロトコール」と書かれることが多いようです。
外交儀礼とは「無用の混乱や争いを避け、円滑な外交の環境を提供するための基本ルールとしての、規則や手順」です。
Wikipediaでは外交儀礼のことを次のように解説しています。
外交儀礼としてのプロトコルとは、外交の場や国際的催しで、その実務や交流の場における公式な規則や手順などを、ひとつの典拠として利用できるようまとめたもの。歴史的外交事例に基づいた慣行や慣習を整理し成文化したものであり、法的な拘束力はもたない。
具体例としては、列席者の序列、国旗の取扱い、式例の進行手順、参列者の服装、物事の言い表し方などについて、その一般的な運用法をあらかじめ決めて明示するものだが、そもそも成文化されていない純粋な慣例も多く、その内容は時と必要に応じてさまざまに変化する。
外務省のWebサイトにも「国際儀礼(プロトコール)」というページがあり、基本的なお約束を解説しています。
つまり、「プロトコル」とは、文化の異なる国と国が公式にやりとりをする際に、お互いに問題なく物事を進められるようにするために、何をどういう順番でどうするかを定めたものということですね。
言われてみれば、「まず偉い人に挨拶をしなければ無礼になる」という文化と、「偉い人には最後に挨拶をしなければ無礼になる」という文化があったとしたら、どうするのが礼儀かの規準がないと、どうすればいいかわからなくなってしまいますからね。
ということで、「HTTP」や「FTP」のような「プロトコル」は、そういう名前のソフトやハードウェアがあるわけではなく、主にIETFという組織などで定められた「手順やデータ形式などの決まり」なんですね。
インターネットに接続するハードウェアやソフトウェアは、その決まりに則って通信を行うように作られているのです。
その「決まり」の正式な文書はインターネットで公開されていますので、もし「具体的にどんな決まりがあるの?」と気になった場合は、「HTTP RFC」「FTP RFC」などを検索してみてください。
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