SEO担当者は日々どう仕事を進めれば、経営者にも認められるのか
SEOは、「一度やってしまえばおしまい」の作業だと誤解されることが多い。サイトを仕上げて最適化したら、終わりだというのだ。しかし、SEO担当者の日常業務はそんなものではない。
この記事では、SEO業務のなかで継続的に行うべき仕事を紹介したうえで、それがビジネス目標に貢献していると経営者に納得させるための考え方を紹介する。
Mozファンのみんな、こんにちは。今回は、SEO担当者の日々の活動や、初めてのサイト監査を終えたり問題を修正したりした後に何をすべきかについて、僕がときどき受ける質問に答えたいと思う。
SEO担当者の業務、ひととおり終わったら……
SEOの日常業務には、どんなものがあるだろうか?
多くのSEO担当者、特にコンサルティングの経験がある人や社内SEO担当者として入社した人で、大きなプロジェクトに関わるSEO業務を手がけてきた人は、そうした業務が完了すると、次に何を行うべきなのか、戸惑いを感じる。
通常、SEOのプロセスはきわめてシンプルだ。
まず、サイト監査のようなものを行い、サイト上のすべての要素に目を向ける。何が間違っていて、何が足りなくて、どこに自分たちの仕事のできる余地があるのかを見つける。競合分析や市場分析もするだろう。
そして、修正すべき点を特定する。
その点に対して、チームで協力して変更を加える。
結果が反映されたことを検証する。
しかし、ここまで行った段階で、こんな風に考えることはないだろうか。
これ、また最初の監査から全部のフローを繰り返して、改良を重ねていくのか?
改めてイチからすべて行うのも、なんだかしっくりこない。
かと言って、ひどく旧式なSEOモデルを踏襲するのも、なんだか違うような気がする。「旧式なSEOモデル」とは、こういうものだ。
検索結果で上位に表示されるようにしたいキーワードはわかった。
コンテンツを最適化して、そこそこリンクを獲得し、キーワードで順位がどうなっているかチェックしよう。
あとは手直しを繰り返して、改善し続けよう。
僕に言わせれば、このモデルはとっくに破たんしているし、SEOにおける機会のありかたや、今の時代に通用する戦術の現状を反映していない。
ビジネスやマーケティングに沿って見直すのが、本当の「SEO監査」
僕は、ここで行うべきことは「SEO監査」、つまりSEOに焦点を当てた監査だと考えてみたい。
ここでいう「SEO監査」とは、
- どのようなトラフィックを獲得できるか?
- 何が足りないのか?
- 何がうまくいかなくて、何が間違っているのか?
を問いかける作業であり、マーケティングプロセスやビジネスプロセスの下流に当たる、きわめて戦術的なレベルに位置するものだ。
真に成すべきは、より段階的に進めることを志向しながら、情報を集め、現時点でのビジネスニーズに基づいて戦術や作業を進化させることだ。
したがってまず、次のように問いかけよう。
会社やマーケティングの最も重要な全体目標は何か?
社内の全員が、今年、今四半期、今後3年間の計画で実現しようとしていることは何か?
われわれは、何を実現しようとしているのか?
次に、その目標にSEOが最も貢献できる領域を考えよう。
そこから、自分がうまく貢献できそうなプロジェクトを特定し、戦術リストを作成する。
それから実施したいことを評価して、1番目、2番目、3番目というように優先順位を付け、試験的に実施する。
そうしたことを行うことによって、たとえば次のような案が浮かんできて、それに価値があるかどうかを判断できるのだ。
この特定のコンテンツのために新しいブログセクションを作ったり、このセクションを中心にユーザー生成型のコンテンツやコミュニティを作ったりしたら、素晴らしくなると考えられる。
こういうサイトにアウトリーチしたり、こういった世界のソーシャルメディアで実績を積んだりすれば、適切な人たちの目にとまることができ、検索結果での表示順位を引き上げるために必要なトラフィックが増幅されるだろう。
これは優れたプロセスであり、少なくとも年に1回はやりたくなるだろうし、それが四半期ごとになる場合もあるかもしれない。
大切なのは顧客をタイプ別に考えること
こういった作業はすべて基本的に、「顧客プロフィールの世界」、つまり人々のタイプやセグメントごとに考える世界を軸とする。
仮に「X」「Y」「Z」という3人のユーザーがいるとしよう。もちろん、現実の世界にはもっと多くの異なるペルソナが関わってくるだろう。あるいは、特定のタイプのユーザーだけに繰り返しリーチを試みる場合もあるだろう。だがその場合でも、狙っているユーザー層に対して影響力を持つ人々が関わってくることだってありえる。
いずれにせよ、顧客を適切にタイプ分けできていれば、たとえば次のようなことを考えられる。
ユーザーZはこの種のコンテンツやトピック、キーワードに大きな関心を持っていて、そうしたコンテンツやキーワードを利用したり検索したりしている。
だから、キーワードセットAやコンテンツセットAというものを用意して、キーワードリストやコンテンツリストを作成しよう。
そして、それをバックアップする物を作り、公開して宣伝していこう。
これはコンテンツでも、動画でも、ソーシャルメディアで両方を組み合わせたものでも、どんな形のコンテンツでもいい。ツールでもいいし、アプリケーションでも何でもいい。
そういった物を公開して宣伝したら、さらに情報を拡散させ、状況をデータで測定して、そこから学ぶ。これがプロセスの重要な部分だ。
成果を見るだけでなく、自分のしたことから何が学べるかを把握し、できればこのプロセスの繰り返しがますますうまくできるようになりたい。このプロセスは繰り返し行えるもので、さっき言った破綻したとされている古いプロセスや、サイト監査プロセスと似たところもある。
とにかく、このプロセスは繰り返し行うものだ。時には、前の段階に戻ってみよう。
キーワードセットAについて予定していた作業の2割ぐらいしか終わっていないが、そこから得られると想定していた価値のうち、得やすい8割についてはもう獲得できているんじゃないかな。
だとすると、ここで次のステップに進んで、キーワードセットBをやってみて、それからコンテンツセットCもやってみよう。
時々は、もう1歩進んで、こんな風に言いたいこともあるだろう。
僕たちのペルソナや市場は少し変わりつつあるかもしれない。となると、別の新しい顧客をターゲットにしてみるべきじゃないか。
新しい種類のコンテンツやトピック、キーワードなどを用意することで、この新たな層と新たなインフルエンサーにリーチできるか、試してみよう。
サイトが好調に進んでいるなら、つまり監査も終えすべてが順調にいっているなら、このプロセスの効果はずっと高まる。
ただし、実際のビジネス目標と連動していることが必須だ。連動していれば、SEOプロセスで成果が出たときに、前提に戻ってこう指摘できるからだ。
全体の目標に対してSEOが貢献できる領域はここだって、前に言っただろう。実際にほら、SEOの成果が、全体目標を直接結びつけられるようになっていると思わないかい?
SEOによるこういったすべての成果から得られた指標は、このビジネス領域に直接結びついているよね。このビジネス領域の指標は全体の目標とつながっている。ということは、SEOがちゃんとビジネス目標につながっているものなんだと、わかってもらえるよね。
そうなれば、会社にいかに貢献したかは、CEOをはじめ誰もが認めるところとなるだろう。
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