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ナーチャリングとは? 効果的な5つの手法と実践の流れ

集客までは上手くいったのに、その後テレアポやメールを送っても、反応が悪い。そんなときに必要なのが「ナーチャリング」です。

集客までは上手くいったのに、その後テレアポやメールを送っても、反応が悪い。そんなときに必要なのが「ナーチャリング」です。ナーチャリングは集客から購買までの橋渡しをする重要な役割を担っており、精度高くナーチャリングに取り組むことで売り上げの向上につなげやすくなります。

この記事では、リードタイムが長くなりがちなBtoBマーケティングで特に重視されるナーチャリングの基礎知識について解説します。

ナーチャリングとは

ナーチャリングとは英語で「育成」の意味を持ち、マーケティングにおいては「顧客育成」を指す言葉として使われます。具体的には、これから自社の商品・サービスを購入する可能性のある見込み客を新規顧客化する、あるいは既存顧客を優良顧客化することを意味します。なお、これから自社の商品・サービスを購入する可能性のある見込み客は「リード」とも呼ばれ、前者のナーチャリングは「リードナーチャリング」と呼ばれることもあります。ナーチャリングでは、リードや既存顧客に対して有益な情報を適切なタイミングで提供し、時間をかけて購買意欲を高めていきます。集客(リードジェネレーション)と販売の中間に位置するフェーズであり、どれだけの見込み客に実際に購入いただけるかを左右する重要な役割を担っています。

関連記事:リードの意味と分類|購買意欲を高めるプロセスと施策例

ナーチャリングで得られるメリット

見込み客の気持ちに寄り添ったナーチャリングは、売り上げ向上や自社・ブランドへのロイヤルティを高めるのに効果的です。ここではナーチャリングのメリットを2つ解説します。

コストを抑えて売り上げを上げられる

リードと呼ばれる見込み客は、購入には至っていないものの、Webサイトから問い合わせをするなどして自社の商品・サービスに少しは興味を持っている状態です。また、すでに購買歴のある既存顧客・休眠客も、同様に一定以上の理解があります。ナーチャリングで商品・サービスへの興味を高めてもらえるよう働きかけるのは、そうしたリードや既存顧客、休眠客なので、興味・関心の度合いが不明な層にアプローチするより効率的です。

さらに、既存顧客へのナーチャリングが成功し、リピート顧客へと育成できれば、継続的かつ安定的な利益が見込めるようになります。このようにナーチャリングには、時間や労力などコストを抑えて売り上げを伸ばせるメリットがあります。

顧客も好印象を持ちやすい

ナーチャリングは、認知から興味・関心、検討、購買までの流れにおいて、適切なタイミングで自然に情報提供することで、顧客の購買意欲を刺激します。そのため、飛び込み営業やテレアポのような、企業側からのアウトバウンドなアクションを好まない人へのアプローチとしても有効です。企業からのアグレッシブな売り込みを嫌うお客さまも、役立つ情報が記載されたebookやメルマガなどを通したナーチャリングなら好印象を持ってもらえる可能性があります。

ナーチャリングが重要な理由

リードからリピート顧客まで育成する行動として重視されるナーチャリング。ここでは、ナーチャリングの重要性が増している背景を3つ説明します。

顧客自らが情報収集・比較するようになった

ナーチャリングが重要な理由としてはまず、ハイクオリティな商品・サービスが世の中にあふれて、差別化が難しくなっていることや、顧客が行う情報収集の多様化・複雑化が挙げられます。「もう欲しいものがない」と言われる時代なのに、選択肢が豊富にあり、しかも以前なら4マスと呼ばれるテレビや新聞などから情報を集めていた顧客も、今ではWebサイトやセミナー、SNSなど情報収集・比較検討の手段は複雑化しています。そんな時代にあって顧客に選ばれるためには、顧客感情を害するおそれのある一方的な売り込みよりも、興味・関心を刺激する良質な情報を適切なタイミングで提供して、じっくりと関係構築をするほうが良いというわけです。

