テレビの総接触率は北海道が1位(26%)・東京は43位(20%)、都道府県別のスマートテレビ視聴ログ分析
この記事は、Intage 知る Galleryで公開された記事の許諾を得てWeb担当者Forum向けに再編集したものです。
テレビを一番よく見るのは何県民? スマートテレビのログデータから見た都道府県別視聴実態
出身地について話すと自然に出てくる「○○県民はせっかち」といった県民性のネタや、「静岡県のおでんは黒い」といったご当地ネタ。性格はもちろん、味の好みや文化の違いもあって、定番の話題です。
最近では、都道府県別にご当地に合わせて開発されたビールが話題になりましたが、「関西人は・・・」のように広いエリアで見るよりも、「○○県民は・・・」のように、都道府県別に見ることで愛着や実感を持ちやすい気がします。テレビの視聴行動にも、県民性や地元愛は表れるのでしょうか。
インテージが提供しているスマートテレビの視聴ログデータ、「Media Gauge TV※1」を使用して調べてみました。
1. 最もテレビを見ている都道府県民は?
まずは、「平均何%のテレビで番組が見られていたか」を示す「総接触率」を分析しました。たとえば、図表1の場合、東京都の15時00分時点での総接触率は40%と計算します(地上波、BS、CS計)。
総接触率は、「1日あたり何時間テレビが見られているか」の指標としても解釈ができます。
この「総接触率」を都道府県別に算出し、日本地図で表現した結果が図表2、ランキングにまとめた結果が図表3です(2017年9月の毎分データの平均値)。
ランキングを見ると、テレビが見られている時間が最も長い都道府県は北海道で、1日の平均で約6時間程度という結果でした。逆にテレビが最も見られていない都道府県は鳥取県で、1日当たり約4時間という結果でした。1位と47位 では、テレビが見られる時間に2時間以上の違いがあるようです。
次に、テレビの総接触率の「1日のなかでの変化」を分析しました。図表4からは、テレビの総接触率には朝、昼、夜の1日3回のピークがあることがわかります。
青森県は長年、早寝早起きで全国1位の県(全国平均と比べて18分早起き、40分早寝※2)ですが、テレビの視聴時間にもその傾向が表れているでしょうか。データからは、青森県は朝、夜のピークが全国平均から10~15分程度が早いことがわかります。「早く起きてテレビを見て、早くテレビを消して寝る」、テレビの視聴データからは、青森県民のそのような生活リズムもうかがえます。
地域によってテレビの視聴時間に差がある。また地域の生活リズムの違いが時間帯別の総接触率にも表れている。
2. ご当地ネタの代名詞「秘密のケンミンSHOW」。地元ネタは強い?
2007年から10年以上にわたって放映されている読売テレビの「秘密のケンミンSHOW」。各地域の行事や食文化などのご当地ネタが紹介される人気番組です。地元ネタが特集されていると嬉しいもの。実際番組を見る人も増えるのでしょうか。
2017年9月7日の放送は「潜入! 最強ラーメン王国福島!」と題して、福島のラーメン特集が放送されました。この時の福島県と全国平均の接触率のデータが図表5です。福島県が特集された9月7日の接触率が普段の2倍程度に上がっていることがわかります。
また、翌週9月14日には「好評! 海無し県民大集合!」特集、翌々週の9月21日には「長野熱愛! 巨大唐揚げ山賊焼に騒然!」特集が放送されました。この時の長野県と全国平均の接触率のデータが図表6です。
海なし県が特集された9月14日、長野の食べ物が特集された9月21日では長野県の接触率が普段の1.5倍程度に上がっていることがわかります。やはり地元ネタには反応しやすいようです。
地元ネタがケンミンSHOWで取り上げられた県では普段より多くの人が視聴する傾向が見られた。
3. 県代表の甲子園の試合。好調だとテレビ観戦も盛り上がる?
