無料提供によるリンクビルディング(とブランド強化)のテクニック99選 #4
4回にわたってお届けしてきたこの記事も、いよいよ今回で最後となった。残る26個のテクニックを見ていこう。
前回と重複するが、この一連の記事で紹介するアイデアが目指しているのは、自分のブランドがネット上で話題にされる機会を増やすことだ。そこには、ブランドを話題にする人はリンクを張ってくれる可能性も高いという理屈がある。詳しくは前回の記事の冒頭の解説を参照してほしい。
全4回でお届けしているこの記事の第1回では「製品などの無料配布」、第2回では「お金をかける」「慈善事業の支援」「コミュニティの強化」、第3回では「コンテストを開催する」「知識を無料提供する」といったテーマで、合計73個のテクニックを紹介した。
最終回となる今回は、「ネットワークを広げる」「メディアへの働きかけ」「見返りを与える」というテーマで、26個のテクニックを紹介しよう。
ネットワークを広げる
- 無料のイベントを開催する
業界関係者に集まる機会を提供し、それを無料にする。自社サイトを通じてイベントを運営すると、参加予定者が他の業界人にも知ってもらおうとリンクを広めてくれる。
- ノーギャラで講演する
自分の知名度を上げるのに役立ち、さらにカンファレンスのウェブサイトからリンクを獲得できる。
- 無料の交流イベントに参加する
業界内で友人を増やし、時間を割いて情報を提供しよう。発言が気に入ってもらえたら、彼らはそのことを話題にし、リンクを張ってくれるかもしれない。
- 誰かにビールをおごる
Twitterでの交流もいいが、誰かを連れ出してリアルの世界で顔をつきあわせながら会話することの力は大きい。誰かを夕食に誘うか、ビール1杯をおごるだけでもいい。味方につけておけば、将来リンクパートナーになってくれる可能性がある。
- 電話代を惜しまず電話をかける
メールは無料かもしれないが、リンクを開拓するには電話の方がはるかに効果的だ。リンクしてもらいたいなら、相手に電話をかけてお願いしよう。リンクを張ってほしい理由を示し、なぜリンクをすべきなのかを説明しよう。
- 授業で教える
自分が知っている業界の知識をクラスで教えよう。今日の受講者が将来のリンク仲間になるかもしれない。
- 大学に講義用資料を提供する
大学の講師に協力し、自社の業界における最新情報を学生たちに提供しよう。何度かやっているうちに、大学に頼んで協力していることを講座のページやブログに掲載してもらうことを頼める関係になる。
- Twitter担当者を置く
自社ブランドがオンラインで言及されたときには、うまく対応することが望ましい。ピーター・シャンクマン氏が、飛行機を降りてからステーキを食べたいと思ったとき、こんな風にしてステーキにありつくことができた。もちろんシャンクマン氏には大勢のフォロワーがいるから、彼のリクエストに応えることは、ステーキを出したMorton's The Steakhouseにとって素晴らしいPRになった。
メディアへの働きかけ
- プレスイベントを開催する
時間とお金をかけてプレスイベントを開催し、次の製品を最大限露出させる。さらに、参加者全員にその製品を無料で提供して、後で取り上げてもらえるようにしよう。
- ジャーナリスト向けの内覧会を開く
自社が属する業界で影響力のあるジャーナリストたちを集める。限られた人だけを招待すること、製品を無料提供することを約束するのと引き替えに、記事を書いてもらう。
- HAROの質問に答える
HARO(Help A Reporter Out)を通じて報道機関に協力することで、マスコミでの露出を獲得する。
- PR配信サービスに登録する
HAROと同じく、PR配信サービスを利用し、ジャーナリストがどのような協力を求めているのかを確認する。ジャーナリストが必要なときに知識を提供しよう。これでその先ずっと、強力なPR関係を築いていけるだろう。
- プレスリリースを配布する
PR会社に委託するか、時間をかけて最高のプレスリリースを書く。製品についての情報を送り、ジャーナリストにレビュー用のサンプルを提供しよう。
- 地元メディアに連絡する
