見られるセミナー動画を作る6つのテクニック! 視聴維持率を改善する極意とは?
新型コロナウイルスにより、リアルでの開催が困難になったセミナーやイベントなどのリード獲得施策。これをきっかけに、セミナーをオンライン化した「ウェビナー」を開催したり、セミナーを録画した「セミナー動画」の活用をし始めたりする企業も増えています。しかし、リアルで行っていたセミナーをそのままウェビナーやセミナー動画にしても、見てもらえないことが多いのです。なぜなら、そもそもの動画の作り方に課題があるからです。
今回は、約300本のビジネスセミナー動画作成/活用を支援してきたInnovation & Co.の土志田が、その経験から得たノウハウを「離脱されないセミナー動画6つのTips」として紹介し、作り方の極意を紹介します。
離脱されないセミナー動画6つのTips
- ターゲットは明確にしよう
- タイトルはターゲットが使う専門用語やキーワードを入れる
- サムネイルはタイトルと人物を入れる
- 構成は4つのポイントを意識する
- 話し方・伝え方は視聴者に「やってみたい」と思わせることを意識する
- 動画の長さは、いつもの1/2~1/3程度に。ただしおもしろければ長くても視聴される
なぜ今セミナー動画なのか? 背景とメリット
6つのTipsの詳細説明の前に、「なぜ今セミナー動画なのか」という背景とメリットを振り返ってみたいと思います。
セミナー動画が急速に広まった背景には、やはり新型コロナウイルスの影響でリアルセミナーの開催が困難になったことが挙げられます。セミナー開催は、BtoB企業にとって有効なリード獲得手段の一つですから、施策自体をやめるのではなく代替手段として、セミナー内容を動画化して見込み顧客を集めるという方法やオンラインで行うウェビナーにシフトした企業が多いのです。
セミナー動画には、リアルセミナーにはないメリットもあります。リアルセミナーとセミナー動画を比較してみます。
1. コストの削減
リアルセミナーの場合: 会場費や設備レンタル費用、運営スタッフの人件費などのコストがかかります。参加する側も、会場までの交通費が発生します。
セミナー動画の場合: 制作を外注した場合は最初こそ動画の作成費用は発生しますが、その後のランニングコスト無しで長期的に活用できます。
2. 定常的にリード獲得ができる
リアルセミナーの場合: 遠方で参加が難しかったり、時間が合わなかったりと、場所や時間の制限があります。
セミナー動画の場合: 参加者が「いつでもどこでも」参加できます。
弊社が以前行ったアンケート調査によると、2.5人に1人が「参加したくても参加できなかったセミナーがある」と回答しました。しかしセミナー動画であれば、場所や時間を問わずに参加できるので、参加までのハードルも下がり、企業側としてもリードの獲得がしやすくなります。
セミナー動画は“60%まで”しか見られない!?
セミナー動画が普及し始めたとはいえ、うまく活用できている企業はほんの一握り。「作ったものの、なかなか見てもらえない」という悩みはあるはず。セミナー動画は視聴までのハードルが低い一方で、途中離脱もしやすいというデメリットがあります。そのため、工夫をして動画を作成しなければ、すぐに離脱されてしまい成果につながらないのです。
弊社は「Seminar Shelf(セミナーシェルフ)」というビジネスセミナープラットフォームを2年間運営する上で、約300のビジネスセミナー動画の作成・分析を行ってきました。各動画がどれくらいの長さ視聴されたかというデータ(以下、視聴率)を調査したところ、なんと平均で60%までしか見られず、途中で離脱されてしまっているということが分かりました。セミナー動画を最後まで視聴してもらうのはもちろんのこと、動画を通じてサービスに興味をもってもらったり、商談・契約につなげたりしたいですよね。60%といえば、ちょうどセミナー内で重要なポイントを伝えはじめるタイミングではないでしょうか。そんな重要なタイミングで離脱されてしまうのですから、視聴後の成果につながらないのもうなずけます。
離脱されやすいセミナー動画に共通するのは、「これまでのリアルセミナーと同じような構成で作っていること」です。リアルセミナーの場合、途中退出のハードルが高く、参加をしたらほぼ最後まで参加してもらえるため、伝えたいことを伝えきることができます。しかし、先に挙げた通り、セミナー動画は離脱されやすいため、しっかりと見てもらうためには、いかに「興味をもって聞いてもらえる構成か」がとても重要なのです。
もし、「いつものセミナー」を録画しただけのセミナー動画を活用している読者の方がいたら、次にお伝えする“離脱されにくい”セミナー動画作成の極意をチェックして、改めてセミナー動画作りにチャレンジしてみてください。
“離脱されない”セミナー動画作りの極意とは
これから紹介するセミナー動画作りの極意の6つのTipsを意識して動画を作れば、最後まで視聴してもらえるセミナー動画も夢ではありません。弊社でも、Tipsを意識してセミナー動画を作ることで、平均視聴維持率が大きく向上しました。 これからセミナー動画を作るまたは、セミナー動画をもっとブラッシュアップしていきたい読者向けに、最後まで興味を持って視聴してもらうための“離脱されない”セミナー動画作りの極意をご紹介します。
Tips ① ターゲットは明確にしよう
テクニックの話をする前に、セミナー動画を作る上で一番重要なポイントをお伝えします。それはターゲットを明確にすることです。
「そんなの既にやっているよ」という読者の方もいるかもしれませんが、ぜひ自社で定めているターゲットを振り返ってみてください。「マーケティング担当者(責任者)」「経理担当者(責任者)」など、“ざっくり”としたターゲットになっていませんか?
