仕事でWebサイトにかかわるなら、“コンテンツ”が果たすべき3つの役割を知っておけ!
“コンテンツ”の役割を理解していないWeb担当者や業者に喝!
そのコンテンツはユーザーのニーズに応える“ソリューション”になり得ているのか?
コンテンツが果たすべき3つの役割を知るべし!
「Webサイトを制作してください」とWeb担当者は言うけれど
お客さまの問題を解決する情報がないのであれば、どんな「コンテンツ」があっても、Webサイトとしては機能していないと言っていい。
コンテンツという言葉の意味を、ここでは「情報」と定義する。
情報には、商品やサービスの基本説明のような基本情報と、お客さまの問題を解決するためのソリューション情報まで、さまざまな情報が存在する。
ここで問題にする情報とは、基本情報ではなくソリューション情報のほうだ。
基本情報でさえしっかりしていないWebサイトは論外としても、それ以外の情報がないWebサイトが多く存在していることは問題だ。
私は20年来、「Webサイトはお客さまの問題解決ツールであり、お客さまは目的をもってWebサイトに訪れるのだ」とクライアントに話してきた。
だから、お客さまの問題を解決する情報がないのであれば、Webサイトとしては機能していないということになる。
つまり、Webサイト制作=ソリューションコンテンツ制作ということだ。
Web担当者にこの認識がないのは、そもそも弊社を含めた制作会社にも問題がある。
紙媒体における「印刷」に該当する「ページ自体の制作」や「レイアウト」が、Webサイト制作だと信じ切っていて、ソリューションコンテンツの制作が自分たちの仕事の範疇であると理解できていない。もしくは、それをクライアントに明確に伝えきれていない。
Web以外のメディアであれば、コンテンツ制作=ソリューションコンテンツ制作だということは確認するまでもない。
たとえば、「カタログを作ってください」と言うクライアントに対して、「わかりました! 印刷の手配をしておきますね!」などと答える制作会社はあり得ない。しかし、Webの世界ではこんな言葉を聞くことは、しょっちゅうだ。
Webサイトの制作をお願いします。
コンテンツはカタログから拾ってください!Web担当者A
ユーザビリティの改善をお願いします。
コンテンツは、現状のものを適宜利用して対応できますよね?Web担当者B
おしゃれなデザインでお願いします!
コンテンツは、とりあえず今あるもので。Web担当者C
Web担当者からはこんな話ばかりで、コンテンツそのものの話がまったく出てこない。
もちろんこれは、Web担当者だけの問題ではない。制作会社にも問題がある。
カタログデータがあれば、コンテンツは十分ですよ!制作会社A
今のデータをそのままCMSに取り込むことが可能です!制作会社B
こんな調子で、「コンテンツそのものの話こそ制作である」ということを、まったく理解していないのだ。
どんな目的のWebサイトであれ、お客さまの問題を解決するためにコンテンツは必要だ。お客さまの問題を解決するソリューションコンテンツが提供できれば、お客さまとの“関係づくり”の最初の一歩になり得る。
リアルでは実現が難しい施策であっても、Webならソリューションコンテンツの内容次第で実現できるのだ。
それは、そもそもWebサイトには、何らかのニーズを持ち、それ(情報や商品など)を探しているお客さましか訪れないからだ。
たしかに、数は少ないかもしれないが、きちんとした(リアルなら普通の)対応をすれば、間違いなく“関係づくり”をスタートできる。それがWebサイトの強みであり、企業がWebサイトを提供している本質的な意味であると言っても過言ではない。
だから、お客さまへのソリューションコンテンツを作らないのは、Webサイトを有効に機能させる気がないということになる。
そもそもコンテンツとは何なのかを根本から考え直すべし
仕事でWebサイトにかかわっている人にとってのコンテンツとは、「ニーズをウォンツに変える」情報だと言える。これは、まさにマーケティング施策だ。
昨今、よく耳にする「コンテンツマーケティング」も、ニーズに対するソリューションを提供することを基本としている。
また、仕事でWebサイトにかかわっている人にとって、コンテンツとは以下の3つすべてであると考えてほしい。
- ニーズに対する基本情報やソリューション情報の提供
- 価値を見出すための、啓蒙や学習のための情報の提供
- エモーショナルな情報の提供
ニーズに応え、価値を見いだし、エモーションに訴えなければ、コンテンツとして意味がない!
単なる基本情報の提供は、情報があふれた現代では、ソリューションにはならないということを再認識すべし!
