マクロミルが実店舗を再現した模擬店舗を整備して視線データの定量分析サービスを開始

都内最大規模、視線データの定量分析で得られる無意識の買い物行動で購入プロセスを理解

山川 健(Web担 編集部)

2021年4月12日 7:00

マーケティングリサーチ事業のマクロミルは、実際の店舗に近い環境を再現した模擬店舗を整備して視線データの定量分析サービスを始める、と3月30日発表した。模擬店舗は東京都内で最大規模という。実店舗とほぼ同様の販売状況下で商品が評価でき、視線データの定量分析で得られる無意識での買い物行動を捉えることで、消費者の購入までのプロセスが正確に理解できる。

実際の店舗を再現した「模擬店舗」

日用消費財メーカーが主な対象。マーケティングリサーチで商品陳列棚を前にした消費者の買い物行動の把握が必要になる一方、従来の調査手法は実店舗の商品陳列状況の再現性が低く、商品評価の精度が課題だった。アンケート調査では無意識の買い物行動が正確には分からない。こうした問題を解決するため、大規模な模擬店舗を活用した視線の定量分析サービスを開発した。

従来の棚調査と模擬店舗による調査の商品の見られ方の違い

模擬店舗はスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどさまざまな業態に対応できる。都内最大規模の広さがあり、調査カテゴリだけの1棚を提示するこれまでの棚調査と違って消費者が店舗を回遊する状態の再現を可能にした。模擬店舗で商品の目立ち度や注目度について視線を使って定量分析することによって、消費者が無意識にどんな行動をしているかの把握・評価を実現する。

模擬店舗の商品棚に設置した定点カメラで視線を捉え分析

視線データの定量分析には、NECのAI(人工知能)技術「遠隔視線推定技術」を利用している。商品棚に取り付けた定点カメラで視線の動きが遠隔で分かり、視認率、視認時間、視認回数などの指標を分析し、消費者の視線が定量的に捉えられる。加えて、アンケートや視線動画に基づいたインタビューで買い物行動の心理的背景を掘り下げ、分析結果の信頼性を高めることも可能。

買い物行動を捉え購入までのプロセスを把握するファネル分析

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