第3世代のBIツールは「データを民主化」する! Qlikが進めるデータ価値の全従業員への開放
データドリブンの必然性は、マーケッターはもとより企業の幹部にも浸透してきている。さまざまなツールを活用し、その進化に期待をいだいているマーケ担当者も多いだろう。
世界100カ国以上でBIツールを提供しているQlik Technologies(クリック・テクノロジーズ、以下「Qlik」)が、第3世代BIに関する事業戦略説明会を10月30日に開催した。登壇者は、Qlik最高マーケティング責任者のリック・ジャクソン氏。そこで語られたのは、第3三世代BIツールによる「データとアナリティクスの民主化」についてだった。
第3世代BIのキーワードは「民主化」
データとアナリティクスに対する企業の投資は拡大している。しかし、ガートナーは次のような調査分析を出しているのだという。
2020年までにCDO(Chief Digital Officer)を置く大企業の割合は90%だが、そのうち成功するのは50%だ
ジャクソン氏は、この微妙な50%という数値が、「企業においてデータを価値あるものに変換することは簡単ではない」ことを示しているとし、Qlikのビジネスについて、次のように語った。
Qlikはビジョンと戦略を立案し、プラットフォームを改善。いわゆる第3世代BIの分野に進出することにした。
BIツールはこれまで、市場に進化に合わせて第1世代~第2世代へと進んできた。
第1世代BI[集中型] ―― データの一元化が主流。IT部門の特定チームが管理。
第2世代BI[分散型] ―― IT部門のスペシャリストだけでなく、企業内ユーザーもデータが利用できるセルフサービスBIの登場。アナリストがアプリケーションを作成し、チームメンバーはインタラクティブなダッシュボードを共有できるようになった。
しかしそれでも、問題が残ったままだったという。その問題とは、「ビジネスユーザーが適切なデータに適切なタイミングでアクセスすることが難しい」というものだ。
そこで第3世代へと進化したQlikのBIは、「ビジネスユーザーにアナリティクスをいきわたらせる」アプローチをとった。
第3世代BI[民主化] ―― 従業員全員がデータへのアクセスを可能にし、ビジネスプロセスに組み込むことでビジネスチャンスの拡大をはかれるようにした。いわゆる民主化を行った。
データとアナリティクス「民主化」のポイントは、次の2つだ。
ビジネスプロセスからいったん離れて特別なダッシュボードを見にいくのではなく、ビジネスプロセスのなかにアナリティクスを組み込む。
一部のスペシャリストだけでなく全従業員がデータにアクセスし、検索したり顧客のニーズを特定したりなどできるようにする。
第3世代BIはエンドツーエンドのソリューションとして提供
こうした「民主化」を実現するため、QlikはATTUNITYを買収してデータインテグレーション領域での拡張をはかり、エンタープライズ用のデータカタログであるQlik Data Catalystを統合することでソリューションを拡充。それをQlikのもっているデータアナリティクスのQlik Senseと連携させた。
エンドツーエンドのアプローチをとって、ローデータを分析し、実際にアクションを起こしたり、あるいは意思決定するためのインサイトを提示したりするまでを、一貫したサービスとしてカバーしています(ジャクソン氏)
具体的には、組織によってバラバラに置かれていたデータ(ソーシャルデータや個人のExcelシートなど非構造化データを含む)がATTUNITYによって統合され、データ変更もリアルタイムに反映されることになる。
また、Qlik Data Catalystによって、ビジネスユーザーは、有効なデータを検索して、系統だった、コメントのついた高品質なデータセットを取得でき、ほかのビジネスユーザーがどのように使っているかも参照可能となった。
そして高度なAIが組み込まれたアナリティクスプラットフォームであるQlik Senseは、ユーザーが検索を始めると、連想技術を基盤にして自動的にインサイトを生成する。また、組み込み型のアナリティクスなのでアプリケーションにも組み込むことができ、IoT領域での活用も期待できるという。
ジャクソン氏はQlikのクラウド戦略についても、次のように語っている。
Qlik Senseはモダンな拡張性のるクラウドアーキテクチャがベースになっており、複数のクラウドアーキテクチャをサポートするのは当社が唯一である。
全従業員がビジネスの現場でデータにアクセスでき、自動的に高い精度のインサイトが提示されるツールがあれば、確かに多くのビジネスチャンスを逃さずにすみそうだ。
とはいえ、どのようなデータをそろえるかという問題がその前にあるうえに、それによってどれだけの効果があがるかは開放されたデータを使う人次第ともいえる。構築時の要件定義の洗い出しと同時期に、利用をサポートする体制や、リテラシーの向上をはかる計画を練ることが鍵になるかもしれない。
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