トピックについての情報ソースが必要かどうかを尋ねる。英国で自動車関連のニュースがあった場合、ジャーナリストたちはThe Automobile Association(AA:英国自動車協会)に電話する。それは、AAがすべてを開示し、発言を引用させてくれることを知っているからだ。AAはジャーナリストに何かを与える見返りとして、すばらしい記事を書いてもらうという結果を得るのだ。
- 有名人に製品を提供する
製品を持った有名人の写真を撮影してメディアに流すことにより、世間で製品が話題となるようにしよう。
- 広報担当者を置く
そうしたら、問い合わせ先の詳しい情報をオンラインで公開する。自分にとっては時間がかかることでも、ジャーナリストを手助けすることが品質の高いリンクを獲得するための最良の方法だ。
見返りを与える
- ファン割引を提供する
SEOmoz PRO Perksの企画では、プロ会員向けに各種割引を設けている。この企画に協力してくれている企業は、売り上げの一部を失う一方で、顧客の目に触れて話題が広がる機会を創出している。
- 顧客セキュリティを改善する
バークレイズ銀行は、口座残高をオンラインで確認する場合のセキュリティチェックを強化する装置を、すべての顧客に無料で配布した。これにより同行は、新たなセールスポイントを獲得するとともにメディアで報道された。
- 新機能を無料で追加する
自社製品向けのパッチを用意したり、追加機能を提供したりすることにより、製品の販売促進を行う新たな機会が手に入る。
- ファンに決定を委ねる
ファンをコントロールするのをやめて、次の一手をファンが決定できるよう手助けする。ゲーム「Mass Effect 3」のパッケージに描かれるヒロインのデザインは、ユーザーの投票によって決められた。このコンテストは口コミで広がり、一晩のうちに大量のリンクが爆発的に生まれた。
- カスタマーサービスを増強する
事業に投資することは、何かを提供することと同じだということを思い出してほしい。人は素晴らしいカスタマーサービスを褒めるのが大好きだし、ソーシャルネットワークが自由に使える今では、喜んで褒めてくれるだろう。だから顧客を大事にしよう。そうすれば、自社のことを話題にしてもらえるようになる。
- ブランド大使を募集する
飲料品「Relentless Energy Drink」のチームは、このブランドを話題にし、イベントを手伝ってくれる人を募っている。こうしたグループには、見返りとしてイベントで無料のアイテムが提供される。
- 支援ボランティアのチームを組織する
2012年のロンドンオリンピックでは、イベントを手伝う人には無料チケットが提供される。正規のチケットはもう売り切れなので、友人がチケットを入手できるようにしてあげたいと思っている人にとっては、リンクを張る対象として最適の場所だ。
- 覆面調査員を雇う
人を雇い、自分の店に行って商品を購入し、店の顧客サービスをテストしてもらおう。そして、買った製品はそのまま利用してもらう。サブドメインを作り、そこで希望者が応募したり、知り合いを紹介したりできるようにしよう。
- ファンに先行アクセスを提供する
ゲームソフトなどを手がけるValveは、代替現実感ゲーム(ARG)「Portal 2」のリリース直前にコンテストを開催し、勝ち抜いた人にこの新作ゲームへの先行アクセス権を提供した。勝者にとってはプレイ期間が2日間増えただけだったが、このコンテストは主要なゲーム関連メディアで、ARGのサイトへのリンク付きで報じられた。
そして最後のルール
- 以上のルールを組み合わせる
この記事では、こうしたアイデアを別々の箇条書きにしてあるが、これらを組み合わせることもできる。
たとえば、ファンから要望を吸い上げて、それをファンに無料で提供し、その製品が購入されるたびに慈善活動に寄付するような仕組みを設ける(The Behemothは、この仕組みを驚くほど上手に活用している)。
ここで紹介したテクニックが気に入ったら、僕の書いた本『Free Stuff Everyday』もご一読を。この本では、無料提供の考え方、そしてそれがなぜブランドや顧客にとって素晴らしいのかを説明している。
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