大切なのは、より具体的なターゲットを設定することです。
たとえば、「請求書を毎月500枚送付している企業の経理担当者」「従業員1,000名以上の企業の総務責任者」などです。ターゲットが具体的であればあるほど、セミナー動画内で伝えるべき情報が明確になり、興味を持ってもらいやすくなります。セミナー動画を作り始める前に、まずは明確なターゲットを定めましょう。
Tips ② タイトルはターゲットが使う専門用語やキーワードを入れる
セミナー動画でたとえば、問い合わせにつなげるといった成果を出すためには、いかに「ターゲット」にセミナー動画を見てもらうかが重要です。
折角ターゲットを設定してセミナー動画を作ったのに、実はターゲット外からの視聴ばかりで、離脱が増える・問い合わせにつながらない、では本末転倒です。なぜこのような事態が起こるのかというと、「流行りのキーワード」をタイトルに入れているからかもしれません。たとえば、次のようなキーワードを入れていませんか?
アフターコロナ/Withコロナ/DX/テレワーク/リモートワーク
流行りのキーワードを入れることで、たしかに多くの人の興味は引きますし、視聴は増えるかもしれません。しかし、同時にターゲット外の方からの視聴ばかりが増えてしまい、結果、成果に結びつかないのです。
では、どのようなタイトルがいいのか。それは「ターゲットがよく業務で使うキーワード/ターゲットが使う独特な専門用語」を盛り込むことです。
経理担当者向けであれば、「電子帳簿保存法」「経費精算」「交通費精算」、人事担当者向けであれば「内定承諾率」「定着率」など、具体的な法律名や業務を想像できるキーワードをしっかり盛り込むことが重要です。
Tips ③ サムネイルはタイトルと人物を入れる
サムネイルとは、動画を再生しなくても、どんな動画でどんな内容なのかが一目でわかるような画像のことを指します。動画を再生するか、しないかを決める重要な要素の1つですから、手を抜かずに作りましょう。
サムネイルには、ターゲットへ向けたタイトルと共に、登壇者の写真が入っている効果的です。写真が入ることで、どんな人物が話すのかが一瞬でわかり、視聴のモチベーションにもなります。
ちなみに、女性が登壇するセミナー動画の視聴維持率は、男性よりも高いというデータもありますので、参考までに。
Tips ④ 構成は4つのポイントを意識する
セミナー動画はリアルセミナーよりも途中離脱されやすい傾向にあります。いかに興味をもって最後まで聞いてもらえる構成にするかが、非常に重要です。
離脱されやすい構成は「リアルセミナーと同じ構成」です。具体的に例を挙げると、会社紹介や製品・サービス紹介を冒頭で話始める構成のことです。これはNGです。
せっかく動画を再生してくれたにも関わらず、会社紹介や製品・サービス紹介があることで、視聴者に売り込み感を与えてしまい、視聴を続けるモチベーションを下げてしまうからです。セミナー動画を作る上で必ず持ってもらいたい視点は、「おもしろいか」「興味を持ってもらえるか」「続きが気になるか」です。
この視点を踏まえて、離脱されにくいセミナー動画に共通する4つの構成は次の通りです。
「課題提起」→「理想の姿」→「実現のための手法」→「まとめ/会社・サービス紹介」
順を追って詳しく解説します。
構成① 課題提起
セミナー再生後は、視聴者の共感を生むためにセミナー動画のテーマになっている課題を提起します。「あるある」「わかる!」と自分ゴト化してもらえるような内容からスタートします。
構成② 理想の姿
次に、セミナー動画を最後まで視聴してもらうために、「このセミナー動画を見ればこうなれるのか」という理想の姿を提示します。たとえば、今回の記事でいうと、「この記事を読むとセミナー視聴維持率をアップするためのTipsがわかる」といったことです。理想の姿を提示することで、視聴者のモチベーションを醸成します。
