[コラム]橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会

橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会 #006 ~ユーザーのログが人気サービスをつくる

橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会 #006

毎回、視点を変えてアクセス向上を考えるコラム、今回のキーワードは「ユーザーのログ」

CGMやロングテールの時代にこそ生きてくる、「リコメンド」に代表されるユーザーの行動ログの活用を考える。

橋本大也

アマゾンの自動リコメンド(推薦)機能は有名だが、これには次の2種類がある。

  • Aタイプ「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
  • Bタイプ「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」

本やCDの場合は、同じ著者やアーティストの作品や同じ趣味の作品がわかるのでAタイプが参考になる。高額の液晶テレビやデジカメの場合は、同時に2台も買わないだろうから、他のユーザーがどの製品を比較対象にしたかがわかるBタイプが役に立つ。

こうした同じ関心を持っている人の、何を買ったか、見たかは、CGM時代にこそ、リコメンドシステムの有益なデータソースになる。特に「買った」という行動のデータは精度の高いデータだろう。

たとえばMP3ミュージックだったら、みんなの視聴履歴を共有して楽曲探しをするLast.fmなども、行動ログを元にした実用的なサービスだ。

手前味噌だが、私が役員をしているメタキャストが、先日SAGURIという動画検索をリリースした。エンジニアが1人で発想しての短期開発で、たいした宣伝もしなかったが、発表直後に1万回以上の検索要求が殺到して驚いた。これはみんなが見ている動画だけを、視聴された回数でランキングする検索エンジンである。

メタキャストはTAGIRIツールバーというソフトを配布している。このツールのダウンロード数は累計で30万本。これをインストールしたユーザーが、ウェブブラウザで再生またはダウンロードした動画の情報を、サーバー上で集計しているのだ。累計千数百万件のトランザクションから、人気の動画の情報がわかる。

Saguriの動画の検索結果には、誰かが見た動画だけが表示される。誰も見ていないような動画は表示されないので、つまらないのは出ない。おもしろい順で出る。また、再生されただけの数よりもダウンロードされた場合をとても重視して計算している。保存しておきたいほどの動画は、よほど素敵な動画だろう。こうしてノイズが少ない検索ができるようになった。大量の検索要求があるのは、その精度の高さがあるからなのだと、今回はちょっと自慢してみる。

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あわせて読みたい http://awasete.com/

「あわせて読みたい」も目の付けどころがすばらしいなと思う。これは「あなたのブログ読者が読んでいるブログ」をブログ上に表示するサービスだ。ブログを運営している人は特別なコードを自分のページに設置しておくと、読者があわせて読んでいるサイトがサイドバーに表示される。もっとも、ここに表示されるのは、このサービスを使っているブログに限られる。しかし人気ブログがすでに多数参加しているため、おもしろい結果がでるようになってきた。

開始からあっという間に300万人以上のユーザーを集めて大人気の米国のimaginiは、ユーザーからログを集めて、人をマッチングするサービスだ。最初にログインすると「あなたにとって芸術とは?」という質問と同時に15枚の写真が表示される。連想したものをクリックすると「愛とは?」「気持ち悪いものは?」と次々に質問と選択が繰り返される。最後に、年齢、性別、国を選択すると、性格診断結果がビジュアルDNAで表示され、あなたに似た「DNA」の人を紹介してくれる。

昔から、行動ログからおもしろいリコメンドができると言われてきたが、多様なユーザーとおすすめアイテムがネット上に登場したCGMとロングテールの時代にこそ、使える仕組みになりつつあるのだと思う。アクセス向上の秘訣は、結構、みなさんのサイトやビジネスのログに隠れているのかもしれない。

用語集
CGM / アクセスアップ / コラム / サイドバー / ダウンロード / リコメンド / 検索エンジン / 橋本大也 / 行動ログ
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