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ステルスマーケティング手法を禁止する新しい英国の消費者保護法(後編)

この記事は前後編に分けてお届けしている記事の後編となる。前回に引き続き、英国の新しい消費者保護法についてお届けする。今回は、新法の運用やその影響に関する解説だ。

どんな罰則が考えられるのか?

前回の記事で概要を解説した、英国で制定された「不公正取引から消費者を保護するための法律」では、法律に違反するマーケティング活動をすると、どんな罰則があり得るのか。

民事罰と刑事罰の両方がありえるわ。罰則は段階的で累進的なものになるみたい。少なくとも法執行当局はそう明言している。つまり、最初は具体的な指導が書かれた厳しい文面が届き、それから民事の制裁金や刑事裁判での有罪判決へと進むということになりそう。

初犯では、罰則は(今のところ)5000ポンド以下の罰金および2年以下の投獄。時効は違反行為が行われたときから3年以内か、提訴者が違反を発見してから1年以内のうちの早い方。

法律の執行者は誰?

英国においてこの法律を執行するのは、地方自治体の商取引基準局(TSS)ビジネス・企業・規制改革省(BERR)公正取引庁(OFT)などで、そのほか、広告基準協議会(Advertisig Standards Authority、ASA)みたいな、業界による自主規制機関から選ばれたところもあるわ。

市民や事業者それぞれが単独で規制の適用を求めて訴訟を起こすことはできないようだけど、確かなことはちょっとわからない。英国法の専門家の方で、この法律の下で一般市民に訴権があるのかご存じの方がいれば、教えていただきたいわ。

管轄裁判所はどこになる?

EU内だと、通常は違反を犯した事業体が置かれている場所の裁判所が管轄することになるわ。法律違反によって英国の消費者が不利益を被ったものの、違反行為を犯した事業体がスペイン(EU加盟国)にあるという場合、英国はスペインに対して、違反者に断固たる処置を取るように要請できる。

違反者が米国などEU圏外の国にいる場合は?

私は英国法の専門家ではないのだけど、経験から推測してみるわね。法律違反を犯した米国企業が英国と十分な関わりを持っている場合は、英国で提訴される可能性がある。英国との関わりがどの程度なら他国の企業が提訴の対象になるかははっきりしないけど、下記の要因が関係すると思うわ。

  • 事業者が英国の消費者をターゲットにしているかどうか
  • 事業者が英国に事務所を置いているかどうか
  • 事業者のサーバーなどの施設や設備が英国にあるかどうか
  • 従業員が事業拡大のために英国に頻繁に出張してるかどうか

関わりが深いほど、新法に違反した場合に英国の裁判所に召喚される可能性は高くなるわね。

この法律は、欧州および欧州以外の地域における
インターネットマーケティングにどう影響する?

リスクを承知で予測すると、この規制でそんな大きな変化は起こらないと思う。

なぜかというと、政府機関にはやることがいっぱいあるし、先に述べたステルスマーケティングの手法よりも目に余る、訴追すべき不正取引はたくさんあるから。お金を貰っていることを内緒にしているリンクやレビュー、ブログを発見して起訴に持ち込むというのは簡単なことじゃないのよ。それに、消費者の被害を考えたとき、最大の懸念事項というわけでもない。だから、法執行機関が限りあるリソースをこの手の悪事に対するパトロールや訴追に割くかというと、私は疑わしいと思う。となると、第11項や第12項の違反は、ほかのもっと重大な犯罪に追加されるものになる可能性が高いわね。

事態の進展があればお知らせするわ。もしかすると私が間違っていたことがはっきりして、EUにはインターネット上のステルスマーケティングに取り組む政治的意図とリソースが本当にあるのだということになるかもしれない。

それまで、事業者はどれくらいまでのリスクなら負えるのかを個々で判断し、その判断に従って行動することが必要ね。なんとしてもリスクを避けたいなら、対処法は、とにかく情報を開示することだわ。かなりのリスクまで許容できるという場合でも、罰金刑を受けた場合に備えてそれなりの資金は用意しておき、手の込んだあからさまなステルスマーケティングのキャンペーンは、少なくともしばらくは避けるようにしましょう。

では、ごきげんよう。
サラ

※Web担編注

参考のために、米国WOMMA(クチコミマーケティング協会)が定める倫理規定のまとめを記載しておく。

  1. 消費者に報酬を渡しながら、企業との関係を明らかにすることなく、商品推奨を依頼する行為をしない。

  2. 消費者同士のクチコミにおいて、サクラを起用したり、覆面マーケティングを行わない。

  3. クチコミで何を言うべきかを消費者に指示しない。

  4. クチコミ唱道者の本当のアイデンティティについて、消費者を混乱させたり誤らせたりする開示は行わない。

  5. クチコミマーケティングプログラムに子供は関与させない。

  6. 競合企業のネガティブな情報流布を目的とした活動などを行なわない。

  7. 既存ビジネス慣習を理解し、既存ビジネスで認められている手法は、その領域では継続して活用する。 (例:BtoC領域でこれまで行われている自動車評論家とのリレーション活動等)

  8. クチコミマーケティングを提案・受注する際には、広告主にこれらのリスクの説明を行う。

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