【レポート】デジタルマーケターズサミット2025 Winter

拡大するWebガバナンス、知っておくべき4つの最新トレンド

拡大するWebガバナンスの最新トレンドをコネクティが解説する。
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製造業シェアNo.1のCMSベンダーであり、サイトリニューアルから運用支援までをワンストップでサポートするコネクティ。同社代表の服部恭之氏が「デジタルマーケターズサミット 2025 Winter」に登壇し、手がけたさまざまな企業のWebサイトリニューアルやCMS導入の実績と経験をもとに、Webガバナンスの最新トレンドと、必要となるプラットフォームや技術トレンドについて解説した。

株式会社コネクティ 代表取締役社長 服部 恭之氏
株式会社コネクティ 代表取締役社長 服部 恭之氏

より広義で意識されるようになったWebガバナンス

「Webガバナンスとして意識する範囲が拡大している」と服部氏。Webガバナンスの一般的な定義は「安全で安心なWebサイト運用を実現するための各種ルールやシステム統制」を意味していた。

その重要性は現在も変わらないのですが、Webサイトの一貫性を保つためのあらゆる施策、統制を「Webガバナンス」として捉える企業が増えていると感じます(服部氏)

従来のシステム要件という枠を越えて、Webサイトの運用目的や訴求したい対象を考えるコミュニケーション戦略や、何をメッセージとして伝えるのかというコンテンツ内容、どのようにコミュニケーションしていくのかという体験価値を並列で扱うケースが増えているという。

Webガバナンスとして意識する範囲が拡大している
Webガバナンスとして意識する範囲が拡大している

そうしたWebガバナンスの新潮流として、服部氏は以下の4点に整理した。

  1. UI/UXの統制
  2. 多言語(翻訳)統制
  3. 法規制や社会情勢に対する統制
  4. システム統制

いかに対応していくのか。テーマごとに見てみよう。

Webガバナンスの新潮流①UI/UXの統制

WebサイトのUI/UXの統制においては「一貫性」がキーワードになる。服部氏は以下の2点を挙げ、これらを整備するためのサイトリニューアルが増えていると語る。

  1. Webサイト内のページをまたいだ一貫性
  2. 複数のWebサイトやグローバルに展開するWebサイトの一貫性

1. Webサイト内のページをまたいだ一貫性

たとえばコーポレートサイトには企業情報、製品情報、IR、人事系情報など、さまざまなページが存在する。これらのページは、それぞれのオーナー(担当部署)が作成・更新している。

しかし、統一したレギュレーションが存在せず、各オーナーが独自の判断でデザインや情報更新を行ってしまうことがある。その結果、ユーザーがサイト内のページを移動するたびに構成やナビゲーションが異なり、混乱を招く可能性がある。これはユーザーにとっては使い勝手が悪いといえる。ページごとに体験が抑制されてしまうのは大きなリスクだ。

どのページも同じ構成、使い勝手になるように戦略を立て、Webサイトのリニューアルで 実現するといいでしょう(服部氏)

担当部署に関わらずすべてのページのUI/UXの統制したい
担当部署にかかわらず、すべてのページのUI/UXの統制したい

2. 複数のWebサイトやグローバルに展開するWebサイトの一貫性

サイト内のページにとどまらず、複数のブランドサイトやグループ会社のサイト、グローバル企業で各国のサイトがある場合など、複数サイトで一貫性を持たせることも重要だ。たとえば、日本のサイトと米国のサイトで全然違うという状況は好ましくない。そこで、グローバル視点のブランディングで統制をとるというサイトリニューアルが増えている。

CMSのブロックエディタを活用し一貫性を実現する

構成やナビゲーションを統一するためにレギュレーションやルールで固めるのが一般的な手法だ。しかし、レギュレーションは運用者の意識に左右されたり、時間と共に解釈が変化したりして統一が崩れてしまうことも多かった。その解決策としては、プラットフォーム側で制御する方法がある。あらかじめ雛形となるデザインやテンプレートを作っておき、文章や画像をそこに流し込んでいくCMSの導入という方法だ。

