初代編集長ブログ―安田英久

“世の中みんなバカばっかり”と思ったら、たぶん本当にバカなのは自分だ

「この会社の人間、だれもWebのことをわかってない、バカしかいない」そう思ったら……
Web担のなかの人

今日は、特にWebやマーケというトピックではないのですが、私の人生のなかで、最も役に立った教訓というか、そういうものの話題を。

この世の中、バカばっかりで、もう嫌になってきた

この会社の人間、だれもWebのことをわかってない、バカしかいない

そんなことを考えたことはないですか? こう思ったら、もうそこから抜け出す以外に解決の方法はなさそうですよね。でも、こんな風に考えてみるのはいかがでしょうか。

「自分以外のみんなバカだ」と思うときは、たぶんバカなのは自分のほう。

「バカ」という言葉を使っていますが、要は「わかっていない」「自分の考えに照らし合わせると、何かが違う」という意味です。

もちろん、本当に自分以外がみんなわかっていない状況というのは、あると思います。特に、新しい考え方や新しい技術などを活用するという観点でいうと、そういうことは多いです。

でも、自分以外の人が、その「新しいこと」に向かわずに、今までやってきたのと同じやり方をするのは、何か理由があるはずなんですよね。

そもそも、こちらが「こいつらバカだ」と思うということは、こちらの考えていることが理解されていない状況だということですよね。

にもかかわらず、「わからないやつがおかしい」と、話を強引に進めようとしても、進むはずがありません。

上司も、同僚も、他部署も、それぞれ仕事で重視するポイントも違えば、ふだん触れている情報の種類も違います。

相手に理解してもらって動いてもらうには、

  • 大前提となる情報を相手がわかる言語で共有し、
  • 相手が重視するポイントにうまく響かせ、
  • 自分の言うようにするとどんなメリットがあるかを把握してもらい、
  • わかりやすい成果を少し出してみせて、
  • 場合によっては相手の手柄になるようにする

そうしなきゃ、そりゃ動きませんわ。

そのなかで、もしかしたら、自分の知らなかった会社の仕組みやお金の流れの事情が見えてくるかもしれませんしね。

すべての「常識」を理解するのは無理

よくあるのが、こういう不満です。

これぐらいWebの常識だろ、理解しておいてくれよ……。

気持ちはわかるのですが、あなたが「常識」だと考えることを、他の人が理解していることは大前提としないほうがいいです。

というのも、すべての「いわゆる常識」を、すべての人が理解するのは無理だからです。

我々からすれば、Webの仕組みやデジタルマーケの仕組みは、「これぐらいは知ってないと恥ずかしい」ことですよね。

でも、ちょっと視点を変えると……。

  • 喫茶店の人 「オレンジペコはオレンジじゃないし、茶葉の品種でもない」
  • フレンチレストランのギャルソン 「こういう場でのマナーは社会人として常識」
  • DIY屋 「材質ごとの適した接着剤ぐらい知っておこうよ」
  • 中華料理屋 「酢と黒酢の違いは知ってて当然」
  • 寿司屋 「酢と赤酢の違いは知ってて当然」
  • カーディーラーの人 「車の構造ぐらい、わかってるのが当たり前」
  • 薬剤師 「薬の種類と効き方なんて、基本中の基本」
  • 警察官 「道路交通法ぐらい知ってて当然」
  • 弁護士 「刑法と民法ぐらい理解しておこうよ」

同じ社会にいても、役割によって「常識」は違うんですよね。

あ、わかります。同じ会社で勤めてるんですから、ここまで違いはないはずですよね。

でもね、同じ会社でも、営業と製品開発とマーケと広報とでは、それぞれやっぱり見ているものが違うし、重要視するものも違うし、そもそもふだんから触れている情報の種類が違うんですよね。

そう考えると、やっぱり、

「自分以外のみんなバカだ」と思うときは、たぶんバカなのは自分のほう。

と思っておいて、丁寧に説明・フォローしていくほうが、良い結果を生むと思いませんか?

ちょいとWebっぽい内容ではないですが、仕事を進めるうえの考え方として。

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