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何年か前に、サイト内行動ターゲティングというソリューションを紹介されたとき、ずっと昔からアドサーバーと付き合ってきた私としては、「これはアドサーバーでできるよね。」と思ったことがある。別にアドサーバーと言っても広告画像しか配信できないわけではないし、タグさえ貼れば企業サイト内でも配信できる。むしろ広告もサイト内コンテンツも、どんな人に何を見せるかという点では、同じソリューションと捉えたほうがいい。
ディスプレイ広告のアトリビューションについては、いろいろ議論されるようになった。12~3年前からポストインプレッションを熱く語ってきた私には、やっとここまで来たかという思いがある。ただ、広告の間接効果も含めての評価は、それはそれでいいのだが、評価で終わっていてはあまり意味がない。
クッキーごとに広告を配信しているということは、マーケティングサイドの論理で、ユーザーの閲覧ページを最適化しているわけだ。ユーザーにとってはたまたま閲覧したページに広告画像が配信されるが、マーケターはそのユーザーをターゲティングしている。そうした「枠」から「人」へのクッキーベースのマーケティングソリューションを展開しているのがDSPや3PASだとして、どうして流入後のサイト内は動的に生成されないのだろうか。ひとつのクッキーの一連の閲覧行動を広告接触からサイト流入後、またセッションも単一のセッションで捉えるのではなく、複数セッションを通じて1ユーザーの行動を把握して、サイト内コンテンツも最適化するという発想が欲しい。
ユーザーごとに動的に表現するということでは、リッチメディア広告フォーマットを企業サイト内でもっと活用してみてはどうかと昔から考えている。広告としてではなく、コンテンツとして。
前のエントリーに書いたが、大企業になると広告で流入を買う担当とサイトを制作管理する担当は組織も違うケースがほとんどだ。
企業サイトも基本トップページとツリー構造になっている、つまり固定的(スタティックな)ページで構成されている。しかしそろそろユーザークッキーごとに動的生成する方が最適化はぐんと進むと思う。
広告配信を「人」に当てるのであれば、サイト流入後もクッキーごとに最適化したほうがいい。そのためにも顧客にはどんな文脈があるのかをしっかり見定めて、複数のシナリオが書けないといけない。
2006年に「究極のターゲティング」という本を書いたが、そのなかで標榜した「ブラウザベースマーケティング」はデータベースマーケティングの進化型として、インターネットテクノロジーによって可能なCRM手法として、顧客化以前をも管理するマーケティングとなると思う。
「CRM的なデータ管理をベースにして、広告を含むコミュニケーション開発をする」という「CRM拡張」みたいな発想があると考える。
あるコンバージョンに至った顧客行動を遡り、行動データの類似性とコミュニケーション接点の近接性をもとに、認知からレリバンシー醸成のコミュニケーション開発をするという考え方である。顧客or見込み客のプルの接点を解析して、プッシュの接点を設計する行為と言っていい。
おそらく日本で初めてリターゲティング拡張による広告配信実験をした経験からすると、プッシュのコミュニケーション対象をプルの接点から抽出するというのは、プリミティブとはいえ、購買行動に近いところでのデータを起点に上流を構成する仕組みの一環であると思う。もちろん配信対象を抽出するだけでなく、そのメッセージをユーザー文脈ごとにいかに生成するかを試みないといけない。
顧客化したユーザーをシングルソースで、認知から購買までをトレースすると、マーケティング活動の何が効いていて、何が効いていないかが把握できる。そのサンプルが代表性を持っていれば拡大推計することでマーケティング施策の最適化が果たせる。
その視点で重要なのは、測定基準である。今はサイト測定をURLベースまたはセッションベースで測っている。例えば、セッションごとで導線を把握しているが、同じユーザーの別セッションは別のセッションとして理解しているので、ユーザーは常に「いちげんさん」扱いになっている。これはCRMではない。
あるサイト内コンテンツを閲覧して、そのセッションでは直帰しても、別のセッションでは期待されるコンバージョンに至ったとして、それをどう理解しているか。またリターゲティング広告を打つとしてどんな文脈でメッセージするのか。そうしたことがしっかり整理されているケースはまだ少ないのではないか。
また、広告やSEMとサイト制作は、広告主企業の担当セクションもそれらの作業をアウトソースする先も別々なので、シンクロしていない。広告で流入を促進する側は、ランディングページというが、サイトを制作管理する側からすると、そこはエントリーページである。サイトの内と外が別々に管理されるのでは意味がない。ユーザーにとっては一連の行動であって、それを一連の行動として把握しないのであればマーケティングにはならない。
上記の話は、オウンドメディアとペイドメディアの境目で起きていることだが、オウンドメディアとソーシャルメディア連携でも同じようなことは起きている。フェースブックページやツイッターアカウントなどは一生懸命やるわりには、本体サイトにはろくにソーシャルプラグインが設けられていない。
こうした現象が起きていることのひとつの原因は、日本の企業マーケターの適応能力にある。適応能力がないのではない。むしろ現場はあり過ぎるのだ。しかし経営が適応不全に近いので、そのギャップが、部分最適を促進する結果をより招く。トリプルメディアすべてを全体最適するためには、組織の上位レイヤーの人間がその仕組みを理解して、いかに全体最適が図れるかを模索しなといけない。
昔はどう繋がるのか全く分からない時代だったのだから、部分最適で良かった。しかし今は顧客行動を連続的に把握できる。できるのに部分最適のままにしておくのは経営の責任である。こうした経営判断と組織およびスキルの融合がある企業とそうでない企業はおそろしく差がつく。組織横断的に知見共有を進めようとする企業文化のある会社はこれから非常に強い。今までリードしていたようでも属人的なスキルに頼っていた企業は、こうした会社に一気に抜かれていくことになるだろう。
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