失敗しないためのCMS導入事例

自治体が各課からの情報発信を推進するために/福生市役所+WebRelease 2+CMSPro

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失敗しないためのCMS導入事例

福生市役所+
WebRelease 2(株式会社フレームワークスソフトウェア)+
CMSPro(ロフトワーク)

取材・文:加藤さこ

数百のテンプレートを15種類に減らし
すっきりと使いやすいCMS環境に

福生市公式ホームページは、1998年に開設して以来、市民に役立つ情報を提供するサイトを目指し、さまざまな試行錯誤を繰り返してきた。多くのサイトがそうであったように、福生市も開設時の98年には市庁内でサーバーを運用し、ページの制作は業者へ委託していた。しかし、データ量の増加やセキュリティ対策の強化のため、3年後には自庁サーバーからレンタルサーバーへと変更し、リニューアルを試みた。そして開設6年後の2004年に、作業効率の悪さが限界に達し、CMSの導入を決定した。

福生市のCMS導入を決定付けたのは、どんな問題だったのだろう。そして、導入後の2006年に行ったリニューアルまでに、どのような経緯をたどってきたのか。福生市役所 秘書広報課 広報係の北村 圭氏と情報システム課 情報システム係の桑原融氏、恒吉薫氏にCMS導入から現在の活用状況を聞いた。

ウェブサイトの基本的な情報や利用CMSに関する情報はこちらを参照

解決したかった問題点
  • 各課が同時に、簡易な方法でコンテンツの作成を行えるようにしたかった
  • サイト全体のデザインを統一し、利用しやすさの向上を図りたかった
  • 運用管理・メインテナンスを効率化したかった

ネットでの情報公開の遅れを改善したかった

福生市役所
企画財政部 秘書広報課 広報係
主査 北村 圭氏

北村氏によると、福生市がサイトを開設したきっかけは、「西多摩地域広域行政圏」という西多摩地区の自治体でつくる協議会の、足並みをそろえてサイトを開設しようという取り組みからだった。

サイトのコンテンツは、市が発行している『広報ふっさ』という紙媒体から。広報係が記事を抜き出して業者に制作を委託し、アップロード作業は自分たちで行っていた。しかし、この方法では、記事ができてから業者に渡すので、紙媒体の発行日には間に合わせられない。サイトに掲載できる情報も限られたものだけで、すべてを網羅することは不可能だった。

「広報誌をベースとした更新を充実させるため、2002年から、コンテンツ作成は広報係が担当することになりました。その後『くらしの便利帳』を網羅する内容を載せるようになり少しはサイトを充実させることができましたが、メインテナンスを行き届かせることはできませんでした。

また、この頃から、サイトに対して各課から要望が増えてきました。もっと見栄え良くして情報を増やしたいというものでしたが、市販のソフトで職員が簡単に直せるレベルのものではないので、別経費で委託することになります。そうなると少しの手直しをするだけでも経費がかかってしまうので、根底からシステムの見直しを考える必要がでてきました」(桑原氏)

翌年の2003年、福生市は情報システム課を中心に、庁内でコンテンツの作成や更新が可能となるしくみを模索し始めた。委託業者に相談してみると、CMSの導入が最適だという提案を受けたが、当時はCMSを知る職員がおらず、まずは知識を付けるために発売されているCMSの機能やコストを調べることから開始した。

「委託業者からはフレームワークスソフトウェアさんのWebRelease 2を提案されましたが、他のメーカーのものも5~6種類ほど調べてみました。しかし、どれも維持管理費が高く、大規模なハードウェアが必要なものばかりでした」(桑原氏)

高価なCMS製品を導入することに対してかなり迷いがあったという桑原氏は、現状でなんとか改善できないかと、市販ソフトを使って試行錯誤してみたという。

しかし、職員のIT知識のレベルでサイトの規模を広げるのは無理なことがわかった。数多くの部署にまたがるコンテンツを一部門で管理するのが不可能になってきたのだ。

業務を行っている各課が直にコンテンツの作成や更新を行うことで、わかりやすく速報性のある情報発信を実現し、合わせて運用管理の効率化を図りたい。そうした思いからCMSの導入を決定した。

導入することが決まると、比較的コストが安く、便利だと思われるものを選定するために、3種類ほどのCMSに絞り込んで見積もりを取り寄せた。検討した結果、最初に業者から提案された「WebRelease 2」が最適と判断した。

便利さゆえに発生したCMS導入後の問題点

WebRelease 2の導入を決定してから、準備と実際の導入までに10か月を費やした。その期間には、職員の操作研修も含まれた。これまでは、制作会社がデザインを作っていたので、担当課での制作指導は行われてきていなかった。CMSを入れることで作業を担当課に渡していこうという方向性に基づき、まずは自分たちでコンテンツを作るのだという意識改革を行う必要がある。そのためにも、テキストと写真を用意すれば簡単にページを作れるように、テンプレートの作成をウェブサイト制作会社に依頼した。


