無料で使えるモバイルアプリのデータ計測ツール「Google アナリティクス for Firebase」って何?
はじめまして、アユダンテ株式会社の高田 和資と申します。主にGoogle アナリティクス360を中心としたGoogle Marketing Platformの導入・活用支援をしています。
本記事では、モバイルアプリを計測する無料のトラッキングツール「Google アナリティクス for Firebase」を利用したことがないユーザーを対象に各種レポートの見方や実装前の計測項目の考え方、Google アナリティクス SDKとの違いなど連載で解説していきます。
第一回は「Google アナリティクス for Firebase」とは、どういうものかを紹介します。
モバイルアプリのデータ計測
「Google アナリティクス SDK」は2019年10月末で終了→「Firebse SDK」へ移行が必要
従来、Google アナリティクスを利用してモバイルアプリを計測するには、次の2種類の方法がありました。
- ウェブサイトのトラッキングをアプリ用に開発した「Google アナリティクス SDK」(2019年10月末でサービス終了)
- アプリトラッキングに特化した「Firebase SDK(Google アナリティクス for Firebase)」
しかしながら、2019年10月31日で「Google アナリティクス SDK」のサービスは、終了しました。データを継続して取得するには、Google社が提供している「Google アナリティクス for Firebase」に移行する必要があります。
なお、Google社が提供する無料のモバイルアプリ計測ツールは、現在「Google アナリティクス for Firebase」のみです。移行をするか、他のツールに変更するか、何らかの方法で対処する必要があります。
すでに「Google アナリティクス SDK」を実装している方
すでに「Google アナリティクス SDK」を実装して、Googleアナリティクスでデータを計測していた担当者には、メールや管理画面等で終了のアナウンスが行われています。
もし下図のように、データが取得できない状態になっている人は、該当するGoogle アナリティクスSDKのプロパティがどれか、自社のアプリ計測が「Google アナリティクス SDK」を利用しているか「終了した対象範囲に含まれているか」をまず確認してください。その後、「Firebaes SDK」へ移行をするとともに適切なタイミングで、Google アナリティクスSDKのコードを停止させる必要があります。
Google アナリティクス 360を使っている担当者
有料版の「Google アナリティクス 360」を使っているユーザーのプロパティでは、モバイルアプリの計測が可能※です。今はデータが取れているかもしれませんが、いつ取れなくなるかわかりません。今後、機能の開発は行われませんので、先述の通り「Google アナリティクス for Firebase」に移行するか、他社が提供する分析ツールに変更する必要があります。
終了した対象範囲
- Google アナリティクスSDKのすべてのバージョン(iOS、Android)
- Google アナリティクスSDKからのみデータを受け取っているGoogle アナリティクス プロパティ
- Google タグマネージャを使用してGoogle アナリティクスSDKを実装しているGoogle アナリティクス プロパティ(GTMコンテナは影響を受けませんが、Google アナリティクスSDKは機能しなくなります)
Google アナリティクス for Firebaseとは
「Google アナリティクス for Firebase」とはGoogle社が提供しているモバイルアプリ開発プラットフォーム「Firebase」の機能の1つで、無料で使えるアプリ解析ツールです。
「Google アナリティクス for Firebase」では、最大500個の自動取得できるイベントやカスタムイベントを利用して、ユーザー獲得からアプリ使用に至るまでのユーザー分析を行うことが可能です。
Firebaseとは
Firebaseとは、モバイルアプリやWebアプリケーションを開発するためのプラットフォームです。
まだ、Firebaseを利用したことがない人は、Google アカウントでログインできるdemoプロジェクトが用意されていますので、ぜひ使ってみてください。demoプロジェクトには実際のアプリのデータが計測されており、各種Firebase の機能を試してみることができます。
Google アナリティクス for Firebaseの特徴
Google アナリティクス for Firebaseの特徴としては、次の通りです。
- クラッシュレポートやA/Bテスト、プッシュなどの他のFirebase機能と統合したデータが見られます。
- Firebase Predictions-アナリティクス データに機械学習を適用し、アプリ内のユーザーの予測された行動に基づいて動的にユーザー セグメントを作成することができます。
- first_open、in_app_purchase、notification_dismiss、session_start、などSDKインストールのみで計測されるアプリに特化した独自のイベントがあります。カスタムで作成するイベントを含めて最大500個のイベントが利用可能です。
- Firebaes単体でRAWデータをBigQueryへエクスポートすることができます。
- Google広告、UACと連携すると、端末データ、カスタム イベント、またはユーザー プロパティに基づいてオーディエンス リストを作ることができます。
- 他社広告との連携ができます。
主なGoogle アナリティクス for Firebaseのレポート画面
Google アナリティクス for Firebaseのレポート画面は全体を把握できるダッシュボードと「イベント」「コンバージョン」など利用用途に併せた項目のレポート一覧と各項目の詳細レポートにわかれています。今回は主に利用するレポートをご紹介します。
ダッシュボード
Firebaseで計測している「1日のアクティブユーザー」や「定着率」、「収益」など全体の情報を把握することができます。
イベントレポート
Firebaseの計測は「イベント」に基づいています。自動的に収集されるイベントや設定したカスタムイベントが表示されます。プロジェクトごとに最大500個のイベント数、最大100個のカスタムイベントパラメータを設定することができます。
コンバージョンレポート
Firebaseではデフォルトで以下のイベントがコンバージョン設定されています。
first_open | アプリをインストール(再インストールした)して、初めて起動したとき |
in_app_purchase | iTunes の App Store または Google Play で処理されるアプリ内購入(定期購入の初回申し込みを含む)をユーザーが完了したとき |
ecommerce_purchase | ユーザーが購入手続きを完了したとき |
その他のイベントをコンバージョンとして設定するには、イベントレポートから「コンバージョンとしてマークを付加」をオンにします。
オーディエンスレポート(ユーザーリスト)
イベントとユーザー プロパティを組み合わせて作成するGoogle アナリティクスのセグメント・ユーザーリストに該当する機能です。
各レポートの条件をフィルタするときや、連携したツールで特定のユーザーに「プッシュ通知」や「Google広告」を実施するときに使用します。
ファネルレポート(目標到達プロセス)
アプリ内のステップをイベント単位でファネルレポートとして表示することができます。ファネルレポートにすることで各ステップの完了率を把握が可能です。
今回はGoogle アナリティクス for Firebaseの主要な画面を紹介しました。今まで利用していたGoogle アナリティクス SDKのレポートとはかなり違うことがわかると思います。
ウェブとアプリ両方のタッチポイントを用意している企業は珍しくありません。ウェブサイトのデータ計測に関しては、Googleアナリティクスをはじめ、さまざまな手法や事例があります。 2019年8月にはGoogle アナリティクスfor Firebaseの仕組みを土台とした新しい分析測定ソリューション「アプリ+ウェブ プロパティ」も発表されました。
しかし、アプリの計測に関する情報はまだ少ない状況です。
次回の連載からは各レポート画面の詳細や使い方などを解説していきます。
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