橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会 #009
毎回、視点を変えてアクセス向上を考えるコラム
今回のキーワードは診断系。
橋本大也
2008年の初笑いサイトは「ヒゲチェン」だった。極めてよくできている。ハイテクを使って人を笑わせるというのは、とても難しいことなのだけれど、このサービスは見事に成功している。大笑いしてしまった。
自分や恋人の顔写真を送信するといろいろなヒゲをその上に表示する“ヒゲ”シミュレータである。カテゴリに分類されたヒゲが1000種類も用意されており、古今東西で目にするあらゆる形状のヒゲが網羅されている。おもしろいのはそれを3Dの動画に変換してくれること。ヒゲをたくわえた自分の写真が3次元になって、きょろきょろあたりを見回したりするのである。
作ったヒゲ面は静止画や動画をダウンロードしたりブログに張り付けられるようになっている。この記事の執筆時点(1月15日)は、発表からわずかな間であるが、mixiやブログで急速に流行り始めている。
「診断系」というのが、今年もいけると思うのである。
診断系というのは私の勝手な呼び方だが、2006年に流行した「成分解析」、2007年に流行した「脳内メーカー」のように、自分に関するデータをほんの少し入れると、個別の診断結果が返ってくるようなサービスである。
名前を入れると成分が出てくるという点では、昔からある「占い」系なのであるが、結果をブログに公開したりメールで送れるネット時代になって、みんなで楽しめる人気コンテンツのパターンになってきたように思う。
入力するデータはテキストとは限らない。顔ちぇき!の場合は、自分の顔写真データを送信すると、似ている有名人を教えてくれた。実は顔ちぇき!の背後には、人物属性(男女、年齢など)などの高度な顔認識技術がある。
Kayacが運営する「Web素行調査」も傑作だ。ブログなどWeb上のデータから、人物に関するキーワードを拾ってきて「素行調査」表を作成してくれる。診断結果のテンプレートがよくできていて、表示が実に楽しい。
これらの診断系人気サイトの共通点を分析してみると、以下の4つがツボだと思う。
診断系の4つのツボ
- 最初にユーザーのデータをほんの少し入力させる
名前、性別、年齢、メール、趣味などの個人情報を少しだけ入力させる。これによってユーザーのコミット感が強まる。
- 診断ロジックは非公開である
事実はどうであれ、高度な技術が背後に存在しているように演出する。何度か遊ばれても飽きられない程度には複雑にする。
- よくできたテンプレートに合成する
どんな内容で埋めても、それっぽく見えるテンプレートをたくさん用意しておく。他人に見せて自慢したり、笑わせたりするテンプレートが効果的である。
- 口コミで広めやすいフォーマットを用意する
診断結果の個別URLやブログ貼り付け、ファイルダウンロード、友達に教える機能などを用意して、みんなで楽しんでもらう。
今年はOpenSocialの本格化や、米国Facebookに見られるようなSNS内アプリの普及が予想される。そうしたSNSプラットフォームの上でも「診断系」は爆発するのではないだろうか。2008年は診断系に再注目である。
ソーシャルもやってます!