[コラム]長谷川恭久のCGM海原と共に

コンテンツとしてみたCMのネットプロモーション

テレビCMというものは疎まれる存在である。しかし、その正反対の「何度も見たい」テレビCMがあるのも確かで、YouTubeなどで何千万回も見られているものもある。
CGM海原と共に

元々煙たがれる存在だったテレビコマーシャルですが、ハードディスクレコーダをはじめとしたハードウェアの発展と普及により、簡単に CM をスキップしてテレビ番組を視聴できるようになりました。しかし、CM は完全に視聴者から見放されているわけではなく、中には「何度も見たい」と思えるようなおもしろい CM があります。たとえば Sony Bravia の海外向け CM は、その作り込まれた世界観が人気を呼び、YouTube をはじめとしたさまざまな動画サイトで数千万回見られています。テレビ媒体に CM を流すだけでなく、ネットを利用することで、従来よりも宣伝の露出を多くとれるようになるのです。

質の高い CM は何度も見るという視聴者の反応に注目したサービスが Firebrand です。他の動画共有サイトでも CM を見ることができますが、Firebrand は 100% CMだけが掲載されている CM 専用チャンネル。さまざまなブランドのコマーシャルをまるで MTV のように次々と見ることができます。ケーブルテレビの ION Television でも深夜に「Firebrand」という同名の番組をもっており、ウェブサイトと同様におもしろい CM を取り上げています。制作したのはどこか、監督はだれなのかといった、あまり知ることができない情報も Firebrand で見られるのは便利です。

ウェブサイトやテレビ番組だけでなく、携帯電話からもアクセスできるようになっている Firebrand のコンテンツ。テレビの枠では提供しにくい長めの CM も公開されています。

Firebrand の最大の魅力は、YouTube のように CM を自分のサイトに貼り付けたりメールで送ったりするといった CGM 的な要素があるところです。また、CM をまるごとダウンロードできるようになっており、視聴者が CM を自由に広められるようになっているのも特徴です。YouTube に掲載されるビデオより画質も良いので、CM を探しているのであればこちらのほうが良いかもしれません。

プロが作った魅力的な CM を広めるのが Firebrand ですが、アマチュアやセミプロが作った CM を広めるためのプラットフォームもあります。 AditAllGeniusRocket といったサービスです。サービスに登録しているブランドのために CM を作って、採用されたらお金が支払われる仕組みになっています。AditAll では、ロゴを入れたら完成するようなストックビデオを販売できるようになっており、クリエイターのプロモーションとしても利用できるようになっています。画質は高くないものもありますが、カメラのカット割りやアイデアはテレビで見る CM に劣ることはありません。より多くの人がクリエイティブプロセスに参加できるようになり、CM制作業界全体の質の向上につながるかもしれません。

AditAll や GeniusRocket のようなブランドとクリエイターのマッチングサービスはいくつかありますが、それぞれ特定の企業との独占契約や SNS 的な機能によって特徴を作っているようです。

最近では各企業のサイトで CM を見られるようになってきています。しかし、ブランドに関係なくおもしろい CM を見つけられるほうが利用者にとって便利ですし、見つけた CM を気軽にいろいろな場所に掲載できる仕組みがあれば、結果的に CM の元々の目的である露出につながるのではないでしょうか。ネットのおかげで多くの人がクリエイティブの過程に参加しやすくなっています。ましてやコンテンツとしての CM ならば、プロフェッショナルと呼ばれる人たちだけでなく、技術をもったアマチュアたちや、製品に強い関心をもった人たちの知恵を借りるのも1つの手段だと考えるべきでしょう。テレビ向けの CM を作るのは限られた企業だけでしたが、ネット向けではあれば参加できる企業も少なくありません。限られた時間にテレビの前でしか見られないコンテンツではなく、いつでも見られて自分のブログなどに簡単に貼り付けられる、これからの時代に見られる CM の条件はそういうものだといえるでしょう。

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