note #等身大の企業広報レポート

オウンドメディアで、ブランディングはできるのか? 「ネスレ」「Soup Stock Tokyo」が語る

ネスレさん、Soup Stock Tokyoなどを生み出したスマイルズさんが登壇したnote主催の #等身大の企業広報のイベントレポートをWeb担でお届けします。
よろしければこちらもご覧ください

誰もが情報発信できるようになり、情報の量や流れが激しく変化する現代では、広告、プレスリリース、自社サイトによる公式な発信だけでなく、オウンドメディアやSNSを通じた発信も主流になっています。

しかしながら、オンライン上の限られた場所で、会社としてどのようなメッセージを打ち出すべきか、それをどう世の中に届けていくべきか、頭を抱えている担当者の方もいるのではないでしょうか。

4/15(木)にnoteが主催したイベントレポートをnoteの許諾を得て、Web担でも紹介します。オリジナル記事はこちら→https://note.jp/n/n84c5083bdf36

長らくオウンドメディアを運営されているネスレさん、Soup Stock Tokyoなどを生み出したスマイルズさんをお招きしたイベントを開催。各社の取り組みや発信時に大事にしていることをnoteの徳力さんモデレーターとなり話を聞いています。これからの企業広報のあり方を探りたい、自社の情報発信に力を入れていきたいという方、必見です!

イベントのアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。

各オウンドメディアの概要と背景

――まず、それぞれのオウンドメディアの概要をお聞かせください。ネスレさんは『ネスレアミューズ』をオウンドメディアのプラットフォームと位置付け、ブランドサイトや通販オンラインショップに加えて、さまざまなオリジナルコンテンツを通じた情報発信をされています。

出牛さん: 『ネスレアミューズ』は、ただこちらからの情報を伝えるだけの企業サイトではなく、会員の方との繋がりを大切にしたコミュニケーションサイトとして開発を繰り返してきました。エンターテインメントコンテンツを中心に発信することで、会員の方に気にしていただいて定期的に訪れていただき、こちらからの情報も受け取っていただけるような仕組みづくりをしています。

そのコンテンツの1つが『ネスレシアター』というショートフィルムです。『ネスレシアター』を通して、製品色だけでないメッセージや、ブランドの世界観をしっかりお伝えしていくという狙いがあります。そうすることでよりボンディングを築いていきたいという思いがありますね。

出牛 誠さん 
ネスレ日本株式会社 飲料事業本部
ソリュブルシステム&ホワイトカップビジネス部 部長 
1999年ネスレ日本入社。営業、マーケティング、営業企画、ネスレ通販等の担当を経たのち、オウンドメディア『ネスレアミューズ』を担当。『ネスレシアター』などのコンテンツ開発・デジタル施策を担当。その後2020年より飲料事業本部にて現在、『ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ』、ホワイトカップカテゴリー、ギフトカテゴリーのビジネスを担当。現在に至る。

――『ネスレシアター』はどういったきっかけではじまったのですか?

出牛さん: ネスレの日本創業100周年というタイミングで、これからのコミュニケーションのあり方を考えようと取り組みを加速していったなかではじまりました。『ネスカフェ』のようにすでに高い認知をいただいているブランドの場合、テレビコマーシャルのような形よりも、ショートフィルムとしてストーリーにメッセージを載せるほうがより伝わるのではないかと。『ネスレシアター』という作品そのものを通じて発信していくということですね。

――さらに、コーヒーマシンをスマホアプリと連動させて、オウンドメディア的な運営もされているんですよね。

出牛さん: はい、『ネスカフェ アプリ』ですね。コーヒーをお好みの濃さに調整したり、アプリを使ってコーヒーを飲むたびにポイントが貯まるほか、家族や友人同士で「いまコーヒー飲んでるよ」と繋がることができます。

 

――ありがとうございます。続いては、スマイルズの花摘さんお願いします。

花摘 百江さん
株式会社スマイルズ クリエイティブ本部広報部 広報
2014年、スマイルズ新卒入社。Soup Stock Tokyo店舗勤務を経て採用担当に。人材開発部にて人事制度刷新・インナーブランディングに従事する傍ら、ブランドコミュニケーション部を兼任、コミュニケーション設計・編集・ライティング・SNSなどを担当。 2019年4月より現職。複業で音楽レーベル、ライターなど。
note:株式会社スマイルズSoup Stock Tokyo
Twitter:株式会社スマイルズSoup Stock Tokyo

