初代編集長ブログ―安田英久

LinkedInで偽物が社長をかたって業務依頼、アルプス電気が注意のリリースを発表

ビジネス向けソーシャルメディアでのなりすましもチェックしなければいけない時代なのでしょうか
Web担のなかの人

今日は、LinkedInに関する話題を。「第三者が社長になりすましてLinkedInで業務の依頼をしている」というリリースをアルプス電気が発表したのです。企業はこうしたビジネス向けソーシャルメディアでのなりすましもチェックしなければいけない時代なのでしょうか。

偽の社長がLinkedInで活動!?

アルプス電気が2月3日に次のようなリリースを発表しました。

アルプス電気株式会社は、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のひとつである”LinkedIn”において、第三者が、当社代表取締役社長 栗山年弘になりすまして登録し、第三者に対して業務を依頼している事案を確認致しました。

当社は既にLinkedIn社に対して、当該アカウントの削除を依頼しております。

現在、当社はLinkedInをはじめとするSNSを通じた業務の依頼、商談等は一切おこなっておりません。

お客様や関係者の皆さまにおかれましては、LinkedInの当該登録ページを参照することにより、誤った情報を入手したり、虚偽の商談を持ち掛けられたり、あるいは当該アカウントに対してお客様が提供した情報が悪用されるなどの恐れがありますので、十分にご注意下さるようお願い致します。

LinkedIn(リンクトイン)」は、ビジネス向けのソーシャルネットワーキングサイト。TwitterやFacebookはどちらかというと個人として使うソーシャルメディアですが、それに対してLinkedInは完全に「ビジネスマン」として使う場所ですね。

日本ではさほど有名ではないのですが、英語圏ではLinkedInを通じたリクルーティングや、ビジネスのアピールなども積極的に行われているようです。

そうしたLinkedInですから、当然のようにそこでビジネスに関するやりとりがされるのですが、そこで、第三者が著名企業の社長として登録し、社長になりすまして業務の依頼をしていたというのです。

名前で検索したみたところ、同社の社長であるという記載の人物が、LinkedInには存在していました。学歴として記載されている内容が本人のもの(京都大学卒)とは異なりますので(大阪大学卒と記載)、おそらく偽物のアカウントがまだ削除されていないのだと思われます。

LinkedInの監視も業務として必要になるのか?

これに限らず、LinkedInでは偽物や詐欺が存在するようです。そうしたことを報じた記事も、いくつかあります。

マーケ部門の人が「ソーシャルリスニング」として、自社や商品・サービスに関して語られていることをチェックするという動きはすでに行われています。しかし今後は、人事部などで、LinkedInのなりすましチェックもしていくべきなのでしょうか。

もちろん、何かあっても「それは当社の人間ではありません」と言えます。しかし、この事例のように社長の偽者が大手を振って活動していたとなれば、組織のあり方として問題だととらえられかねません。

ちなみに、株式会社インプレスでLinkedInを検索してみたところ、社名も「株式会社インプレス」「Impress Corporation」などあり、また、社員でない方の「インプレスから書籍を出版」などの記述も混じり、なかなか検索が難しかったです。

ソーシャルメディアでの業務を行っていません……

もう1つ、この件に関して気になる点があります。リリースで、次のように記載されていることです。

現在、当社はLinkedInをはじめとするSNSを通じた業務の依頼、商談等は一切おこなっておりません。

たしかにアルプス電気の業務内容では、ソーシャルメディアで業務の依頼や商談はほとんどしないのだと思います。また、リリースでは告知やマーケティングに関しては触れていませんから、ソーシャル上でそうした活動をしていないとは言っていません。

でも個人的には、企業として「ソーシャル上でビジネスをしていません」と書いてしまうのは、ちょっと微妙だな、と思っています。

この時代ですから、ソーシャルメディアを通じてビジネス上のやりとりを行うことは、ふつうにありますよね。

経済産業省も、次のような発表をしています。

せめてリリースでは「当社は」ではなく「社長本人は」という記述に留めておいたほうがよかったのではないかな、と……。考えすぎですかね?

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