ネットで6億円を集めた男――政治だからこそCGMで「対話」を
毎回始まる時期が早まっている米国大統領選挙。選挙が始まった頃から民主党のヒラリー・クリントン上院議員、バラック・オバマ上院議員、共和党であればルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長の名前はよく聞かれましたが、最近になってからテキサス出身の議員ロン・ポール氏の姿をTVや新聞で見かけることが増えました。彼は特にインターネットでは高い支持を得ており、共和党議員の彼を支持する民主党派の人も出て来ています。しかも2007年第3四半期で集めた寄付金は500万ドル(約6億円)にのぼり、この金額は前四半期の2倍以上になります。そして寄付金の多くはインターネットを通じて集まったといわれています。
今や今選挙の有力候補の1人になりつつある彼は、オンラインのさまざまなネットワークやイベント向けのサービスで独自のグループを立ち上げています(図1)。
主に YouTube からの動画ですが、FreeMe.tv というインターネットTVチャンネルもあり、新しい動画はこのチャンネルから放映されることもあります。
彼はこうしたインターネット上の露出により多くの人に知られるようになったわけですが、政治家としての考えも積極的に発信しており、誰でもそれらにアクセスしたり意見を述べたりできます。オフィシャルサイトはもちろん、現在の彼の視点は、ポール氏に関する800以上の記事にアクセスできる Ron Paul Library や、Ron Paul 版ソーシャルニュース I Digg Ron Paul を通してを触れることができます。このように、投票者にリーチするための窓口をさまざまな形で提供しており、彼を理解したうえで支持してもらえるような情報の公開も惜しみなく行っています。
2004年度の大統領選挙ではインターネットを利活用したのは民主党候補のハワード・ディーン氏でした。ブログを最初に始めたのは彼でしたし、当時では珍しかった動画配信も行っていました。大統領立候補の宣言をネットで行ったヒラリー氏、そしてすべての候補のオフィシャルサイトにはブログがあるように、今回の選挙ではネットは欠かせない存在になっています。ネットを単に露出のための1つの窓口として使うのではなく、投票者との対話を行うために使っているという点では、ポール氏は他の立候補者よりもリードしているといえるでしょう。彼が多くの支持を集めているのは、彼がどのようなビジョンを持っているのかがネットで理解できるからこそではないでしょうか。
元々政治というのは、わかりにくいもの。日本でも「わかりやすい政治を」という言葉を耳にしますが、テクノロジーを利活用することによってより、伝えたいメッセージをより多くの人に届けられるのだと思いますし、ネットならではの対話も生まれると思います。日本でも少しずつこうした動きが見られるようになってきましたが、より一層強くなっていくことを期待しています。
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