福生市役所
企画財政部 情報システム課 情報システム係
係長 桑原 融氏

「テンプレートは、必要に応じてどんどん増やしていきました。当時のバージョンのWebRelease 2では、テンプレートごとにアクセス権限が決められており、リンク設定もテンプレートごとに行っていたので、新規のコンテンツを作成するたびに新しいテンプレートを用意しなければならなかったのです。気が付くとテンプレート数は100点以上になっていました」(桑原氏)

WebRelease 2は、次バージョンからフォルダ単位でのアクセス権限が可能となったが、福生市が導入を開始した頃には、テンプレートごとの設定だった。

また、2004年6月に制定されたウェブアクセシビリティのJIS規格に準拠するために、配色に気を配り、文字を大きくした。文字サイズを大きくしたことで、ページの構成が難しくなってしまうという問題が発生し、デザイン性についても不満の声が高まってきた。

「HTMLの技術のある派遣職員がいるので、土台となるテンプレートを元に変更を加えたものをどんどん作っていきました。しかし、デザイン性を損なうものもあって庁内でも不評でした。コンテンツの数も増え、職員の手で行うのに限界が来ていました」(北村氏)

アクセシビリティとデザイン性の向上のために
新たなツールを導入

CMSを導入すればすべて解決すると思われたが、テンプレート数が膨大に増え、各課がコンテンツを作成する際にわかりづらく、また、デザインについても自分たちで改善することが難しい状況となった。予期せぬ第二の限界の到来だ。しかし、福生市はこの限界をサイトリニューアル時期の到来だととらえ、完全に庁内で開発できるシステムを構築する機会にした。

「この問題をすべて解決するにはどうしたらいいか、再び委託業者に相談しました。すると、今度はロフトワーク社の『CMSPro for WebRelease自治体向け』の利用を提案されたんです。これは、現在使っているWebReleaseを継続して使いながらテンプレートを変更できる自治体向けテンプレートパッケージです。リニューアルのもう1つの目的であるアクセシビリティに注力するという点も解決できるものでした」


福生市役所
企画財政部 情報システム課
恒吉 薫氏

導入後には、WebRelease 2もあわせてバージョンアップしたため、フォルダごとのアクセス権限を実現できるようになった。リンク設定方法も変更したためテンプレートを汎用的に利用できるようになり、テンプレート数も15種類ほどに減らすことができた。アクセシビリティに対しては、入力に際しての初歩的なマニュアルを作ったが、それ以上のことは自動的に反映させられるようになった。

「『CMSPro for WebRelease』には小規模から大規模サイトまで4種類のパッケージがありましたが、福生市のサイトには大規模向けを導入しました。最初にテンプレートを10種類用意しましたが、各課で使うのは2~3種類。現在はカスタマイズして全体で15個に増えましたが、100個以上あったときと比べると激減ですよ。もう1つの課題だったアクセシビリティについても、検証をしてみると、結果は良好なようです」(恒吉氏)

機能とコストを考え、より良いサイト作りを重視した結果のリニューアル費の出費だが、長い目で見るとコスト削減につながっているようだ。

庁内サイトも1つのCMSで管理

CMS導入時には気づかなかったが、新たにCMSPro for WebReleaseを入れてから気づいたことがいくつかあると北村氏は言う。

「テンプレートを1か所直せば全部反映されるため、メインテナンスが行いやすくなりました。以前は該当するテンプレートをすべて書き換えていましたから。

メニューページのテンプレートをカテゴリに関連付けることで、リンクが自動生成されるのも便利です。CMSの導入後も、活用法で失敗していたことが多かったようです。初期の段階では活かしきっていなかったんですね」(北村氏)

福生市では、昨年11月に庁内のイントラネットサイトもリニューアルした。これには新たなツールを使わず、現在のWebRelease 2とCMSPro for WebReleaseを利用している。CMSサーバーは1つだけでも、アップロード先を変えれば、複数のサイトを運用できる利点をうまく活用した例だ。

庁内では利用のしやすさから更新頻度が上がり、さらに今まで作成したことのない課がコンテンツを作り始めた。これはデザインが良くなって情報を探しやすくなったためだという。つまり、載せるべき情報が網羅されているか、確認しやすくなったため、自らのサイト利用が進み、自分でも作りたくなるという好循環を生んでいるのだ。

「CMSを扱えるようになってから3年目。もっと活用したいという気持ちが高まってきています。課ごとに1~2名担当を置いて合計37人ほどが携わっていますが、現在では担当者以外の職員も研修を受けてCMSを使うようになってきています。今システムを使っている人は100人くらいに増えているようです」(北村氏)

以前は、広報紙ができてからページの作成を依頼していたため、発行日にサイトを更新できなかった。サイトに掲載できる情報量も少なく、広報紙の掲載記事以外は職員がホームページ作成ソフトを使って手作業で作るか、ボリュームの多い場合は別途経費で業者に委託して作っていた。
CMSを導入すると、ほとんどすべての御店津を自分たちで作成できるようになり、積極的にコンテンツを入力することでサイトが充実し、さらに多くの課によるコンテンツ作りが促進される好循環が生まれた

