インスタ広告“勝ちクリエイティブ”の作り方!~アクションを促す7つのTIPSとは
マーケティングプラットフォームとして注目を集めているInstagramのトレンドや効果的なクリエイティブの作り方について、アイレップがマーケティング担当者向けに「2018年最新Instagramプランニング&クリエイティブセミナー」を開催した。
セミナーでは、フェイスブック ジャパンの担当者がクリエイティブの「4つの訴求軸」や「7つのTIPS」を解説したほか、著名インスタグラマーがフォロワーを増やすコツを紹介。また、アイレップが手がけたブランディングやダイレクトレスポンスで効果のあった事例が多数紹介された。
この記事では、セミナーで語られたノウハウをまとめてお伝えする(人物の役職はすべて登壇時のもの)。
FUN & PLAYのプラットフォームに変化したInstagram
広告は本格運用のフェーズへ
第1部ではフェイスブック ジャパンの担当者が登壇し、Instagramの最新状況、成功するクリエイティブのポイント、効果測定について解説した。
現在、Instagramの月間アクティブアカウント数は10億。日本でも2000万アカウントに成長している。そして、2017年には「インスタ映え」が流行語大賞に選ばれるなど、社会現象になっているのは周知の通りだ。
また、2016年8月に「Instagram Stories」(以下、ストーリーズ)という新しいフォーマットがリリースされた。特長は、
- 写真や動画をスライドショーのように投稿
- 9:16のフルスクリーン縦長フォーマット
- 投稿は24時間で消える(ハイライトとして保存可能な機能もある)
- スタンプ、カメラモード、アンケート機能などがある
というもので、「フィードに投稿するほどではないが、日々の何気ない瞬間をシェアしたい」といった気軽な使い方がウケている。ストーリーズ投稿は24時間しか表示されないという仕組みだが、2017年から提供されている「ストーリーズ広告」では、ターゲットや期間を自由に設定できる。
Instagramで広告を出すにあたっては、Instagram単体以外にも、Instagram / Facebook / Audience Network(オーディエンスネットワーク)で掲載面を自動的に最適化する自動配置という方法がある。フェイスブックの加古真智子氏からは、「ブランディング、ダイレクトレスポンスともに効果が高い。弊社で行なったキャンペーンと調査結果では、ブランディングではニールセンの指標より2.8倍高い広告想起率がでている。またダイレクトレスポンスではモバイルアプリインストールや、ウェブサイトコンバージョン数の増加にも効果を出している」と解説があった。
効果の上がるストーリーズ広告の「4つの訴求軸」
フェイスブックの栗山氏によると、トレンドとして押さえておきたいのが、Instagramの投稿内容の変化だ。Instagramといえば数年前は「美しく洗練されている」「ハイクオリティ」な投稿が多いというイメージだったが、最近は日常を切り取った気軽な投稿が増えている。
InstagramはFUN & PLAYのプラットフォームになった(栗山修伍氏)
投稿のトレンドが変わったのだから、広告もそれに合わせて変化する必要がある。Instagram広告は「おしゃれな素材を用意しなければならないのでは」「特別な編集が必要なのでは」と心配する声があるが、カジュアルな投稿が多いストーリーズの合間に挿入される広告は、FUN & PLAY=楽しく、遊び心のある表現を大切にしつつ、「ありもの」で「簡単に」作る方が効果が高い傾向にある。栗山氏は、効果の上がるストーリーズ広告のポイントを次のように紹介した。
- ブランド訴求
- ストーリー訴求
- プロダクト訴求
- 便益訴求
ストーリーズ広告は最大15秒。訴求ポイントを絞って、ストーリーを仕立てるのが効果的だ。また、Instagramは基本的にページ移動しないが、ストーリーズ広告は画面をスワイプアップするという直観的な動きで、
- アプリインストール
- コールトゥアクション(問い合わせや資料請求などの行動喚起)
- ランディングページ
などにユーザーを誘導できる。そのため、指を止めるきっかけや、次が気になる仕組みを工夫することでアクションを促せる。
アクションを促す7つのTIPS
Instagramにおいてアクションを促すために必要なポイントは次の7つ。セッションでは具体的な事例とその効果が紹介された。
- スワイプアップ
タップして上にスワイプすると、下のランディングページが見えるというもの。スワイプすれば何か起こると気付かせるように、クリエイティブを工夫すると効果的。
