Googleアナリティクスの初期設定があっているか不安です
当クリニックの代表。
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ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
Googleアナリティクスの初期設定があっているか不安です
複数の見せ方を作る「プロファイル」を活用
先日、新しいお客さんにGoogleアナリティクスを導入したのですが、正しく設定できたか不安です。
新しい画面になって、設定個所が多いしね。
では、本日は正しい初期設定について考えてみようか。
まず大前提として、Googleアナリティクスには、生データを保存する「プロパティ」と、見せ方を制御する「プロファイル」が存在する。同じ富士山でも、写真や、絵画というフィルタを通すと、全然違うよね? 同様に、1つのプロパティ(生データ)に対して、複数のプロファイル(見せ方)が作成できることを覚えておこう。
※【参考】 衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
第2回「Googleアナリティクスの新規プロファイルを作成する」
プロファイルなんて、あまり意識したことがなかったです。
この前提を意識すると、“正しい初期設定”とは、以下の3つだといえる。
- プロパティ(生データ)を正しく取得する。不要なデータを入れず、かつ取りこぼさない
- プロファイル(見せ方)は、望まれる形で複数揃える
- プロファイル(見せ方)の最後の仕上げをする
以下、順番に見ていこう。
①プロパティ(生データ)を正しく取得する。不要なデータを入れず、かつ取りこぼさない
まず、不要な生データを考えてみよう。今回は何が不要かな?
「/mobile/」というディレクトリ下にスマホのサイトがあるんですが、このサイトのデータを取得してしまうと、PCサイトだけを純粋に計測したい場合に邪魔なんですよね。
一般的に、スマホサイトとPCサイトの生データは、完全に別サイトとして計測したほうが、わかりやすい。Googleウェブマスターツールも、それぞれ別サイトとして作成できるし、メリットは大きいね。
じゃあ、プロパティ(生データ)レベルで分けるべきですか?
フィルタをかけて、プロファイル(見せ方)で分けてもよい。そのメリットは、生データとしては同一サイトとして計測されるから、スマホサイトとPCサイトの細かいやりとりを取得できる。
どちらがよいのでしょうか?
上級者では両方行う人もいるし、ケースバイケースだけど、初心者にシンプルで使いやすいのは、生データレベルで分けるやり方だと思う。つまり、プロパティを2つ作るんだね。自信がなければプロに相談してもよいと思うよ。
そして、生データの取得漏れをなくすことを考えよう。これには、以下のような点を考慮する必要がある。
全ページのデータを取得する
全ページにトラッキングスクリプト(タグ)を貼って、データを取得する。タグの貼り忘れに関しては、タグマネジメントツールというものが出てきている。JavaScriptのタグはどんどん複雑になってきているから、そういう一元管理システムを導入するのもよい。「タグマネジメント」と検索するといろいろ出てくるし、Googleも最近「Google Tag Manager」という無料ツールをリリースしている。
標準機能では取得しないデータを取得する
たとえば「メジャーじゃない検索エンジン」は標準機能で対応していないことがある。対応策もあるが、標準機能で対応していないということは、重要じゃないと割り切って無視してもよい。
- その他計測したいデータを取得する
広告経由のアクセスや、PDFのダウンロード数、自社DBとGoogleアナリティクスを連携したいなど。取得したいデータはたくさん出てくるはず。1人で考えると限界を迎えるので、関係者を集めて「何を計測しておくと便利ですか?」とヒアリングするとよい。
「その他計測したいデータ」に関しては、たくさん見つかりそうですが、どう設定すればよいか迷いそうです。
確かに、Googleアナリティクスの仕様を把握していないと難しい部分もあると思う。初心者の場合、以下のルールを覚えておこう。
- 何かをクリックしたかどうかは「イベント」か「仮想ページビュー」を使って取得できる。
- ページ内部の詳細な動きや、自社DBとの連携は、基本的にできない。別ツールの導入を考えるべき。
- 「カスタム変数」を使えば、なんとかできるかもしれない
「カスタム変数」? おもしろそうですね。可能性を感じるので教えてください。
カスタム変数は、ユーザーのCookieに任意の情報を残してレポートに応用できる機能だ。ただし、習得には少し時間がかかるだろう。エクセルのマクロが1日で覚えられないのといっしょだ。ぜひ書籍を買って勉強するか、検索して勉強してみてほしい。
②プロファイル(見せ方)は、望まれる形で複数揃える
次に、プロファイル(見せ方)をいくつ揃えるべきか考えてみよう。
- 担当者ごとに見たいレポートが違うならば、その分作成する。
- プロファイル内にゴールは20個まで。20個を超える場合はプロファイルを複数に分けて設定する。
- スマホとPCのサイトが別なのに、1つのレポートにまとめて結果が出てしまうならば、PC用とスマホ用のプロファイルに分ける。
あと、生データを見せるプロファイル(最初にできたプロファイル)はそのまま残しておこう。生データからいろいろわかるからね。つまり最低2つ作るとよいと思うよ。
仮に、複数作成したい場合、たとえばスマホサイトとPCサイトとで、プロファイルを別に作成したい場合はどうすればよいですか?
