企業ホームページ運営の心得

オモテナシを実現するレコメンド。総務大臣賞とアマゾンと

一般的な企業サイトであれば、ほぼすべてのケースで使える「オモテナシ」の心を紹介
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の328

Webの世界もオモテナシ

「イマでしょっ!」の独走を「倍返しだ!」が猛追したところに「じぇじぇじぇ!」と割って入って「オ・モ・テ・ナ・シ」。いわずとしれた2020年五輪招致の最終プレゼンで、元フジテレビアナウンサー滝川クリステル氏の発した「オモテナシ」が「流行語大賞」の最右翼に躍り出ました。

訪問者=お客様をどうもてなすか、これはすべてのWeb担当者の至上命題でもあります。しかし、残念ながら充実しているサイトは多いとは言えません。それは、相手によって欲するオモテナシが異なることにあります。ファストフード店でみれば、Aさんはハンバーガーの品質を求め、Bさんは珈琲の香りにコダワリ、Cさんはスマホの充電を望むといったように。

そこで今回は、一般的な企業サイトであれば、ほぼすべてのケースで使えるオモテナシと、アマゾンが体現するオモテナシの心を紹介します。

各国で異なるオモテナシ

本稿執筆時の2013年9月16日、世界的経済誌「フィナンシャル・タイムズ(FT)」にアクセスすると、トップには米連邦準備理事会(FRB)の理事に就任するかと噂されたサマーズ氏(翌日に辞退表明)の記事が掲載されています。一方、日本的経済誌「日経新聞」のサイトにアクセスすると、メインは日本列島を直撃した台風の記事です。これは地域性を考慮すれば当然ですが、そもそもの紙面構成に大きな違いがあります。

FTはマクロ経済を中心とし、日経は「バンダイナムコの新作ゲーム」といったミクロ経済を掘り下げている、という経済学的アプローチだけではなく、トップページに記事の見出しだけが並ぶFTに対して、株価や為替などの「市場指標」や芸能ネタまで盛り込んでいるのが日経です。

FTが手早く空腹を埋めるための「ホットドッグ」なら、まんべんなくさまざまな情報を得ることができる日経は「幕の内弁当」。それぞれ、訪問者という「客」の好みに合わせての結果なのでしょう。さらにいえば、紙と電子版でも客は異なります。こうした「客」の好みに合わせることはオモテナシの基本です。

説明不足のショッピングサイト

一般的なWebサイトにおいて、オモテナシの心をチェックできるコンテンツが「FAQ」や「初めての方へ」などの「自社サイト解説コンテンツ」です。しかし、だれよりも自社サイトを知っていることから、説明不足を放置していることが多いのです。

たとえば、とあるショッピングサイトで見つけた「お買い物の流れ」をクリックすると、こうあります。

まずは欲しい商品を探しましょう!

ところが、このページに「探し方」はなく、「詳細はこちら」をクリックしなければなりません。移動先のページでは、検索ボックスへのキーワードの入力を促していますが、掲載されている画面は商品ジャンルを選択するドロップダウンリストとミスマッチです。次のページ進むと条件検索の説明があるのですが、1つの画像で複数の条件設定がなされており、端的に言ってなおざりです。

このサイトが特別ではありません。多くのショッピングサイトは「カートに入れるシステム」を常識とし、説明が不十分です。さらなるネット通販市場の裾野の拡大を狙うなら、「カート」を理解していない層へのオモテナシは喫緊の課題ではないでしょうか。

訪問者に合わせたオモテナシ

それではすべての企業で使えるオモテナシを紹介します。

我が町、足立区が公式ホームページをマイナーチェンジしました。基本的なサイトはそのままに、コンテンツの外側に「子育て」「シニア」「魅力(観光)」とタブ状のナビゲートを用意し、クリックするとそれぞれの情報を集約させたインデックスページが表示されるようにしたのです。このリニューアルによって「全国広報コンクール2013」において「総務大臣賞」を受賞します。

コンテンツ自体は以前のものとさほど変わらず、利便性が高まったかと問われれば首をひねるのですが、新設された3つのインデックスページによって一覧性は高まりました。そして、この手法は一般的な企業サイトでも導入できます

主力商品の取引希望者にむけて「○○をご希望の方へ」、販路拡大を目的とする企業へは「お取引を希望される企業様へ」といったように、目的別のグローバルメニューと、それに合わせたインデックスページを追加します。これがそれぞれの訪問者に向けたオモテナシとなります。

レコメンドの力

1つのコンテンツで、訪問者のすべての希望をかなえることは、どれだけ優れたWeb担当者でも不可能です。そこで、訪問者の多くが目的とする最大公約数を「レコメンド」としてまとめたのが「目的別ナビゲート」です。つまり、ネット通販大手の「アマゾン」が利用履歴に応じて推奨商品を掲載する「レコメンド」と発想は同じです。

ここで懐かしの「オモテナシ技」を紹介します。アクセスごとに内容が変わる「占い」や「メッセージ」、YesかNoかだけを問う「アンケート」も訪問者を楽しませるオモテナシです。隠されたメッセージや特定のキーワードを見つけると、特典を得られるという「宝探し」もかつて大流行しました。こうしたオールドファッションも一周まわって楽しいかも知れません。

それでは最後にアマゾンが体現するオモテナシを紹介します。

オモテナシは最後まで

小学校の校長先生は言いました。「家に帰るまでが遠足です」。そう、オモテナシも最後まで。これを体現しているのがアマゾンの「プレゼント」です。アマゾンで贈答用を選択すると「納品書」が同封されません。プレゼントの金額がわからないように配慮されているのです。そしてこれができていない通販業者は結構います。

客先納品で発注した販促ツール。客先に届いた商品には、

金額入りの納品書

が同封されていました。幸いにも大事に至りませんでしたが、客に原価がばれるのは決して好ましいことではありません。お客によっては値引き交渉の材料とされ、最悪の場合、信用を毀損します。発注主以外への納品が何を意味するか。相手の立場に立ち、相手が喜ぶことを先回りして実践するオモテナシの心があれば自明です。「アマゾン」が支持される理由の一端をここに見つけます。

今回のポイント

オモテナシは客によって異なる。1つですべては満たせない

相手の気持ち、立場を考えること

余談追伸

「あまちゃん」と過ごした2013年の春夏秋。Web担当者としても「北三陸市観光協会ホームページ」に注目していました。

震災後、主人公アキちゃんが帰り「レールウォークのお知らせ」が更新され、右の柱には「大吉駅長」から、支援への感謝の声が掲載されています。ウェブを絡めたドラマは数多く、そういえば「ツイッタードラマ」などもありましたが、「あまちゃん」ほど、等身大のウェブをとりあげ、そして連動させたドラマはなかったのではないでしょうか。

ひいきの引き倒しかも知れませんが「あまちゃん」をご覧で、まだストーブさんの管理するサイトにアクセスしていない読者がいれば最終回前にぜひ「今すぐアクセス!」とNHKの回し者になってみます。

以上。完全に余談ながら、私の推しメンは喜屋武ちゃんです。それと埼玉出身の入間しおりは、2世代前の「おはガール」で、親戚のオジサンの気持ちで応援しています。

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