顧客の購入までのプロセスが長くなった

購買行動プロセスとして古くから知られる代表的なモデルは「AIDMA」です。しかし、先述の通り情報収集・検討期間が延びたことなどから、「AISAS」や「AISCEAS」という考え方も広がっています。

  • AIDMA
    Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)の流れ
  • AISAS
    Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)
  • AISCEAS
    Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Comparison(比較)→Examination(検討)→Action(行動)→Share(共有)

AttentionからActionまでの期間が延びたことで、顧客に対しては点のアプローチではなく、中長期的かつ継続的な線のアプローチが重要になりました。また、SNSを利用する人が増えるにつれ、「Share」の重要性も高まっています。また、上記モデルでShareは「行動」、つまり購入の後になっていますが、実際は興味・関心を持ったり、比較・検討したりしている段階でもSNSでシェアすることは多く、より複雑化しているのがわかります。

リードや休眠客が増加した

Webサイトやセミナー、ウェビナー、展示会などでリードを創出する間口は広がりましたが、そのぶん購入まで顧客を育成しきれず失注案件が生じるケースも見られます。どんなにリードを集めても、顧客が購入を決断するタイミングで企業との接点がなければ機会損失になりかねません。また、長く続いている事業であればおのずと休眠客も増えてきますが、アプローチすれば購入につながる可能性のある休眠客をそのまま放置しておくのも重大な機会損失となり得ます。そうした顧客に商品・サービスへの興味・関心を抱き続けてもらうためにも、ナーチャリングは重要なのです。

ナーチャリングに効果的な5つの手法

ナーチャリングの中で比較的多く活用される手法を5つ紹介します。顧客の性質や商品・サービスの特徴に合った手法を検討してみましょう。親和性の高い手法を組み合わせることでより効果的なナーチャリングが可能になります。

1:メールマガジンの配信

定期的にメールマガジン(メルマガ)を配信すると、顧客と接点を持ち続けられ、印象にも残りやすくなります。ただし、メルマガは開封・クリックされるのが第一関門なので、開封されやすいようメール配信の時間帯やタイトル・本文、コンテンツを工夫することが大切です。配信するシステムによっては誰が開封したか、どのリンクがクリックされたかを把握できるので、それらの情報をもとにタイトルやコンテンツを改善したり、顧客の温度感を確認したりしながらKPIの設定をしましょう。メールマーケティングによるナーチャリング方法としては、他にステップメールやセグメントメールも効果的です。

・ステップメール

資料請求や問い合わせ、メルマガ登録など特定のアクションを起こした顧客に対し、あらかじめ設定したスケジュールに沿って段階的に複数のメールを送ること。スケジュールはペルソナが購買に至るまでのシナリオをもとに設計され、コンテンツの内容も回を追うごとに興味・関心を高められるように工夫する。

・セグメントメール

性別や属性など顧客の分類に合わせてメールを配信すること。セグメントしないメールよりも顧客の興味や課題、スケジュールを予想しやすいため、開封率やクリック率向上の施策を打ちやすい。

2:セミナー・ウェビナーの実施

セミナーやウェビナーも、ナーチャリングに有効です。セミナーやウェビナーに参加する顧客は温度感が高いと考えられナーチャリングしやすいうえ、企業側の担当者が実際に顔と名前を出して話をすることで、信頼関係も構築しやすくなります。参加者の購入履歴や行動履歴に基づく適切な内容を話せば、より購買意欲を高めることも可能でしょう。

3:SNSでの情報発信

TwitterやFacebook、InstagramなどSNSでの情報発信は、特にBtoCのナーチャリングにおすすめのマーケティングです。企業のSNSをフォローしてもらうことにより顧客との接点を作れるうえ、投稿内容によっては親近感を持ってもらいやすくなります。一方、顧客にとってSNSのフォローはメルマガ登録やセミナー参加よりもハードルが低いので、より多くの顧客へのアプローチが期待できます。フォローした顧客が情報を拡散すればさらに多くの人に情報が伝わるので、新たなリード獲得を目的とするリードジェネレーションや認知度向上のための手段としても有効です。

