【レポート】Web担当者Forumミーティング 2023 春

広告費ゼロでフォロワー170万人! 3COINSの人気Instagramの秘密は「社内インフルエンサー」

3COINSを運営する株式会社パルの矢八 有香子氏が、スタッフインフルエンサーの活用術について紹介。

広告費ゼロでInstagramのフォロワー数170万! フォロワーを獲得するのに重要視したのは「個人の力」。アルバイトを含む社内スタッフ70人がそれぞれ発信することで、ブランドフォロワー数の伸長に貢献。

Web担当者Forum ミーティング 2023 春」では、3COINSを運営する株式会社パルの矢八 有香子氏が登壇。3COINSの「社内インフルエンサー」を活用した施策について紹介した。

株式会社パル 第四事業部 3COINS本部 PR 矢八 有香子氏

3COINSの歩みとInstagram公式アカウントの現状

1973年に創業し、今年50周年を迎える株式会社パル。婦人服、紳士服、雑貨等の企画・製造及び卸や小売を行い、約40のブランドを展開している。そのうちのひとつが「3COINS」で、300円の生活雑貨を中心に取り扱っている。

1984年に大阪で1号店がオープンし、2000年頃から全国展開を始め、現在は全国に288店舗を構える。2021年には原宿にフラッグシップストア「3COINS 原宿本店」をオープンさせている。

2015年に公式Instagramを開設。2023年7月現在、フォロワー数は約170万で、毎年約30万人ずつフォロワーが増えている。

間もなくブランド30周年を迎える3COINS

Instagram運用の目的は、商品を紹介してファンを獲得することです。これにより、店舗やオンライン(公式通販)にお客さまを誘導して売上につなげたいのです。また、お客さまにも3COINSの情報を発信していただき、拡散にもつながっていると思います(矢八氏)

3COINSは毎週新商品を発売しており、その数は月に700〜800にも上る。これだけ多いと在庫を多く持つことはできず、旬な情報をその場でお客さまに伝える必要がある。つまり情報の鮮度が短いので、Instagram投稿は毎日1〜2回と高頻度で行っているのだという。

2015年より始めた公式Instagramのフォロワーは約170万人

こうした公式アカウント以外にもスタッフ個人の発信に重きを置き、2016年に「スタッフインフルエンサー制度」を発足させた。

「スタッフインフルエンサー制度」とは、全国の3COINSのスタッフの中から公募で集めた人をブランド公式社内インフルエンサーとして認定し、簡単なマニュアルを渡して研修を行った上で、自分目線で商品を紹介してもらう制度だ。会社から「この商品を勧めて」といった指示はなく、好きなものを好きなように発信してもらっているという。

フォロワー数や投稿から通販への誘導、売上に応じたインセンティブ制度も用意されており、発信力を正当に評価する仕組みもある。全国に70名以上の「スタッフインフルエンサー」がおり、総フォロワー数は約34万人に上る。

3COINSには、自分の好きなものを個人目線で発信する「スタッフインフルエンサー」が74名もいる

インフルエンサースタッフ事例紹介

3COINSのスタッフインフルエンサーは、たとえば以下のような面々だ。

スタッフインフルエンサー1. Maiko

2016年の発足当初から活動している社内のトップインフルエンサー。元・埼玉の店舗の店長。現在は原宿本店に在籍し、SNS投稿を行っている。投稿内容としては、お客さまとの距離が近く親近感が沸くような投稿が特徴で、毎週日曜日に翌日発売の新商品をInstagram Liveで紹介している。彼女に会いたくて原宿本店を訪れるお客さまも多い。

毎週日曜日にInstagram Liveをすることは、お客さまにとっても、スタッフにとってもメリットがあります。お客さまにとっては、新商品はInstagram Liveでチェックできますし、スタッフにとっては、商品の特徴や使い方を動画で理解できます。店舗ではあまり密な接客がない3COINSにとっては、Instagramを通じて商品を紹介することが重要な接客ツールなんです(矢八氏)

スタッフインフルエンサー2. サトウ

2022年9月から投稿をはじめた男性スタッフ。目にしたときに印象に残るタイトル配置や統一感が出る背景設定にこだわっている。他のスタッフインフルエンサーが行っていなかった投稿スタイルで急激にフォロワー数を伸ばした。

ハッシュタグの付け方や数字についても研究しているスタッフで、元々は広島で店長をしていましたが、今は本部でSNS強化のメンバーとして活動してもらっています(矢八氏)

スタッフインフルエンサー3. HITOMI

大阪で店頭スタッフとして勤務している女性。毎日最新情報を発信しており、再入荷の商品はストーリーズで紹介している。面白い動画を発信していたため、「TikTokに向いているのでは?」という話になり、TikTokにもチャレンジしたところ、Instagramのフォロワー数がさらに伸びた。