- プロフィールアイコン
サービスの公式アカウントのフォロワー増加や、投稿への誘導が目的という場合、プロフィールアイコンをタップすれは公式アカウントに移動することがわかるようなクリエイティブを作ると効果的。
- 15秒間
15秒間をうまく使う。広告は友人の投稿の間に出てくるので、最初から企業名が入っていると飛ばされてしまう。そこで、前半は広告とわからないような内容でオーガニック風にし、少しずつハードルを下げて最後に企業名が出る、といった内容が効果的。
- 画面分割
9:16の縦長フォーマットは迫力があるが、既存のCMやウェブ動画を縦長画面にはめ込むのに苦労するケースがある。たとえば上下2分割など、画面を分割するとハードルが下がる。
- 絵文字
絵文字を加えてカジュアルにすると、ユーザーによる投稿と表現が近くなるため、広告だけが悪目立ちするのを避けられる。
- ポーズ(一時停止)
ストーリーズは、画面タップで動画を止めることができる。思わず止めて見たくなるクリエイティブにすると効果的。たとえば、「静止画が高速で入れ替わっているので、気になって止める」など。
- プログレッションバー
画面上部に動画の時間経過を示す線があるので、それにシンクロさせて画像を変化させると、どうなるか気になって最後まで視聴を促すことができる。
さて、広告効果の測定に注目すると、Cookieベースの効果測定では実際に見た人数がわからないのに対して、ログインして使うFacebookのサービスは“人”ベースで計測できる。また、クリック率やシェア数、動画視聴完了率などは、ビジネス貢献との相関がない場合が多いので、ビジネス結果にひもづいた指標が必要だ。中原啓智氏は、「正しい方法による測定が必要」とし、バイアスを含まずにクロスメディアで計測する方法を推奨した。
多数の運用実績を持つアイレップが教える
Instagramの効果を高める最新メソッド
第1部で紹介した通り、Instagramの投稿トレンドが変化し、いわゆる「美しすぎる、広告的な世界」だけでなく、「より気軽な投稿やカジュアルな表現」が受け入れられるようになっている。第2部に登壇したアイレップの平知己氏はこう述べる。
Instagramは自分の好きなものだけを並べた、自分の部屋のような世界。そういうところに出す広告は、利用者視点であるべきだ
Instagramはビジュアルに強みを持つプラットフォームであり、「ステキなもの」「好きなもの」「面白いこと」に出会えるソーシャルグラフより一歩先に進んだインタレストグラフと認識されている。友人の投稿を見て「旅行先を決めた」「ごはんを食べに行った」などはよくあることだ。
アクションのきっかけになった投稿を聞いたアンケートでは、下記のような項目が挙がっている。
- 画像がおしゃれ
- 商品の体験談がある
- 自分が使っているイメージかつく
「Instagramは、あこがれや理想をイメージでき、なおかつ一般ユーザーの投稿だからこそリアルな情報として捉えられ、“自分ゴト”化ができるメディア」だとアイレップの宮崎氏は言う。
その特性をふまえて、企業がInstagramを活用してアプローチする方法として効果的なものに、「アカウント運用」と「広告運用」の2つがある。
- アカウント運用
ブランディングや告知が可能。ただし、外部サイトへの誘導が難しい。既存ユーザーとのコミュニケーションを深めるには最適だが、既存ユーザーへの適切なリーチ、新規ユーザーへのアプローチには、まだ課題がある。
- 広告運用
アカウント運用の課題を補える。外部サイトへの誘導がしやすく、高精度なターゲティングも可能だ。新規顧客獲得や顧客単価向上に使える。
Instagram広告では、潜在層へ効果的にリーチできる。具体的な事例として、結婚相談所「ツヴァイ」が紹介された。従来はリマーケティング広告がメインだったが、Instagram広告により多くの潜在層を掘り起こすことができ、全体売り上げの約8割を潜在層が占めるようになったという。
また、Instagram広告においては、ビジュアルが重要な媒体という特性にマッチした“勝ちクリエイティブ”を見つけることが最も重要だ。Instagramでは、広告の画面占有面積が他媒体に比べて広い。どうしても見えてしまうのだから、見て嫌がられないことが重要になる。ポイントは、第1部でも説明されていた「FUN & PLAY」や「4つの訴求軸」だ。