CMS導入が開いた次のステージへの道

テンプレートを使うことで便利になった点の1つに、「ライフステージ別インデックス」など目次を3種類に増やせたことがある。トップからのリンクをどう分けるかを工夫し、複数の切り口を用意することでニーズから追えるようになり、使いやすさが向上した。

利用のしやすさから更新頻度が上がり、さらに今まで要望はあっても難しくてできなかったことが、テンプレートを活用して簡単にできるようになった。

「また、実感しているのは、情報サイトを複数の担当者で作るには、CMSが向いているということです。ホームページ制作ソフトでは汎用度が高すぎて、やることもバラバラになってしまう。たとえば勝手に文字に色を付けたり、小さくしてしまうことも可能です。CMS導入で全体が統一され、グレードが上がったと思っています。サイト作成に携わる担当者の数だけソフトウェアを用意するといった必要もありませんし(笑)」(北村氏)

安定したシステム環境を得られたことで、サイトの内容自体に目を配れるようになった。北村氏は、今後の課題としてアクセス数を増やすことを上げた。

「まだまだサイトに情報があるはずなのに見つけられないという声もあります。また、障害を持つ方には、役所に来ること自体が大変なんです。そのため、申請に必要なことをサイトに掲載するようにしていますが、まだ網羅されていないのが現状です。これをチェックして役に立つサイトにしていきたいです」(北村氏)

サイトを充実させていくためには、職員全員が発信者だという意識を持つことが必要となる。CMS導入によってそれを実現できる道筋が見えてきたようだ。

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福生市役所 サイト概要
URLhttp://www.city.fussa.tokyo.jp/
目的東京都福生市の公式ホームページ。市民への行政情報の提供と市内外への市の紹介など
総ページ数約1500ページ
PV数平均約20万PV/月
オープン 1998年(2004年と2006年にそれぞれリニューアル)
更新頻度月2回の定期更新+各課による随時更新
利用CMS情報
製品名WebRelease 2
提供事業者株式会社フレームワークスソフトウェア
URLhttp://www.frameworks.co.jp/
提供形態インストール型
出力形態静的HTMLファイル出力
対応OSMac OS X Server/Linux/Solaris
特徴国内導入実績が150社を超える純国産100%自社開発のミッドレンジCMS。プログラミングが不要なパッケージソフトのため、開発費がかからず短期間で導入できる。ライセンスは安価でサイト数やユーザー数は無制限。テンプレート作成はHTMLの知識さえあればだれでもでき、また、ユーザーインターフェイスはグラフィカルで使いやすく、専門知識がなくてもコンテンツの登録や更新が可能。
利用テンプレートセット情報
製品名CMSPro for WebRelease自治体向け
提供事業者株式会社ロフトワーク
URLhttp://www.loftwork.jp/
提供形態WebReleaseで利用するためのテンプレートセット
価格94万5,000円(テンプレートと初期のカスタマイズの費用、CMS本体の価格は含まれない)
特徴WebRelease用のテンプレート集で、自治体のウェブサイトで利用することを想定して、4つのサイト構造と4つのデザインをテンプレート化してあるため、規模に合わせて柔軟に利用でき、カスタマイズも可能。テンプレートはJIS X8341-3に対応したアクセシビリティに考慮した作りとなっている。優秀な自治体サイトを研究して作られた。
CMS導入概要

●第一次CMS導入(2004年)

  • まずWebRelease 2を導入してサイト全体をリニューアル
  • 導入準備+移行期間は約10か月
  • テンプレートは独自のものを業者に委託して作成
  • 既存コンテンツは業者に委託してほぼすべて移行(一部CMSになじまないものは以前の状態で残した)
  • 職員3名でコンテンツの追加作業を行う
  • リニューアル費用は399万円(CMS、CMS用サーバーなどのシステム構築、テンプレート開発、リニューアル作業などすべて含む)
  • CMS本体とCMS用サーバー、管理用パソコンなどは購入するのではなくリースを利用

●第二次CMS導入(2006年)

  • CMSPro for WebRelease自治体向けを利用してサイト全体をリニューアル
  • CMSのWebReleaseはバージョンアップして継続利用
  • 導入準備期間は6か月、移行期間は3か月
  • コンテンツの移行は職員4名と派遣スタッフ2名で実施
  • 職員3名でコンテンツの追加作業を行う
  • リニューアル費用は111万3,000円(テンプレートセット、WebRelease 2管理外ウェブデータの移行やシステムの一部修正、トップページ用画像などを含む。データ移行は別途)
    ※第一次CMS導入で環境が整っていたため通常よりは安価になっている
CMS選定のポイント

●WebRelease 2(CMS本体)

  • 手頃な価格で導入が可能
  • パッケージソフトなのでシステム開発が不要
  • 将来の変化にもテンプレートの変更で柔軟に対応が可能

●CMSPro for WebRelease自治体向け(テンプレートセット)

  • 使いやすいWebRelease 2をそのまま継続して利用できる
  • 予算を抑えてサイト改善の効果を出せる
  • アクセシビリティへの対応がされている

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※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.5』 掲載の記事です。

※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時(2007年2月)のものです。

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