彼女の特徴は、毎日新しい情報を発信し、商品の特徴をわかりやすく説明することができることと、関西弁を多用することで親近感を感じてもらえることです(矢八氏)

スタッフインフルエンサー4. まゆ

女性の店頭スタッフ。実際に自分で使ってみた商品の感想などを投稿しているが、反応が良いのは、1つのテーマに対していくつもの商品を投稿する「まとめ投稿」。

1つの商品をじっくり紹介するのではなく、テーマに合わせていくつもの商品をまとめて紹介しているんです。このように、スタッフインフルエンサーは、アカウントごとに個性をしっかり出し、他のスタッフインフルエンサーとの差別化を考えて投稿しています(矢八氏)

フォロワーが伸びない。格差を解消するための新しい施策

こうしてスタッフインフルエンサー制度を進めるうちに、うまくフォロワー数を伸ばすスタッフと、そうではないスタッフの差が広がるようになってきたという。その原因をヒアリングしたところ、店頭作業を優先するためになかなか投稿ができないなど、会社としてスタッフインフルエンサー個人の力量に頼りすぎていることがわかってきた。そうした状況を打破すべく、スタッフインフルエンサーの底上げを行うために次の施策を行った。

  • 結果を出しているスタッフインフルエンサーを「強化インフルエンサー」として選出し、ノウハウをブランドとして共有
  • 徹底した投稿分析、更なる投稿精度アップ
  • 定期的なミーティング、勉強会、交流会の実施

また、本部とスタッフインフルエンサーが直接やりとりする中で、密に連絡が取れるインフルエンサーとそうではないインフルエンサーとの間に差ができてしまい、各インフルエンサーとの関係性にムラができてしまっていたという。これにより、連絡や伝達漏れが起きてしまっていた。そのため、強化インフルエンサーを通してスタッフインフルエンサーに伝達する形に変更。ノウハウを共有しやすい状態を作り出している。

連絡・伝達漏れを防ぐため、強化インフルエンサーを通して全スタッフインフルエンサーに情報を伝達

SNSを通しての接客。話し込みで現場の理解を得る

矢八氏によると、3COINSは、以前は肌感覚で商品を展開していたのだという。しかし公式アプリを導入したことにより、どんなユーザーがどのような商品を購入しているか実際のお客さまの姿がわかるようになった。そういったお客さまがどんな商品を求めているのかを整理して、2019年にリブランディングを行い、商品をシンプルなものに変えたという。その後、公式アカウントの投稿の仕方も見直し、お客さまが求めている情報を投稿する方針に変えたのだという。

求められていたのは、映えたり高見えしたりする投稿よりも、商品の具体的な使い方やどう便利なのかをわかりやすく伝える情報でした。現在は、自分たちが発信したい情報ではなく、お客さまのニーズにあわせた投稿に力を入れています(矢八氏)

また、Twitterでユーザーの声を拾ったり、SNSでスタッフインフルエンサーがアンケートを取ったりするなど、店頭での接点が少ないからこそ、SNS上で接客をすることを重要視してきた。公式アカウントではカタログ的な商品紹介になってしまうため、スタッフインフルエンサーが個人の目線で深掘りして投稿することが接客につながっていると矢八氏は話す。

公式アプリでデータを取得して分析し、その結果を踏まえた上で、各種SNSで顧客に情報を届けたり、店舗や通販に送客したりする

このようなスタッフインフルエンサーの活用には、店舗側の理解が不可欠だ。そのため、部署を跨いだ話し合いを行い、特に店長からの理解を得られるようにしたという。現在、強化インフルエンサーに関しては、投稿の時間を業務に組み込むようにしている。

売上につなげ続けるためにしていること

今後もSNSを売上につなげ続けるために、気をつけていることがあると矢八氏。

  • 楽しみながら投稿してもらう
    「やらなければならない」と感じたら、辛くなって投稿が続かなくなる

  • 分析をしっかりとした上で投稿続ける
    数字に出ると、やる気につながる

  • お客さまの求めるニーズを理解した上で投稿する
    自分が投稿したいことよりも、お客さまのニーズを分析して投稿しないと結果につながらない

  • 個性、強みを生かす
    現在のスタッフインフルエンサーは70名以上。個性を出さないと埋もれてしまう

そして最後に、もっとも重要なこととして、「ブランド一丸となって取り込むこと」の重要性を挙げ、講演を締め括った。

SNSの活用は、他部署や店舗の理解・連携が欠かせません。担当者だけがやるものではなく、ブランド全体で取り組むべきものだと考えます。Instagramに限らず、使えるツールはすべて使い、これからも試行錯誤しながら、さらなるファンを獲得していきたいと考えています(矢八氏)

SNSは担当者に丸投げするのではなく、他部署を巻き込んだブランド全体で取り組むべき
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