インハウス運用者が広告配信開始前までにやるべき確認作業とは?【チェックリスト付き】
昨今のプライバシー保護のトレンドを受け、運用型広告のインハウス化(内製化)が改めて注目されています。そこで、本連載ではインハウス支援のサービスを提供しているアタラとオーリーズが、インハウス体制での広告運用におけるヒントを解説します。
第4回では、インハウスでの広告運用者が広告配信開始前後にやるべき確認作業について解説します。大きな工程に分けると、確認作業は5つです。各工程での項目を合わせると40個のチェックすべきポイントがあります。チェックシートをダウンロードできるようにしてありますので、インハウス広告運用をスタートしてすぐにつまずかないように、それぞれの時期で何をすべきか理解しておきましょう。
- 広告入稿前(リソース・体制の確認)
- 広告入稿時
- 配信開始3~5営業日前
- 最終認識合わせ
- 広告配信直後
1.広告入稿前(リソース・体制の確認)
まず、広告入稿前にチェックすべきことは以下の3つです。
- 各媒体の広告入稿と審査期間の確認
- 配信開始予定日から5~7営業日前までにすべての入稿作業を完了できるか
- 配信開始後から3営業日程度は、常時(終日)モニタリングできる体制を用意できるか(=休日をまたがないか)
特に、広告入稿と審査期間に関しては、各媒体で異なるので事前に確認しておきましょう。
たとえば、Google 広告は通常1営業日以内に、Yahoo!広告は約3営業日以内に審査が完了します。配信開始までのスケジュールを組むときには、広告媒体の審査期間を考慮して作成しましょう。審査期間については各媒体のヘルプページや問い合わせを行うことで確認ができます。
ヘルプページ
Google 広告:広告の審査プロセスについて
Yahoo!広告:審査期間はどのくらいかかりますか?
また、配信開始後すぐに休日を迎える場合は、配信開始予定日を見直す、休日に配信確認を行うなどを検討しましょう。休日でモニタリングができないことで設定ミスがあった際に気づけず、配信事故につながるからです。
配信事故の一例としては、以下のようなものがあります。
- 設定した日予算に誤りがあり想定よりも予算を使いすぎてしまった
- 意図しないランディングページに誘導しており、コンバージョンが発生しておらず予算を無駄にしてしまった
- 意図しない配信エリアに広告を配信していた
こうした事態を防ぐためにも、可能な限り配信開始後から3営業日程度は休日をまたがないようにすることをお勧めします。
2.広告入稿時
次に、広告入稿時の確認作業について説明します。入稿時は下記4点を押さえておきましょう。
- キャンペーンレベルで配信ステータスをOFFにしているか(確実に誤配信を防ぐため)
- キャンペーン日予算を設定しているか
- キャンペーン日予算の金額は、予算を大幅に上回る金額になっていないか
- 入稿作業後、管理画面から配信ステータスがOFFになっていることを目視で確認したか
また、入稿時に広告配信時期を設定するには、「“広告配信開始日”を設定する」という方法もあります。しかし、広告媒体によっては仕様上設定できないものもあるため、キャンペーンレベルで配信ステータスがOFFかチェックするほうが良いでしょう。
3. 配信開始3~5営業日前
広告を配信する3~5日前に、以下の2点も確認しておくべきです。
- 入稿作業完了から「一晩寝かせて」設定内容をチェックしたか
- キャンペーン>広告グループ>キーワード・広告>除外設定>環境準備の順で設定内容を確認したか
特に1つ目の、「入稿作業完了から『一晩寝かせて』 設定内容をチェックしたか」のプロセスは必ず挟みましょう。広告の配信設定は細かい作業が多く神経を使うため、抜け漏れが発生しやすいです。
そのため「作業する日」と「チェックする日」を分けて取り組むことが理想的です。
2つめの設定内容確認は細かいので、それぞれの項目に分けて以下にチェック項目を記載します。
- 手動で配信を開始するか、開始日を設定して自動で配信をするかの方針は決まっているか
- 設定予算が極端に大きな金額になっていないか
- 入札戦略は意図した設定になっているか
- 配信ネットワークが意図した設定になっているか