関連記事:SNSマーケティングに役立つMarketing NativeのTips&事例記事まとめ

4:ホワイトペーパーの作成

ホワイトペーパーとは、顧客や業界の課題を分析したり、課題解決に役立つ情報を提供したりする資料やebookのことです。企業からの継続的な情報提供を条件に、ホワイトペーパーをダウンロードしてもらえると、リード獲得になるだけでなく、ナーチャリングにも効果的。ホワイトペーパーには、業界の最新情報や各種調査結果、自社作成のアンケート結果、自社の商品・サービスの活用事例、用語集や業務マニュアルなどを盛り込むと、より効果的に顧客の心に届きやすいでしょう。

5:オウンドメディアの運営

オウンドメディアを通して顧客に商品・サービスの特徴やメリットなどを発信することも、ナーチャリングに有効です。SEOやSNSの活用などでユーザー流入数を増やせば、多くの顧客獲得が期待できます。単に情報を発信するだけでなく、どこからオウンドメディアに流入してきたのか、どのようなキーワードで流入してきたのかを分析すれば、顧客のニーズや購買意欲の度合いも把握可能です。こうしたWebトラッキングから得た情報は、メルマガやセミナーの内容などのナーチャリング用コンテンツ作りにも活用できます。

ナーチャリング実践の流れ

最後にナーチャリングの基本的な手順をお伝えします。リードにやみくもにメルマガなどを送っても大した効果は望めず、下記の手順で準備を整えたうえで実行することが重要です。

  1. 見込み客の情報を収集
  2. 情報をもとに見込み客をセグメントに分け、アプローチするターゲット層を特定
  3. 見込み客が、カスタマージャーニーのどの段階にいるか分析
  4. 見込み客の興味関心・課題を明確にし、それに合った適切な手法でナーチャリング

まずは社内に蓄積されている見込み客のデータや名刺、オウンドメディアのWebトラッキング情報、セミナー時に集めたアンケートの内容などから情報をまとめ、性別や属性、年齢、購入履歴などの観点から分類します。その後、見込み客がカスタマージャーニーマップ上のどこにいるかを分析します。その際、メルマガ登録や資料請求など見込み客の状況やアクションに点数をつける「スコアリング」という手法がよく用いられます。点数が高い見込み客は購買意欲が高まっていると考えられるので、より直接的なアプローチが有効である一方、点数が低い見込み客はまだ自社商品に興味を持ち始めたばかりの可能性が高く、売り込み要素を低くする手法を取るのが一般的です。こうした分析を経て、ターゲットとする見込み客に合った方法でナーチャリングを実践していきます。

なお、上記のようなナーチャリングプロセスは、「MA」(マーケティングオートメーション)というツールで自動化できます。MAツールにはBtoC、BtoBそれぞれに顧客情報の一元管理やナーチャリング施策の実行などの機能が備わっていることが多いので、自社の商品・サービスに適したツールの導入を検討してみてください。

効果的なナーチャリングで見込み客を顧客へ

ナーチャリングは、リードや既存顧客、社内で蓄積しているデータなどのリソースを有効活用したマーケティング手法です。上手くナーチャリングを行えば効率的に売り上げを伸ばせるうえ、顧客の流出防止にも役立ちます。本記事でも解説した通りナーチャリングにはさまざまな手法がありますが、組み合わせることでより効果的な施策を打てることもありますし、リードジェネレーションも合わせて狙える可能性があります。最適なナーチャリング手法は顧客層や商材によっても変わってくるため、ツールも利用しながら何が最適かを検討し、効果的に行っていきましょう。

「Marketing Native (CINC)」掲載のオリジナル版はこちら ナーチャリングとは?効果的な5つの手法と実践の流れ

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