「インスタはおしゃれ空間」「愚痴専用アカでツイート」デジタルネイティブ世代のSNS利用
この記事は、Intage 知る Galleryで公開された記事の許諾を得てWeb担当者Forum向けに再編集したものです。
SNS、どう使い分ける?主な使い方と「SNSあるある」実態
Instagramは「自分の世界観を表現するもの」、人が入った写真をアップするならTwitter。
LINEのタイムライン上での交流は使わない。自分たちよりももう少し下の世代向けに感じるから
Facebookは上の世代が使っているものだから、自分は読んだり誕生日のお祝いをする程度。
デジタルネイティブ世代の女性たち(女子高生、女子大生、社会人1年生)にスマホの使い方についてインタビューしたときに出てきた言葉です。
この世代はスマホ利用時間が1日3.4時間。テレビ視聴時間が最も多いゴールデンタイムでもスマホの利用時間の方が長いような人たちです。
様々な特徴のあるSNSが台頭するなかで目的に応じた使い分けをし、使い方には”自分たちの世代にフィットしているか”という視点が入る、そんなことが示唆されます。
そもそも、それぞれのSNSは今、どのように位置づけられているのでしょうか?
性別や年代で利用方法はどう変わる?
まずはインテージが収集した、協力モニターのテレビ、パソコン、スマホのメディア接触ログを捉えたデータベース、i-SSP(インテージシングルソースパネル)を使用して主要SNSの性年代別の利用率を見てみましょう。
電話やメール、グループチャットの機能も兼ねるLINEはやはり利用する人が多く、女性ではどの世代でも80%以上の人が利用しています。一方Twitterは男女ともに10代~20代、Instagramは女性(特に10~20代)、Facebookは20代以上といった層で利用率が高いことがわかります。
次に、それぞれのアプリユーザーが「1日のうちどれだけ時間をかけているのか(平均利用時間)」を比べてみました。LINEやTwitterは年代が上がるほど利用時間が下がる傾向があります。
それに対して、Instagramは20~30代女性の利用時間が長く、Facebookは30~50代女性や中高年男性の利用時間が長くなっていることがわかります。また、10代の女性はLINEもTwitterも利用時間が長く、SNSを使っている時間が特に長いことがわかります。
前述のデジタルネイティブ女子へのインタビューでは、「Instagramにアップした写真への『これ食べたい』といったコメントをきっかけに、具体的な計画はLINEで相談する」「InstagramとTwitterのメッセージを行き来する」といった話が出てきました。SNSアプリ間を行き来しながらやり取りを続けた結果、それぞれのアプリの利用時間が長くなるといったことでしょうか。
SNS、それぞれの利用目的は?
年代層によって浸透度合いや使い込み度合が異なることがわかりました。そもそも、それぞれのサービスの違いはどのようなところにあると感じられているのでしょうか? 「友達とつながる」「情報収集をする」「写真をアップする」といった目的について、それぞれのSNSがどのような使われ方をすることが多いかを比べてみました。ここからは主にメールやチャット代わりに使われるLINE以外の3サービス間で比べます。
友達とつながる/友達との連絡に使うSNSは?
リアルの友達とつながるならFacebook。約45%がこの目的で使い、約30%が連絡手段としても使っていました。ネット友達とつながったり情報交換をする目的で使われることが多いのはTwitter。約20%の人がネット友達とつながる手段として使っていました。
情報収集に使うSNSは?
好きな芸能人・著名人の投稿チェックで最も高いのがInstagram。ユーザーの42%がチェックしています。
趣味に関する情報収集、話題・ネタに関する情報収集、流行に関する情報収集はTwitterが最も高くなっていました。
最近、よくSNS映えについて情報番組で取り上げられているのを見ますが、「人の投稿を見て、自分も行ってみる」という行動のきっかけになっているのを見かけます。実際に「行きたいところ、食べたいものに関する情報収集」に使っている人はInstagramユーザーでは17.9%、Twitterでは16.1%という結果でした。
前述のデジタルネイティブ世代の女子からは「雑誌は買わないでファッションの情報もSNSで収集」という話も出てきました。ここで、性年代別に流行に関する情報をSNSで行うと答えたユーザーの割合を見てみましょう。
デジタルネイティブ世代(ここでは16~24歳で定義)の女子に限って見ると、Twitterユーザーの31.5%、Instagramユーザーの29.6%が、流行に関する情報収集に利用していました。20代以下の男性や30代以下の女性でもSNSから流行に関する情報収集をしているという人は多いようです。
写真をアップするSNSは?
では、情報を発信する方としてはどうでしょうか? Instagramと聞いて思いつく「行ったところや食べたものの写真をアップする」という使い方を普段しているユーザーは約3割という結果でした。
こちらも年代別にみると、デジタルネイティブ世代の女性で4割以上と特に多く見られましたが、女性は多くの人が年代関係なく「行ったところ、食べたものの写真アップ」を行っている様子が見られます。
SNS、よくある使い方は?