- 配信地域に誤りがないか
- オーディエンスは設定されているか
(意図したオーディエンスか、抜け漏れがないか、設定が外れていないか) - 入札戦略は意図した設定になっているか
- 設定したキーワードの個数は認識通りか(認識から異常な乖離がないか)
- 広告文に誤植はないか(日本語の誤り、ブランド・サービス・商品名の誤りはないか)
- 広告が審査落ちしていないか
- 3rdパーティーツール用の計測パラメーターはセットされているか(Google Analytics、Adobe Analytics、AD EBiSなど)
- リンク先URLに誤りはないか(誤植はないか)
- ランディングページは機能するか(ランディングページ側のエラーや不具合はないか)
- 「検索」で共通除外キーワードを設定しているか
- 「ディスプレイ/動画」でデリケートなコンテンツを除外しているか
- レポートの準備は整っているか
- コンバージョンテストは完了しているか
【補足】コンバージョンテストに関してコンバージョンテストに関しては、様々なサイトで紹介されていますので、何を行うべきか不明な方は「コンバージョンテスト やり方」などで検索してみてください。もしコンバージョンテストを行ったが、上手くコンバージョンタグが機能しなかった場合、媒体ごとに下記のヘルプページをご確認ください。
媒体 | ヘルプページ |
---|---|
Google 広告 | コンバージョン トラッキングのステータスに関するトラブルシューティング |
Yahoo!広告 | コンバージョンが測定されているか確認する方法はありますか? |
Facebook広告 | コンバージョントラッキングを使用して結果を測定する |
LINE広告 | ウェブサイトのコンバージョンを計測する |
Twitter広告 | ウェブサイトのコンバージョントラッキング |
4. 最終認識合わせ
入稿作業が完了したら、次にチーム内で“最終認識合わせ”を行いましょう。確認が必要なのは、主に広告配信開始後に誰が何をやるのかです。
- 掲載開始日や時間について合意できているか
- 掲載開始直後のモニタリングは誰がいつ行うのか
- 掲載開始後の配信結果レポートの作成(あるいはレポーティングツールの更新)は誰がいつ行うのか
5. 広告配信直後
広告配信が始まったら、すぐに確認しておきたい項目もあります。まずは以下の2点です。
- 各階層で配信ステータスはONになっているか
- 管理画面のインプレッションは発生しているか
この2点が確認できたら、検索、ディスプレイ、計測、進捗・パフォーマンスをそれぞれチェックします。細かいチェック項目は以下です。
- 実際に検索して広告掲載を確認する
- ターゲティング外の場合は広告プレビューツールで確認する
- 管理画面でインプレッションがレポートされているか
- リターゲティング等の場合は、目視確認できたか(インプレッションに加えて目視確認できるとベター)広告経由でサイトに訪問し、その後、ブログなど様々ウェブサイトを確認いただくと、広告が表示される可能性があります
- 3rdパーティーツールで計測ができているか
- コンバージョンが正常に計測できているか
- 配信後、こまめに(少なくとも数時間ごとに)広告配信状況をチェックしているか
- 配信して間もなく(または1日の早い段階で)日予算上限に達していないか
- キャンペーン予算の調整、入札単価の調整、除外キーワードの設定、配信先の精査をする
最後に
インハウスで広告運用を始めてすぐにつまずかないようにするためにも、配信開始前後に必ず設定のチェックを行いましょう。本記事でご紹介したチェック事項はあくまでも参考ですので、各媒体ごとに全ての設定をチェックすると良いです。
そのためには、しっかりと配信開始までのスケジュールと、設定確認に必要な時間を確保することが必要です。また、ご紹介したチェック項目をExcelでチェックリストにしたので、ダウンロードしてお使いください。
次回は、インハウス運用者が押さえておきたい、日次・週次・月次のモニタリング&配信開始のチェック事項について解説します。
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