ネット広告費の25~50%はボットに浪費!? 米国で不正広告ボット調査チーム発足
今日は、ネット広告と「不正なボットによる広告費の浪費」に関するお話しを。米国では、なんとネット広告費の25%~50%が人間のユーザーではなくボットに費やされている可能性があるというのです。
米国広告主協会は、不正な広告ボットを調査し問題を軽減するためのチームを発足したことを、7月14日に発表しました。
ボット判別などのテクノロジーをもつWhite Ops社と協同で、デジタル広告全体において不正なボットの状況がどの程度なのかを調査し、企業のデジタルマーケティング担当者が対策を行うことでボットによる被害を減らせるようにすることが目的。自動車、消費財、金融などさまざまな分野から30社の広告主が参加しており、10月半ばごろにレポートを出す予定とのこと。
- 米国広告主協会(ANA:Associaion of National Advertisers)のリリース
→ http://www.ana.net/content/show/id/21842
米国では、Web行動の27%(モバイル)~51%(PC)が、人間ではなくボットなどによる可能性があるという調査があります(Solve Media社調査)。
こうしたトラフィックに対して広告が表示されることにより、ディスプレイ広告に費やす企業の広告費が無駄になっているということですね。
広告の不正対策サービスを提供しているSpider.io社は、ウイルス感染した家庭のコンピュータが遠隔操作される「ボットネット」のなかには、無人で月間90億インプレッション分もWebページを閲覧し、テキスト広告やディスプレイ広告をクリックしているものもあるとしています(2013年)。
- 新種のボットネット「カメレオン」は、広告主に毎月600万ドルの損害を与えている(TechCrunch)
→ http://jp.techcrunch.com/2013/03/20/20130319new-chameleon-botnet-could-be-costing-advertisers-up-to-6-million-a-month/
米国広告主協会は、こうしたボットによって年間数十億ドルが浪費されている可能性があり、また、キャンペーンのデータが汚染され、適切な分析と最適化に問題を生じさせていると指摘しています。
こうした不正の話題は、クリック課金の広告でも以前からあります。
ボットもそうですし、競合によるクリック、新興国で広告をクリックするためだけの仕事をしているグループ、低単価で誘導したユーザーに他の広告をクリックさせるためだけのアービトラージなどなどが言われています。
米Click Forensicsは、クリック課金型の広告を不正にクリックする「広告クリック詐欺」は16%~27%ほどあり、そのうちボットによるものが27.6%あるとしています(2008年)。
- 広告クリック詐欺の発生率は16%、ボットネットの関与が増加
→ http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/24/21303.html
Facebook広告のクリックの80%がボットによるものだったとした報告もあります(2012年)。まぁ、こちらはサンプル数が少なく、また調査方法やそこからの結論の導き方も微妙ではありますが。
- Start-up says 80% of its Facebook ad clicks came from bots(Los Angeles Times)
→ http://articles.latimes.com/2012/jul/30/business/la-fi-tn-facebook-ads-80-percent-bots-20120730
グーグルやヤフーのようなクリック課金型の広告サービスを提供する企業は、こうした不正クリックへの対応を以前から進めていました。
しかし、昨今ではディスプレイ広告が発展し、アドネットワークやDSPを通じた配信も盛んになるようになってきたことで、ディスプレイ広告側での不正対策が注目されるようになってきているのですね。
実際にグーグルは、前出のSpider.io社を2014年2月に買収し、ディスプレイ広告やビデオ広告などにその技術を早期に適用するとしています。
- グーグル、広告不正対策企業Spider.ioを買収(CNET)
http://japan.cnet.com/news/business/35044265/
日本では、こうした「広告に関する不正行為」の話はあまり表に出てきませんが、実際にはどの程度あるのでしょうか。
どこかのタイミングで、いちど調査して、対策の必要性があるのかを検討してみる価値はありそうですね。
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