日々膨大な情報が発信されていくSNS。新しい機能の追加や、新しい使いこなし術がユーザー間で生まれるなどで、使い方も日々変わっていきます。
また、企業やブランドの公式アカウントからのTwitterでのゆるい発信が話題になったり、「逃げ恥」の時のようにテレビの話題がTwitterで盛り上がって番組の視聴に結びつく(参考記事)、という現象も見られるようになってきています。
多様な使い方ができるなかで、それぞれどのくらいの人が実践しているのでしょうか?
ハッシュタグって使う?
ハッシュタグ(#キーワード)は投稿につけることで同じことに興味がある人と共通の話題で盛り上がったり、見つけられやすくして新たに友達として繋がったり、エゴサーチしているであろう関係者に意見を届けたり、といった使い方が主でしたが、最近では文章をすべてハッシュタグに分けて投稿することも珍しくない様です。
投稿や検索に普段どのくらいの人が使っているのか聞いたところ、Instagramが2割強と最も多い結果となりました。
Instagramでのハッシュタグを利用について性年代別に見ると、投稿、情報検索共に、デジタルネイティブ世代の女性で特にハッシュタグを利用する人が多いことがわかります。
“いいね”をつける? 狙う? 人の投稿への反応
最近よく聞く“SNS映え”。SNS映えしているかどうかを判断する基準は“いいね数”ということで、いいね獲得を狙った投稿をすることは珍しくないようです。
こちらはどのくらいの人が行っているのでしょうか? 最も多いInstagramで9.4%という結果でした。そもそも人の投稿にいいねをつけるという行動は相手の顔が見えているFacebookや、写真投稿の多いInstagramで特に多いようです。
また、最近よく聞くTwittter用語に「FF外(フォロー・フォロワー外)より失礼します」があります。お互いフォローし合っていない関係性でコメントをする時に使われているようですが、実際Twitterでいわゆる「FF外のやり取り」を普段すると答えた人は約6%でした。
企業やブランドからのメッセージ、受け取る?
ゆるくて親近感の持てる企業アカウントが発信していたり、企業アカウントをフォローして投稿するSNSキャンペーンが行われていたり。最近では企業アカウント同志でコラボ、といった発信もよく見るようになってきました。これらの発信、どのくらいのユーザーが反応しているのでしょうか?
Twitterで公式アカウントの発信を見るという人は約30%でした。ネタ的な発信が多いからでしょうか、他のSNSと比べて多くの人が見ているようです。ちなみに、LINEで企業アカウントとともだちになることで無料スタンプをもらえるというキャンペーンを多く見ますが、こちらはユーザーの約18%が利用しているようです。
SNSキャンペーンへの参加する人の割合もTwitterで最も高く、約15%のユーザーが参加すると答えました。
テレビを見ながら使うSNSは?
テレビを見ながらつぶやくという行動は主にTwitterで行われ、ユーザーの約15%が行っているようです。盛り上がりがトレンドに反映されたり、ネットニュースになって拡散されるわけですね。
デジタルネイティブ女子の発言、検証してみた
今回の調査を行う発端となったデジタルネイティブ女子のインタビュー。その中に「Twitterのアカウントを50~60個持っていて、好きなアイドルによって使い分ける」という発言がありました。また「企業キャンペーンに参加するなら友達にわからないように専門のアカウントを作る」という発言も。実態はどのようになっているのでしょうか。
Twitterアカウント、いくつ持ってる?
デジタルネイティブ女子のうちTwitterユーザーでアカウントが1つだけというのは約4割で、約10%の人が5つ以上持っているという結果でした。他の年代と比べ特に多く持っていることがわかります。
キャンペーン応募用のアカウントは持ってる?
キャンペーン応募用のアカウントを持っていると答えた人はTwitterユーザーの9%でした。デジタルネイティブ女子では7%と、特に多いわけではないようです。むしろ年代が上がるほど増える傾向が見られました。
一方、愚痴をはくためのアカウント、いわゆる「愚痴垢」はデジタルネイティブ女子のTwitterユーザーの21%が持っていると回答しました。
Facebookはリアルな友達とつながる手段、LINEは連絡手段、という色がはっきりあったうえで、他の機能も利用する。TwitterとInstagramはどのような情報を収集するか、発信するかで使い分ける。今はそんな位置づけのようです。Instagramが盛り上がる前は違う位置づけだったと考えられます。新たなサービスの登場や機能開発が進めばユーザーの使い方も変わっていきます。今後もそれぞれの位置づけの変化を捉えていくことは重要と言えそうです。
調査概要
今回の分析は、i-SSPとインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
i-SSPとは、インテージの主力サービスであるSCI(全国個人消費者パネル調査)を基盤に、同一対象者から新たにパソコン・スマートフォン・タブレット端末からのウェブサイト閲覧やテレビ視聴情報に関して収集したデータです。
※ i-SSP(読み方:アイエスエスピー)/シングルソースパネルは株式会社インテージの登録商標です。
- 調査手法:インターネット調査
- 調査地域:全国
- 対象者条件:16-59歳の男女
- 標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
- ウェイトバック:性年代構成比を2015年度実施国勢調査結果にあわせてウェイトバック
- 標本サイズ:n=2,736
- 調査実施時期:2017年10月13日(金)~2017年10月16日(月)
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