Instagram広告をどう感じるかというアンケートでは、約60%の人が「タイムライン(フィード)になじんでいれば気にならない」と答えている。逆に言うと、なじんでいなければ嫌悪感を抱くということだ。影山氏は「FUN & PLAYをアイレップなりに日本語にすると“楽しさ”と“気軽さ”」と言い、なじませるポイントとして次の2つを挙げた。
- Instagram利用者のモチベーションにマッチした目をひく楽しさ
- 広告っぽくない気軽なコミュニケーション
では具体的にはどのような広告なのか、アイレップが手がけて成功している事例が紹介された。
たとえば、銀座ステファニーの例では、「有名タレントを起用した高級感ある演出」よりも、「商品をたくさん並べてアイキャッチさせ、楽しげな雰囲気を演出」した方がCTRやコンバージョンが高かったという。
また、ニッセンでは、「商品をいかにも広告風にきれいに見せる写真」に対して、「アイレップ社員が商品(セーターやシャツなどの服)を腕にかけて撮影した自然な雰囲気の写真」のコンバージョン数は17倍になったという。ニッセンの例では、肌に対する色合いや質感がわかりやすいということで、照明も凝ったものではなく、一般投稿っぽいリアルさがウケたようだ。
“勝ちクリエイティブ”を見つけるには、多人数でディスカッションするのがおすすめだという。そのためアイレップでは顧客企業と「Instagramワークショップ」を行っている。アイレップの営業担当、メディア担当、ディレクター、デザイナーなどが参加して、下図のような流れで4~5時間ディスカッションする。これにより、違う視点からの課題が見つかったり、新しいインサイトや演出方法が出てきたりする。
人気インスタグラマー3名が登場!
個々の画像だけでなく全体のバランスを考えるのがコツ
第3部では、各ジャンルで活躍中の著名なインスタグラマー3名によるトークセッションが行われ、Instagram運用で気をつけていることや、フォロワーを増やす方法などをそれぞれが語った。
主婦目線の彩り豊かな家庭料理の献立レシピで定評のあるめぐみ氏(@meguhanasora)は、「自分の献立を撮っておけば、献立に困った時に見返せる」という目的でInstagramを始めたという。心がけているのは次のようなことだ。
- 月~金は毎日上げる
- ごはんとおかずの並べ方は固定してわかりやすく
- 器を変えるなど、同じ料理でも写真が同じにならないように
一方、Instagramとの出会いがきっかけでフォトグラファーに転身した保井崇志氏(@_tuck4)は、「元々写真ブログをやっていたが、Instagramの方がタイムリーに反応がつく」ので始めたという。雑誌の誌面作りをしている感覚でアカウント画面の画像配置を考えているといい、テスト用の別アカウントも使っている。
独自のファッションセンスでスナップ誌でも話題の中川友里氏(@darayunya)も、やはり全体のバランスを重視している。「Instagramは色味や世界観を統一するのが大前提」と言い、たとえば並びが白っぽいと思ったら、青い写真を差し込む。それが、「いいね」がつきにくい物撮りでも、その方がカワイイなら入れるという。個々の写真ではなく、全体で作品と捉えてバランスを考えるのが、フォロワーを増やすコツのようだ。
「新しいフォロワーは主にどこから来るか」という話題について、保井氏はTwitterやウェブサイトからが多いと語る。Instagramはギャラリーで、拡散はTwitterを使うという考え方だ。
また、中川氏やめぐみ氏は、同じ趣味の人や同じ立場の人がつながることでお互いのフォロワーが積み上がっていくという。めぐみ氏であれば、毎日の献立に頭を悩ませない主婦はいないので、そのような主婦とつながりお互いのレシピを参考にし合うことでフォロワーが増えていくのだ。フィーリングの近い人たちがつながることを中川氏は、「コラボ」と表現していた。
“インスタ映え”する料理が並ぶパーティー
トークセッションが終わると、ネットワーキングパーティーに突入した。提供されるフードとドリンクは、めぐみさん監修による“インスタ映え”する料理たちだ(もちろんおいしい)。多くの人がスマートフォンに収めており、Instagramでも多くの投稿が生まれたことだろう。
「Instagramは洗練されてハイクオリティなプラットフォームだから、広告効果は特定の業種のみ」と考えているなら、それはもう古い考えだ。今や特殊な素材や編集が必要ではなく、ハードルは低くなっているのだ。ブランディングにしろダイレクトレスポンスにしろ、実際に大きな効果を上げている企業がすでにあるのだ。
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