ただし、完全にデザインを固定して自由度がまったくないと、各部署にとって不便な状態になることもある。そこで、ブロックエディタを搭載しているCMSを採用する企業が増えている。ブロックエディタは、共通のパーツを作っておき、それを使ってページを作成することで、編集の自由度は維持しつつ、Webサイト全体のデザインを統一できる機能だ。

編集の自由度とデザインの統一性を両立できるブロックエディタ
編集の自由度とデザインの統一性を両立できるブロックエディタ

これはグローバルに展開するWebサイトで一貫性を維持するうえでも有効な手法だ。ブロックエディタを使用することで、全サイト共通のエリアと各国が自由に編集できるエリアを区分し、共通パーツを提供できる。たとえばトップの代表挨拶などは共通エリアに配置し、国別に翻訳して表示できる。一方、セミナーやイベント案内など各国固有の情報は、各国の編集エリアに配置できる。

弊社のお客様である「寺岡精工」様のWebサイトは、日本、アメリカ、ドイツなど各国のサイトをほぼ同じように構築しています。各国でのビジネスにマッチした商材をきちんとPRできている好例だと思います(服部氏)

寺岡精工のWebサイト。各国のサイトを同一のデザインで構築している
寺岡精工のWebサイト。各国のサイトを同一のデザインで構築している

Webガバナンスの新潮流②多言語(翻訳)統制

UI/UXの統制をWebサイトの「外側・入れ物」の形を統一する工程と捉えると、次はその中に入れる中身「コンテンツ」がテーマとなる。グローバル展開におけるコンテンツでは多言語(翻訳)の統制は重要なテーマだ。

多言語の統制には「中央集権型」と「共同編集型」2つの方法がある。

多言語統制のパターン
多言語統制のパターン

① 中央集権型

本社でコンテンツを作成し、翻訳も本社で行う。精度が向上しているブラウザ翻訳を使うパターンも含む。

この方法は、本社側で翻訳した場合は完全に統制がとれ、ブラウザ翻訳はコストを抑制できるメリットがある。ただし、各国言語の特徴が反映されない機械翻訳では不自然なテキストになるなどの不満が出る可能性もある。

② 共同編集型

コンテンツは本社で作るが、翻訳は各国に任せ、現地に合った表現に変えるなどの裁量を与えるパターン。現地の翻訳を本社でチェックすれば、各国の事情を反映しながら統制の効いたコンテンツが作れる。ただし工数、時間がかかる。

中央集権型も1つの方法論ですし、ベースのコンテンツはこちらで用意するけどもあとは各国の伝わりやすい言い方で書いてもいい、という共同編集型も当然あります。どちらがいいかは、各企業の事情や作成するコンテンツによって異なると思います(服部氏)

また、コンテンツ管理のプラットフォーム側で共同編集をサポートするツールもある。コネクティが提供する「CMS on Demand(CMSoD)」では、「ローカライズAI」という機能を提供している。

日本語で作ったページをAI翻訳で多言語展開できる機能で、そのままリリースする中央集権型でも使えるし、CMS上で翻訳しているので、海外のスタッフがログインしてそれを編集できる。現地スタッフの翻訳を本社で確認することで、各国の文化や言語に合った、より質の高いコンテンツを配信できる。

日本語で作成したページをAI翻訳で多言語展開できるローカライズAI
日本語で作成したページをAI翻訳で多言語展開できるローカライズAI

Webガバナンスの新潮流③法規制や社会情勢に対する統制

3つ目は、法規制や社会情勢に対応していくための統制だ。アクセシビリティや個人情報同意管理、IRなどが該当する。これらは日本と諸外国それぞれで法律やルールがある。企業サイトはこれらに対応する必要があり、社会環境に適応するという統制が非常に重要なテーマになっている。国ごとのルールに沿って個別に統制する方法もあるが、Webリニューアルの際に企業としてのポリシーを作成してグローバルで統制する企業も増えている。