 

花摘さん:我々のオウンドメディアの全体感をお伝えすると、まずブランドサイト、コーポレートサイト、ECサイトがあり、それぞれが繋がっています。そのほか、公式アプリ、昔ながらのメールマガジンも運営しています。SNSは、Facebook、Instagram、Twitterに加えてnoteも昨年から使わせていただいています。それから、弊社で働いている社員とアルバイトパートナーさんのみ読むことができるWeb社内報、「バーチャル社員さん」という卒業されている方々に対してのメルマガもあります。いろいろなメディアやツールを使って発信をしているという状況になりますね。

――スマイルズさんが発信をはじめた背景というのは?

花摘さん:我々の場合はやはり店舗というものが1つのメディアなので、そこでの会話を大切にしているんですが、お店のなかだけだとお客様とお話できる機会が限られてしまいます。そこで、ブランドサイトなどでブランドとして考えていることをしっかりお伝えしていきたいという思いがありました。昨年はコロナ禍で一時期全店休業となったこともあり、お客様との接点を増やしていきたいと思い、試行錯誤しながら公式noteをはじめました。

noteでは、ブランドサイトでは書ききれないことを副音声的に書いています。たとえば、『Curry Stock Tokyo』という年に一度のイベントがオンラインでしか開催できなくなったときに「お気持ちに応えられずすみません。でも私たちこんな思いなんです」ということを伝えたり。あふれている思いを書かせていただく場、というか。

以前、徳力さんから、「ブログなどを書くことは、インターネットに自分の分身を置くこと」というお話を伺ったことがあって。インターネットの世界に文章を置いておくことで、その記事が自分の分身となり、自分の代わりに誰かに出会ってもらうことができるんじゃないかと。だからnoteも、『Soup Stock Tokyoのnote店』という感じになり得るんじゃないかという思いで取り組んでいます。

モデレーター:徳力基彦(noteプロデューサー)

――コロナ禍ではコミュニケーション自体が止まってしまうということが起こりましたが、デジタル上のコミュケーションがあると思いを伝えることができますよね。

ユーザーの目線で考える

――実際にどんなところにこだわって運営されているのかもお聞きしたいと思います。ネスレさんの『ネスカフェ アプリ』のお話が先ほど出ましたが、どういうところにこだわって設計されていますか?

出牛さん:ユーザーの方とどう繋がるかというところを大事にしています。『ネスカフェ アプリ』ですと、お好みの濃さや味わいにアレンジできる、ポイントが貯まる、ひとと繋がれる、というサービスを、飲んでいただくタイミングでユーザーの方に提供しています。一杯のネスカフェを楽しんでいただいている瞬間にしっかりとユーザーの方と繋がっていきたいなと。

――商品を使うタイミングが「オウンドメディアの体験」として設計されている、というところがポイントですね。

出牛さん:そうですね。また、ただ単にアプリのダウンロード数を増やすとか、データを見るといったことだけでなく、そのデータをユーザーの方の利便性に繋げるように活用するということにこだわっています。たとえば、コロナ禍で在宅勤務の方が増えている環境下において、朝だけでなくお昼や午後にも『ネスカフェ』を飲まれる方が増えてきているというデータが出たときに、じゃあそういう方々にもっと楽しんでいただくためにはどうすればいいだろう、と考えて発信をしていくということですね。

――なるほど。データを見るとどんなことができるかがわかるんですね。では続いて、スマイルズさんのこだわりのポイントもお聞きしたいと思います。

花摘さん:「出会い方を考える」ことにこだわっています。これは私が自分のなかで描いている図式なんですが、ブランドサイト、コーポレートサイト、ECサイトといったオウンドメディアは「我が家」、SNSなどのメディアは「広場や街」というイメージなんです。ですので、サイトに来てくださる方に対しては、「ようこそ! お待ちしてました」みたいな感じで出会いたいなと思って設計しています。一方、SNSは、「SAY HELLO!」というイメージ。「こんにちは、最近どうですか?」「今度家でお茶しませんか?」みたいな感じかなと思って。