構成③ 実現のための手法
構成②で示した理想の姿に近づくための具体的な手法を解説していきます。「すぐに試せるものはあるかな」という興味関心を引くことが大事です。今回の記事でいえば、この6つのTipsのようなイメージです。いくつかのポイントに分けて、具体的な方法・解決策を伝えましょう。
注意してほしいのは、「ツールやサービスの使い方」を盛り込みすぎないことです。具体的なツール・サービスの説明を入れてしまうと、「すぐに使える」「すぐに試せる」から離れてしまうからです。具体的なコンテンツの考え方は、後述のTips ⑤でお伝えします。
構成④ まとめ/会社・サービス紹介
構成の最後は、今までセミナーで話してきた内容の情報の整理をしてまとめていきます。最終的に会社紹介とテーマを解決できるサービスを紹介して行きます。
上記のように、構成を工夫するだけで、セミナー動画を視聴し続けるモチベーションをこちらから醸成してあげることが可能なのです。
Tips ⑤ 話し方・伝え方は視聴者に「やってみたい」と思わせることを意識する
セミナー動画の場合、いつでもどこでも手軽に視聴ができる分、最後まで視聴してもらうためには「話し方・伝え方」の見直しも非常に大切です。特にセミナー動画は、視聴者とのリアルタイムなやり取りがほぼない上に、相手の表情を確認することができないため、リアルセミナーよりもより一方的な発信になります。
セミナーは、自社サービスを売り込むための手法ですから、「自社を知ってほしい、自社サービスの良さを知ってほしい・伝えたい」という姿勢になってしまうのは当然です。しかしその熱意は、視聴者の離脱につながる可能性があります。
セミナー動画で必要な話し方・伝え方は、「相手にどうなってほしいか」「どう行動を変えてもらいたいか」を伝えることです。実は、これは話すときの姿勢や意識のことではなく、どういう伝え方をするかというテクニックの話なのです。
たとえば、あなたなら、AとBどちらがやってみたいと感じますか?
- A: このマーケティングオートメーションを使えば、効率的に商談を生み出せます!
- B: 効率的に商談を生み出すファーストステップとして、まずは名刺のデータ化と、定期的なメールコミュニケーションから始めてみましょう!
多くの方がBと回答するでしょう。このように得られる結果が同じでも、伝わり方が変わります。「自分たちでもできそうだ」「やってみよう」と思ってもらえる話し方を意識するだけで、セミナー動画の視聴率やその後の成果は大きく変わりますので、一度ご自身の話し方をチェックしてみると良いでしょう。
Tips ⑥ 動画の長さは、いつもの1/2~1/3程度に。ただしおもしろければ長くても視聴される
セミナー動画を作るうえで多くの方が気になるのが、「動画の尺」だと思います。
私たちが推奨しているセミナー動画の長さは、いつものリアルセミナーの1/2~1/3程度です。動画という特性上、冗長なセミナーの場合、途中で集中力が切れてしまいがちです。最後まで視聴を続けてもらうためには、テンポよく簡潔にまとめることをお勧めします。
とはいえ、セミナー動画の内容がおもしろい(興味を持ってもらえる、ためになる)ものであれば、20分や30分の長尺でもしっかりと見てもらえます。一生懸命セミナーを短くするのではなく、「おもしろいコンテンツを作れるか」を重視してください。
以上、離脱されないセミナー動画の作り方極意を6つ紹介してきました。ぜひ、ここにセミナー動画を作る場合は、このTipsを参考に作ってみてください。
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