アクセシビリティ対応への一例として、服部氏は同社が提供するAI活用のウェブアクセシビリティツール「UserWay」の活用を挙げた。このツールは、国際的なWebアクセシビリティガイドラインであるWCAG2.1およびWCAG2.2に準拠しており、AIを活用して自動的にアクセシビリティを改善する。

「UserWay」を使うとサイトに表示されるアクセシビリティメニューのボタンをクリックするだけで、文字の大きさや間隔、ページのコントラストなど、見やすくするためのさまざまな変更が可能となる。コネクティでは、「UserWay」の導入支援のほか、ウェブアクセシビリティ対応を行っている。

UserWayのアクセシビリティメニューイメージ

アクセシビリティや個人情報同意管理、IRにすべて対応するのは修正規模が非常に大きくなります。「UserWay」だけでなく、個人情報同意管理に対応するツールもあります。プラットフォームツールの活用はかなり進んでいるといえるでしょう(服部氏)

Webガバナンスの新潮流④システム統制

システム統制に該当するインフラやセキュリティ関係の統制も、引き続き重要な部分だ。本社が管理するコーポレートサイトは管理しているが、グループ会社のインフラに脆弱性があり、結果的にグループ全体が影響を受けるというケースもよく聞く。

自社でサーバーを立ててCMSを構築する場合、サーバーのOSやミドルウェアが最新の状態にアップデートされているかなどを、自社で管理しなければならない。インフラ専任の担当がいない小規模な企業では管理の負担が大きく、ハッキングやサイバー攻撃の標的となるケースも多い。

コネクティのCMSoDのようなクラウド型CMSを導入することで、各種ツールのバージョンアップやセキュリティパッチの更新などが自動化され、管理の負担が軽減される。これにより大手企業でもグループ全体でシステム面の統制を確保できる。

無償バージョンアップで常に最新のシステムが利用できる
無償バージョンアップで常に最新のシステムが利用できる

クラウド型CMSを選ぶ際、脆弱性への対応を考慮することもシステム統制上、大切なポイントだ。特にWebサイトとしてインターネット上に公開するエリアと、CMSのシステムや未公開情報を格納する、インターネットから直接アクセスできないエリアとに分離されている仕組みが望ましい。コネクティのCMSoDは、この方式をとっており安全性が担保されている。

公開サイトとCMSを分離し、第三者が公開サイトの改ざんやシステムへ不正アクセスすることが不可能な仕組み
公開サイトとCMSを分離し、第三者が公開サイトの改ざんやシステムへ不正アクセスすることが不可能な仕組み

とはいえ、公開サイト側が攻撃にさらされていいわけではない。標準的なセキュリティの機能は実装しておくべきだろう。CMSoDでは、DDoS攻撃に対応する「AWS Shield」、脅威検出の「Guard Duty」、脆弱性を診断する「Amazon Inspector」などを標準で提供し、より高度なセキュリティに対応する「WAF OPTION」もオプションとして用意している。

その他、CMSoDはダッシュボードも提供している。異常なトラフィックやエラーの有無を確認するには、以前はインフラ担当に聞かなければならず時間を要していた。それがCMSのダッシュボードで簡単に確認できる。統制という意味ではこのようなことにも気を配らなければならない時代になったということだ。

ダッシュボードでのモニタリング機能も持つ
ダッシュボードでのモニタリング機能も持つ

ガバナンスにまつわる4つの統制は、すべてクラウド型CMSのCMSoDで実現できます。Webサイトのリニューアルを検討する際はぜひご相談ください(服部氏)

用語集
CMS / UI / UX / アクセシビリティ / クラウド / ダッシュボード / ナビゲーション / ブランディング / 個人情報
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