Ustream.Tv
2万人以上が利用するお手軽ビデオ中継サービス
- サービス名:Ustream.Tv
- URL: :http://www.ustream.tv/
- 提供元:Ustream.Tv, Inc.
- Web2.0度:★★★★☆
田口 和裕
ITライター
サービスの概要/特徴
- ライブビデオストリーミングサービス
- 2007年3月26日スタート
- 現在2万人を超えるユーザーが、2000時間を超えるオリジナルの番組を毎日配信している
- ウェブカメラを利用した不特定多数へのライブストリーミング放送を公開可能。ビデオ録画機能、チャット機能、投票機能など
ストリーミングの生中継配信サービス
「Ustream.Tv」は、ウェブカメラとインターネット接続環境さえあれば誰でも簡単にライブビデオをストリーミングで配信できるウェブサービスだ。以前からあったSkypeやPeerCastのような一対一の配信ではなく、不特定多数に向けたブロードキャストを行うことができるのが大きな特徴だ。2007年3月にサービスを開始し、現在2万人を超えるユーザーが映像を配信しているという(図1)。
Ustream.Tvが大きな注目を浴びたのは2007年6月29日のアップルiPhone発売日だ。iPhoneを求めるためアップルストアに行列し、手に入れるまでの様子を複数のUstream.Tvユーザー(“ユーストリーマー”と呼ばれる)がライブ中継し、全世界で7万人以上に閲覧された(図2)。
「ショー」(Ustream.Tvでは番組のことを“ショー”と呼ぶ)の視聴方法は、サムネイルやタイトルをクリックするだけだ。YouTubeと同様にFlashベースのサービスなので、OSやブラウザを問わない。トップページにはオンエア中のショーが一覧表示されているので、おもしろそうなものをクリックしてみればいいだろう。多数のアマチュアが運営するショーだけではなく、政治家、ミュージシャン、評論家、コメディアンといったさまざまな分野のプロフェッショナルが作成するショーもラインアップされている。統計的な裏付けはないが、ここ数か月で日本人の利用者も爆発的に増えているように感じられる。
ショーには動画と音声の他にチャット機能が用意されている。ショーを見ながら他の視聴者とテキストベースの雑談ができるのだ。このあたりはニコニコ動画にも近いが、ライブストリーミングのため配信者もチャットに参加できるのが特徴だ。
だれでもカンタンに生中継
ライブを見ながらみんなでチャット
ショーを配信するのも驚くほど簡単だ。簡単なユーザー登録を行ってアカウントを取得したら、「My Shows」ページからショーを作成して「GO LIVE」ボタンをクリックするだけだ(図3)。
するとブロードキャストウィンドウが現れるので、後はウェブカメラを接続して画像を確認し「START BROADCAST」ボタンをクリックすれば放送開始だ(図4、図5)。
自分のブログに中継を埋め込んだり投票してもらったり
「My Shows」ページには自分のショーのURLが表示されているので、知人に知らせればすぐに見てもらうことができる。また、ブログに埋め込むためのHTMLソースコードも用意されている。映像だけではなくチャットウィンドウも埋め込めるのが特徴だ(図6)。
ショーを録画する機能もあるので、評判の良かったものをアーカイブとして公開したり、あらかじめ作成・編集した映像をアップロードしたりすることが可能だ。リアルタイム投票機能も用意されているし(図7、ライブポールと呼ばれる)、SoftCamやManyCamといったソフトを使ってデスクトップの映像をそのまま配信することも可能だ。
イベントの中継放送やそのアーカイブも見られる
Ustream.Tvは個人放送だけではなくイベント中継なども盛んに行っている。
たとえば、2007年8月4日にシカゴで行われたリベラル派市民団体が主催するイベント「YearlyKos conventin(http://www.yearlykosconvention.org/)」の模様は、Ustream.Tvによってほぼすべてのセッションがライブストリーミングされていた。
特にメインイベントである、ヒラリー・クリントン氏やバラック・オバマ氏ら民主党次期大統領候補が参加したプレジデンシャル・リーダーズ・フォーラムの中継では、2500人のユーザーが、生中継を見ながらチャットを通して真剣な議論を交わしたという。なお、コンベンション終了後もチャンネルは残され、いくつかのセッションのハイライトビデオが、現在も閲覧できるようになっている(図8)。
このようにUstream.Tvは従来のマスメディアに対抗し、個人によるあらたなメディアを作成するインフラであることに自覚的であり、そのことを示すべく積極的な活動とシステム開発を行っている。
先行するCGM動画サイトの本家YouTubeのキャッチフレーズは「Broadcast Yourself」だが、その思想により近づいているのは本家よりもUstream.Tvではないかというのは言い過ぎだろうか。
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