プロファイルをコピーして、「フィルタ機能」を使うんだ。ぜひ以下を参考に実施してみよう。
※【参考】 衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
第6回「プロファイルに基本的なフィルタをかける」
③プロファイル(見せ方)の最後の仕上げをする
最後に、プロファイルの仕上げについて考えてみよう。仕上げは以下の順で考えよう。
1.閲覧する必要がないデータを除外する
たとえば、保守作業などでサイトを閲覧した履歴は見る必要がない。そういうデータを除いていく。Googleアナリティクスでは、最低限でも、「保守関係者、および自社のIPアドレスからのアクセス」は除外しておいたほうがよい。
さらに「別サイトのデータ」も除くのが望ましい。「別サイトのデータ」というのは、たとえば、自社サイトのトラッキングコードを、他の人がコピーしてその人のサイトに貼ってしまったとすると、Googleアナリティクスは、そのサイトのデータ取得も開始してしまうので、そのデータを除くという意味だ。
※【参考】 衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
第6回「プロファイルに基本的なフィルタをかける」
※【参考】Googleアナリティクスで他サイトからのトラッキングを排除する方法(NoteBookキートン)
2.便利な設定を入れる
Googleアナリティクスでは、分析や運用をする上で便利な機能がたくさんある。初心者は、最低限、「目標設定」と「ウェブマスターツールとの連携」を意識するとよいだろう。
※【参考】 衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
第5回「プロファイルの目標を設定する」
※【参考】GoogleウェブマスターツールとGoogleアナリティクスの連携方法(もしかして、Webコンサルティング)
3.変な表示を調整する
単位がドルになっていたり、「/」と「index.html」は同じファイルなのに別計測されていたりすることがある。このあたりを調整する。
※【参考】 衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
第3回「プロファイルの『デフォルトのページ』を設定する」
まとめ
初心者が不安になる理由は、設定の全貌が見えないからだと思う。今回は、なるべく迷わないように、最低限必要な設定についてまとめてみた。
当然、不安をなくすために全貌を押さえるとすれば、情報量が膨大になるので、そう簡単ではない。でも、生データの取得がしっかりできていれば、とりあえずデータ取得はできているわけだから、まずはそこからだね。
そう考えると、最初の生データ取得、つまりプロパティ設定が大切なのですね。
そう。だからこそ最初のミーティングで、「取得したいデータの洗い出し」と「取得を諦めたデータの認識合わせ」をすることが重要だ。そうしないと、「なにか取得漏れがあるかもしれない
」と、常にいつも不安に思わなくてはいけない。
最初に認識合わせをしておけば、あとから取得漏れのデータが出てきたとしても、そのときは話題にならなかったのだから仕方がないと諦められるからね。
でも、最初に知っておけばよかったということはありますよね?
そういうリスクを減らすには、Googleアナリティクスでは何ができて、何ができないのかしっかりシステム的に把握することが重要だ。いっそのこと、最初の設定だけはプロに入ってもらって作るのもお勧めだ。
自分で1つずつエクセルで計算するのと、最初からマクロを知っている人に教えてもらうのとでは全然違うからね。メリットがあると思うならば、外注も考えよう。
お悩みGoogleアナリティクスの初期設定があっているか不安です
アドバイス確かに、設定個所が多いので不安になる気持ちがわかります。この場合、割り切って「まず生データだけは取得しよう」という心構えが大切です。そこで、細かい設定を見直すよりも、一度関係者で「どんなデータが取得できると嬉しいか」というミーティングを持ちましょう。たった5分だったとしても、画面に張り付いて格闘するよりも、何倍も効果的なミーティングになるでしょう。
- 【5分】 関係者を集める
とにかくまずは関係者を集めましょう。そして「ウェブサイトでどんなデータを取得しておくと便利ですか?」と聞いてみましょう。
※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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