ご当地で盛り上がるテレビと言えば、甲子園での県代表試合もあります。特に勝ち進んで決勝進出ともなると大きな話題になり、普段高校野球は見なくてもテレビの前で応援し、喜びや興奮を周囲と共有したいと思う人も多いのではないでしょうか。
2017年夏の甲子園の決勝では、それぞれ県としての初優勝がかかっている広島県代表の広陵高校と、埼玉県代表の花咲徳栄高校の試合が行われました。この試合中継の分単位の接触率を広島県、埼玉県、全国平均で比較した結果が図表7です。
試合開始から1時間ほどは、広島県の接触率が高かったのですが、花咲徳栄高校が大量得点を取った時間帯に広島県の接触率は下がり、一方、埼玉県の接触率は継続して伸び続け、試合終了を迎えていました。皆で盛り上がれる、ご当地にとってうれしいニュースがリアルタイムで注目を集めていく様子がわかります。
高校野球の試合中継で、勝っているチームの地元にあたる県では接触率が伸びていき、試合終了時に最も高くなった。優勝の瞬間を味わいたいためと推察される。
4. 衆議院選挙の速報番組の見られ方に都道府県間の差は?
ここまで、ご当地コンテンツの見られ方を都道府県別のデータで見てみました。最後に、2017年10月22日に行われた衆議院選挙の速報番組の見られ方を都道府県別に分析しました。地域に特化したコンテンツを放送するご当地の放送局の見られ方を、地元の開票速報への関心度の違いと解釈して分析しました。
開票速報が出る20時からの30分間に注目して、関東と近畿のご当地放送局の接触率を比較したのが図表8です。 ※茨城と大阪にはご当地放送局(地方独立局)が存在しないため、分析対象から外しています。
関東と近畿で比較すると、近畿の方がご当地放送局の接触率が全体的に高めでした。また、関東のなかでも神奈川県や東京都、近畿のなかでも京都府や兵庫県といった人口の多い大都市エリアでは、ご当地放送局の接触率が低く、群馬県や栃木県、和歌山県や滋賀県といった地域では接触率が高い傾向もありました。これらの結果から、いわゆる「政治の中央」から離れた地域の人の方が、自分の住んでいる地域の選挙結果への関心が高いことがうかがえます。
大都市圏から離れた地域の人の方が、自分の住んでいる地域の選挙結果への関心が高いことがうかがえた。
このところ「テレビ離れ」という言葉を耳にすることもありますが、都道府県別にテレビの視聴行動を分析してみると、その実態は地域差が大きく、テレビをよく見るエリアもあります。また、周囲と盛り上がれる「ご当地ネタのテレビコンテンツ」には反応するようです。テレビを含め、メディアの見方の“県民性“を掘り下げて理解することは、近年定着してきたエリアマーケティングにおいて、「いつ、どんな手段で、どのようなコンテンツを届けるか」を計画する上で重要な情報です。
インテージの知るGalleryでは、今後も“県民性”について、さまざまなデータを分析し、新たな発見があればお伝えします。
調査概要
今回の分析は、Media Gauge TVのスマートテレビの視聴ログデータを用いて行いました。
ビッグデータやIoTデータを活用し、あらゆるメディアの計測データを、より詳細・正確にマーケティングに活用できるデータとして価値化し提供するサービスです。第1弾として、テレビ版の提供を11月より開始します。今後、デジタルなど他メディアの計測も順次開発を進め提供していく予定です。
※Media Gauge(メディアゲージ)は株式会社インテージが商標登録申請中です。
複数のテレビメーカーから収集した、ネットに結線されたスマートテレビと録画機の視聴ログ※をクレンジングし、統一フォーマットで標準化・構造化した視聴データです。都道府県別にとどまらず、一部エリアでは市区町村別でもデータを見ることが可能です。
インテージでは現在、各放送局別(地上波・BS・CS)、各地域別(市区町村など)のテレビ視聴データを提供しています。テレビ:約47万台、録画機器:約52万台(2017年8月時点)
※ マーケティング利用の許諾を得て、匿名化されているもので、どのテレビ・録画機で、いつ、どんな操作がされたかがわかります。
関連ニュース:インテージ、都道府県別テレビ視聴実態を可視化するスマートテレビ視聴データ “Media Gauge TV”を11月に提供開始
※2 出典:ピカイチデータ100! 数字で読む青森県2016
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