バズったコンテンツに押し寄せた新規ユーザーは、単なる通りすがりなのか、見込み客なのか?(第40回)
バズったコンテンツに来訪した新規ユーザーが、見込み顧客としての行動を起こしてくれたかどうかを確認したい
コンテンツはバズる。バズるときは、いきなり、前触れもなくバズる。バズったコンテンツには、普段の何十倍、何百倍ものユーザーが一気に押し寄せる。その流入元は、大手ニュースメディアのケースもあるが、多くはソーシャルメディアである。
「バズる」とは、英語の「Buzz」(ザワザワしている)という単語から作られた用語だ。ある話題やコンテンツがTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアで急に話題となって、それに関する投稿が急増する現象を指している。
ソーシャルメディアは、時として思いがけないくらい多くのユーザーを誘導する重要な集客チャネルの1つだ。そこで今回は、バズったコンテンツに、おもにソーシャルメディアで来訪した新規ユーザーが、自社の商品やサービスへの理解を深める行動を起こしてくれたかどうかを確認する、次のセグメントを紹介しよう。
- 特定のランディング ページから閲覧を開始した、新規セッション
セグメントで集客元のソーシャルメディアを絞り込む条件にしていないのは、今や各種ソーシャルメディアも多数あり、「デフォルト チャネル グループ」の分類の1つである「Social」を使ったり、参照元を個々に指定してもカバーしきれない場合もあるからだ。むしろ瞬間的に話題になったコンテンツが閲覧開始になったセッションという条件にした方がカバーしやすいだろうという考え方によるものだ。
「デフォルト チャネル グループ」の分類の1つである「Social」を使ったセグメントで、ソーシャルメディアから来訪したユーザーの行動からニーズを推測し、集客施策やサイト改善に役立てたい場合は、以前に紹介したこちらのセグメントを使ってみてほしい。
バズったコンテンツのきっかけとなるのは、コントロールできない外部の投稿の場合もあれば、自社のスタッフが仕掛けて発信した情報の場合もあるだろう。
おもしろいタイトルやユニークなコンテンツなどでやってきた新規顧客が、ビジネスには何の役にも立たない一時的なアクセス増なのか、あるいは一時的なアクセスであっても、そこで自社の商品やサービスなどの理解を深めてくれたのかを知るのは、今後のコンテンツ施策を考える上で重要となるだろう。
バズったコンテンツに来訪したユーザーが目的の行動を起こしたかを分析できるようにする方法
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」(図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「条件」を選択した画面だ。
今回のセグメントの条件設定は、図3緑枠部分で行う。
今回作成したいセグメントは「特定のランディング ページから閲覧を開始した、新規セッション」だ。図4のように条件指定しよう。
まずはセッションベースのセグメントを作りたいので一番上は、
- 「フィルタ」「セッション」「含める」(図4赤枠部分)
と指定する。そして、新規セッションの指定は、
- 「ユーザー タイプ」「完全一致」「New Visitor」(図4青枠部分)
と指定する。
もう1つの条件と掛けあわせるために、同じ行の右端にある「AND」(図4緑枠部分)をクリックしよう。
その下に現れた条件指定部分で、
- 「ランディング ページ」「完全一致」「特定のページ」(図4黒枠部分)
とすれば、「特定のランディング ページから閲覧を開始した」条件を指定できる。「特定のページ」にはソーシャルメディアで話題になったページを指定するので変動する。具体的には、/abc/sample.htmlのように指定する。
実際、現在表示しているレポートにこのセグメントを掛けると、ユーザーベースとセッションベースでどのくらいの割合になるのかは、このセグメント条件指定画面の右側(図4紫枠部分)に表示されるので、一応予想の範囲内になっているかを確認しておこう。ゼロなどになっていれば、条件指定が間違っているかもしれない。
これでセグメントの名前を「ソーシャルでバズったコンテンツへの新規訪問」とでも名付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。これで新規セグメントの作成作業は終了だ。
ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザーの特徴を分析するには?
次にこのセグメントの活用方法を見ていこう。まずは[ユーザー]>[サマリー]レポートに新規作成したこのセグメントを掛けた(図5赤枠部分)レポートを見よう。
この例では、確かに1月上旬に該当ページが閲覧開始ページになった新規訪問のアクセスが急増している(図5青枠部分)のが確認できる。それ以外の時期にはほとんどセッション(訪問)がなく、話題は一時的に盛り上がっただけで持続性がなかったこともわかった。
続いて関連指標を見ることで、これらのセッション(訪問)の特徴を分析していく。
「ページ/セッション」(図5緑枠部分)は1訪問あたりの閲覧ページビュー数だが、これが1.11ということは、ついでに他のコンテンツを見ることもなく帰っていったということだ。実際「直帰率」も91.67%(図5黒枠部分)と極めて高く、ほとんどのユーザーが該当のページだけ見て帰ってしまったことが確認できる。
バズったコンテンツへの集客チャネルで見落としているものがないか確認するには?
続いて見るのは、[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照サイト]レポートだ。図6は、このレポートに該当セグメントを掛けた(図6赤枠部分)ものだ。ソーシャルメディアからの流入が主であることは何となくわかっているのだが、見落としている集客チャネルなどがないか、参照元の一覧(図6青枠部分)を念のため見ておこう。
さらにこれらの項目(図6青枠部分)はドメインレベルで表示されているので、それぞれをクリックして、実際のページが何だったのかをドリルダウンして確認し、実際にそのソーシャルメディアなどで、どのような文脈の中で取り上げられリンクが張られているのかを確認し、次のコンテンツ企画の役に立てられないか、アイデアがあればメモしておこう。
図6のケースでは、どのソーシャルメディアからの流入においても残念ながらサイト内の別のコンテンツはほとんど閲覧されていないので、目標到達は皆無(図6緑枠部分)なのだが、集客元のソーシャルメディアの種類が豊富にある場合は、それぞれのソーシャルメディアからの集客ユーザーの特性を掴んでおこう。
バズったコンテンツへ訪問したユーザーが他にどんなコンテンツを閲覧したか、分析するには?
次は今回バズったコンテンツで生じたせっかくの訪問を活かせたかどうかを見るために、[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに該当セグメントを掛けて(図7赤枠部分)みよう。それが図7だ。
図7の例はあまりに残酷な結果なのだが、このセグメントを掛けた結果、表示されたページが1つしかなかった(図7青枠部分)。該当の話題になったランディング ページだけしか存在しないので、いっさい他のページへの回遊がなかったということなのだ。直帰率91.67%とあるが、同じページを続けて表示したゴミみたいなデータが含まれており、実質的に直帰率100%とも言える状態だったのだ。
このレポートでは、ランディング ページ以外に表示されるであろう別のいくつかのページを見て、話題になったページを見に来たついでに見てくれたコンテンツを確認し、新規訪問ユーザーの周辺コンテンツの関心の高さや見てくれたページの内容などから、次のコンテンツ更新の参考になるようなヒントを見つけていただきたい。
ソーシャルもやってます!