初代編集長ブログ―安田英久

スマホでだけ画質が劣化!? キャリアの「通信の最適化」によるトラブルにWeb担当者もご注意を

サイトを閲覧したときに、スマートフォン利用者だけ画像が汚くなっててしまう場合があるようです
Web担のなかの人

今日は、Webサイトに関するトラブル(利用者さんからのクレーム)に事前に対応しておくための情報を。サイトを閲覧したときに、スマートフォン利用者だけ画像が汚くなっててしまい、必要な情報がユーザーさんに届かない場合があるようなのです。

画像ファイルの画質を劣化させる仕組みを、ケータイキャリアがユーザーに無断で導入しているという情報が、この週末に話題になりました。

ソフトバンクやドコモなどのキャリアが「通信の最適化」という仕組みをこっそり導入してるという話題です。

「通信の最適化」というと良いことのように思われますが、ここで言う最適化とは「通信でやりとりされるデータ量を減らす」ということ。具体的には、ネットワーク上を流れる画像ファイルなどをキャリア側で自動的に変換してファイルサイズを減らすという仕組みのようです。

それだけなら通信が早くなって良いのですが、問題は、次の2点。

  • ファイルサイズを減らすだけでなく、画質も劣化させている場合がある(場合によっては変換によってファイルサイズが増えているという報告も)

  • 画像に含まれるExifなどのメタデータを削除している場合がある

電気通信事業者の成すべきこと・してはいけないことや、著作権における同一性保持権といったことに関しては、この記事では触れませんが、この仕組みにより、Web担当者にはたとえば次のような問題が発生する可能性があります。

  • ECサイトで高画質な商品拡大画像を用意していても、ユーザーがスマートフォンを利用している場合はこの仕組みによって画質が劣化し、商品の細かい点を確認できず、販売の機会を損失したりクレームになったりする。

  • ノベルティや購入特典として写真などの画像データをWebを通じて提供している場合、スマートフォンでそのデータをダウンロードした人は、画質の劣化したデータしか入手できず、クレームになったり顧客ロイヤルティが低下したりする。場合によっては画質に関して権利者とのトラブルになる可能性も。

  • Exifデータなどのメタデータで画像の著作権を明確にしていても、そのデータが削除され、それが原因で著作権が侵害される状況を生む可能性がある。

現時点では、こうした問題に根本的に対応する方法はないと思われます。

※2015-07-01追記 画像をHTTPS(SSL/TLS)で取るようにすれば、この影響を受けないようです。

強いて言えば、サイト上で「スマートフォン利用時には、モバイルネットワークの影響で画像の画質が低下する場合があります。そうした状況が発生していると思われる場合は、お手数ですがパソコンからご利用ください」といった注意書きをしたり、さらに「通信の最適化」の設定を無効化する方法を利用者に提示したりというぐらいでしょうか。

また、そうした対応をサポートセンターにも周知しておくべきかもしれません。

モバイルキャリアのサービス仕様の問題であるため、我々にできることは少ないですが、インターネットと通じて顧客に情報やサービスを提供している立場として、意識しておくべきだろうことを整理してみました。

御社では、影響ありそうでしょうか?

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