基本情報ですらお客さまに探させたり、選ばせたりしているようでは、Webサイトとして機能しているとは言えない!
デバイスもエンジニアリングも進化を続けるWebサイト制作
コンテンツの見せ方も新しい時代へ
マルチデバイス対応もしかり、One to One対応もしかり、Webサイトはユーザーニーズ最適化の次のステージを迎えようとしている。
だからマルチデバイス対応では、間違ってもデザインだけPCと折り合いをつけるような考え方を持たないでほしい。
お客さまのシチュエーションに応じた、デバイスごとのニーズを鑑みたコンテンツの提供こそが、次世代に求められるマルチデバイス対応である。
デバイスもエンジニアリングも進化を続けるWeb業界だからこそ、コンテンツそのものに目を向けなければならない。
お客さまごとにコンテンツを出し分ける時代は、もうそこまで来ている(ECサイトではすでに当たり前だ)。しかし、ここで問題になるのがお客さまごとに利用できるコンテンツが存在しないことだ!
出し分けたくてもコンテンツが1種類しかない……。こんな問題に、最近よくぶち当たる。
カタログ情報は、誰が読んでも、初心者から上級者まで対応できる当たり障りのないコンテンツを提供するものであり、そうでなければ問題が起こる可能性もある。
しかしWebサイトなら、初めての人なのか、何度も来ている人なのか、そんなことは簡単に確認できる。だからこそ、お客さまごとにコンテンツを最適化しなければならない。
そして、そのためには、ニーズごとにコンテンツを制作しなければならないのだ。
コンテンツ制作こそがWebサイト制作そのものであり、Webサイトの基盤を支えるデータである。
そう、ここがスタートラインであり、到達点ではない。
コンテンツを、お客さまに、どんな順番で、どんなデザインで……それを考えることがWeb担当者の仕事なのかもしれない。「コンテンツそのものを考えること」と言い換えることもできるだろう。
まずは、Webサイト制作の予算の中に、コンテンツ制作の予算を取ることから始めてほしい。
さらに、基本情報は担当者が作るべきだろうが、ソリューション情報などはプロに任せることをお勧めする。
コンテンツ制作者に愛と尊厳とお金を!
(制作会社の心の叫び)
コンテンツが無ければ本当の「デザイン」はできない
キノトロープでは、Webサイトで必要なコンテンツを「ユーザー体験シナリオ」というメソッドで洗い出しているという話は、この連載で何度もしてきた。
この「ユーザー体験シナリオ」で洗い出したコンテンツをページ単位で構成要素にまとめていくのだが、ここで毎回クライアントとすれ違いが起きる。
キノトロープが提示する構成要素は、そのページに入るべきコンテンツの要素が書いてあるだけ。デザインでも、レイアウトでもない。
しかし、ほとんどのクライアントは、これをレイアウトやデザインだと勘違いする。
これは、ほとんどの制作会社が、構成要素=レイアウトやデザインとしているからだ。
雑誌の世界では、緊急を要するページにだけ適用される「完全先割」という制作手法がある。写真の位置、原稿の文字数などを先に決めてから、ライターやカメラマンに発注する。
時間がなくて締め切りが迫っている場合のみ、仕方なくこの手法で制作を進める。
通常の制作進行では、コンテンツをテーブルに並べて内容を吟味し、それぞれに最適なレイアウトやデザインを行う。普通に考えれば、これは当たり前のことだが……。
通常の制作進行であれば、前提を確認してデザインできるので、原稿そのものや見出しを変えるといった修正をページ単位で行うこともできる。
キノトロープの制作進行も、構成要素はあくまでページに入る要素が妥当かどうかの確認であり、レイアウトやデザインはコンテンツがすべて出そろってから行っている。
しかし、Webサイト制作においてこの進め方をするには、クライアントに相当しっかりと説明しなければ、理解してもらうことができないのが現状だ。
Webサイト制作=ソリューションコンテンツ制作という大前提に立つなら、「まずコンテンツが明確でなければ、ページのデザインもレイアウトもできない」という当たり前のことが認知されてしかるべきなのだ。
制作の進め方の問題も含めて、そろそろコンテンツファーストの時代へ、クライアントも制作者も移行しなければならないと声を大にしてお願いしたい。
本日のまとめ
Webサイト制作の本質とは、ユーザーのニーズに対するソリューションコンテンツを提供することと心得よ!
「お客さまのためのコンテンツ」でなければ、Webサイトで成果を出すことはできない。
すべては、お客さまの問題解決のために!
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