オウンドメディアは、相手が来てくださるのを待っているという「出会い待ち」な部分はあるなと。来ていただくために「SAY HELLO!」しにSNSを使って出会いに行くという感じですね。でも、この「出会い待ち」もすごく重要だと思うんです。先ほどお伝えした「インターネットにおける自分の分身」をつくるという意味で内容をつくっていくということがすごく大事で。初めての方もお久しぶりの方も来てくださるということを想定しながら、更新頻度や更新のコンテンツを考えていくということが必要だと感じています。

――おふたりとも、ユーザーや情報を受け取る側の目線で考えているところがポイントだと思います。オウンドメディアをはじめようとすると、どうしても「何を発信するか」と自分たちの目線で考えてしまいがちなんです。でも、おふたりはまずユーザーの生活というものを想像して、そこにどう関わっていけば喜んでもらえるのかという考え方をしているのが非常に象徴的だなと思いました。

「効果」を「価値」に置き換える

――オウンドメディアということで、効果測定のお話も伺えればと思います。出牛さんは先ほど、アプリの場合にはアプリを使ってもらえる時間や、そこから戻ってくるデータ自体に価値があるというお話をされていました。

出牛さん:そうですね。ビジネス的に「効果」という観点での説明をすると、「アプリをお持ちいただいたことで飲用量がこれくらい伸びました」といった表現になりますよね。でも、私たちが振り返りで重視しているのは、「飲用量」ではなく「飲用体験」の増加です。ユーザーの方に「もっと楽しく飲みたいな」と思っていただければ、それが自然と飲んでいただく頻度やきっかけの増加に繋がっていく。そう考えると、「このアプリをお持ちいただくことによって飲用体験が増えている」という言い方のほうが正しい表現なのかなと。どんなふうに、どんなときに飲んでいただいているかを知ることで、より楽しんでいただくための気づきを得ることが大事だと考えています。

――いまはInstagramやTwitterの投稿から「こういうふうに食べられている」ということが見える時代ですよね。PDCAのサイクルを回すときに、ユーザーの体験のデータを活用するというのは大事なポイントだと思います。スマイルズさんはどんなふうに効果測定をしていますか?

花摘さん:強いて言うなら、「指標=『来店客数』と『採用費ゼロ化』」です。Soup Stock Tokyoの社長自らこれが指標だと示してくれたこともあり、全部署がここを目指しています。来店客数のポイントは、来てくださったひとりのお客様が「ここいいな、次は家族を連れて来よう」と思ったら、来店客数が増えるということ。ここはすごく重要です。採用費については、価値が上がれば自然とひとが集まってくるので、ゼロになるんです。

私は、究極の効果はまず「理念の体現」であると思っていて。「効果検証」というと、何の効果があったかとか、数字を出さなきゃという話になりがちですが、「効果」を「価値」に置き換えて話したほうがいいんじゃないかと。「効果」の話になるとちょっと人間らしさみたいなものが削られてしまう可能性もあるけれど、「価値」だったらそれらが守れるのかなという気がしています。

―― ありがとうございます。では最後に、ユーザー側が求めているコンテンツをつくるためにはどういうところからはじめるといいのか、おひとりずつヒントとしていただければと思います。

花摘さん:一生活者としての体感、感覚を生かしていくことが大切だと思います。生活者としてどうありたいか、どう出会いたいか、というところを考えていくといいのかなと思いますね。

出牛さん:自分たちが伝えたいことをそのまま自分たちの言葉で伝えるのではなく、ユーザー側からの視点で言葉を選ぶことが大事だと思います。また、自分たちが伝えたいことだけでなく、いまどういったものが関心を持たれているのかを考えて発信することも大切ですね。一方的に与えられる情報よりも、やっぱり自ら取りに行った情報のほうが心に残るので。

――企業広報というテーマは本当に正解がないというか、企業ごとのキャラクターによってやり方やあるべき姿も変わってくると思います。おふたりとも今日はありがとうございました!

本記事は、noteの転載記事です。オリジナル記事はこちら→https://note.jp/n/n84c5083bdf36

次回の『等身大の企業広報』セミナーは、9月28日(火)19時から開催予定です。「採用につながる"らしさ"の伝え方」をテーマに、メルカリの福岡さんと、パナソニックの杉山さんにお話し頂きます。自社の情報発信に力を入れていきたいという方、ぜひご参加ください。
https://note.com/events/n/nd2e368ab8946

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