はじめてWEBエキスパート(専門家)コラム ウェブサイト運営のためのスマートフォン撮影テクニック(全4回)

ウケるスマホ写真は構図が命!? 代表的な3つの構図とInstagramで人気の構図とは(第4回)

プロではない人から、「写真撮影では構図が一番むずかしい」という声をよく耳にします。最終回では、代表的な3つの構図と、Instagramで人気の構図について説明
※「はじめてWEB」は2020年10月13日をもってサービスを終了しました。

インターネットで表示される写真には、スマートフォンで撮影された写真が多くあります。FacebookなどのSNSを活用して情報発信やユーザーとのコミュニケーションをはかる場合、リアルタイムさやアクティブさを伝えるためにも、スマホ写真をすぐにアップロードすることが有効です。

スマートフォン撮影テクニックでは、スマートフォンそのものや内蔵カメラの特徴を理解し、Webコミュニケーションをより円滑に進めるコツを解説します。

差がつく構図の考え方

プロではない人から、「写真撮影では構図が一番むずかしい」という声をよく耳にします。

どのようなカメラでも、よい構図で撮影する基本的な考え方は同じです(写真撮影入門 : 第3回「ピントと構図を意識する※「はじめてWEB」は
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」参照)。公開前のトリミングなど、どのように加工するかは置いておいて、撮影時にしっかり構図を考える癖を付けることで、撮影の「勘」が磨かれます。

最終回である今回は、代表的な3つの構図と、Instagramで人気の構図について説明します。

写真撮影の基本となる二分割構図

「二分割構図」は、もっともシンプルな構図の考え方です。
写真の画面中央に縦もしくは横に線が引けるような構図で撮影します。下の写真、[二分割構図その1]では、空と海の境目を中央におくことで、天と地(上下)に分われている写真にしました。

二分割構図のデメリットは、境界線が少しでも傾くと、悪い意味で目立つことです。脇を締め、カメラのグリッドを参考に、なるべく傾かないように撮影することがポイントです。傾いてしまった場合は、アップロードをする前に傾きを補正して公開することをおすすめします。

風景写真を撮影する場合、水平線や地平線だけが基準になるわけではありません。[二分割構図その2]では、写真の中で見せたいポイントがおおよそ下半分でおさまっています。上下を半分に分ける線を、モノレールが走るレール部分の消失点に設定しました。

[二分割構図その1]海岸での撮影。半分から上は空、下は海。水面のラインで2等分する。

[二分割構図その2]モノレールからの撮影。一番見せたいレールを画角の下半分に納める。

三分割構図

「三分割構図」は、写真を撮るときにもっとも画(え)作りがしやすい構図です。

iPhoneで撮影するときは、液晶画面に黒い線で漢字の「井」、アルファベットの「♯」のように3分割になるようなラインが入っています。そのラインに沿って被写体を配置すると三分割構図で撮影できます。

風景写真を撮影する場合、縦のラインは「垂直」、横のラインは「水平」を示します。
木や建物などを撮影する場合は縦のラインにそろえて撮影することで、画像が傾きにくくなり写真の仕上がりが安定します。

[三分割構図その1]は、夏の風景と一緒に飲料のボトルを左のラインに合わせて撮影しました。
[三分割構図その2]は、ステーキが口に入る直前を演出した「箸あげ」を行っています。
持ち上げたステーキの位置が、左下でラインが交わるポイントに重なるよう注意しました。

[三分割構図その1]ボトルがメインとなるように左のラインに合わせて配置。

[三分割構図その2]主役になる持ち上げた肉を、左下でラインが交わるポイントに配置。ピントを外さないように注意する。

遠近感構図

「遠近感構図」は、わかりやすくいえば、写真の中に「近い被写体」と「遠い被写体」が同居した構図です。

撮影者の演出にもよりますが、注目してほしい被写体を大きく写る手前に配置し、ピントを合わせます(ウェブサイト運営のためのスマートフォン撮影テクニック : 第1回「手ブレや明るさに注意する※「はじめてWEB」は
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」参照)。

[遠近感構図その1]の場合、主役として写したいのは手前のパンケーキです。 カメラから「近い」位置のパンケーキだけを写してしまうと、「遠い」被写体(グラスやピッチャー)がなくなり「遠近感」がなくなります。 つまり、写真の中で意図して遠い位置に被写体を配置し、一番見せたい手前の被写体をクローズアップしましょう。

[遠近感構図その1/良い例]手前のパンケーキにピントを合わせることを意識する。奥のピッチャーやコップが写ることではじめて、遠近感構図となる。

[遠近感構図その2/悪い例]広がりのある美しい風景が広がった写真だが、目立った被写体が無いため遠近感に欠ける「単なる夏の海」という写真。近景の位置の砂浜に遊んでいる子供やサーフボードを抱えた大人などがいればよい写真になる。

Instagram(インスタグラム)では日の丸構図も一般的

「日の丸構図」は、写真の中心に見せたいものを配置する構図です。

撮影者も見る側も「見せたいものがはっきりする」という点では構図を決めやすく、意思疎通もスムーズになります。

Instagramは基本的に正方形「通称6×6(ロクロク)」というアスペクト比(縦横比)で公開することが多く、正方形の写真と相性のよい「日の丸構図」が好まれる傾向があります。

[日の丸構図その1]では、撮影時に正方形のアスペクト比で撮影しました。日の丸構図は被写体をまとめやすいと同時に、視点が集中しやすいことから見た人に伝わりやすいという効果があります。器を切ることなく中央にまとめました。

真俯瞰から撮影する場合、雑に盛りつけると粗が目立つため、盛りつけは細心の注意を払うことが重要です。また、縦横のライン(お皿の配置、テーブルの模様、テーブルクロスなど)の歪みが目につくため、なるべく歪みがないように注意しながら撮影しましょう。

[日の丸構図その1 正方形で撮影]ホテルのビュッフェモーニングを撮影。トリミングをせずに公開するので、複数ある皿をバランスよく配置するなど注意が必要。

※POINT

縦、横に関わらず長方形で撮影したものを、正方形にトリミングして公開することを考えると、撮影時に正方形で撮影し、ノートリミングで公開すると時間短縮になります。

[日の丸構図その2]は、真俯瞰で撮影しているのは同じですが、器の1/4ほどを大胆に切り取ることで「天ぷら」「卵」「そば」が大きく、力強く写っています。

行儀よくうまくまとまった[日の丸構図その1]の写真とは別の意味で、食欲をかき立てる写真に仕上がっています。特に、見た瞬間、卵と天ぷらに目が行きます。一見すると日の丸ではないのですが、中央に印象的なものを配置するという、ワンランク上の日の丸構図です。

[日の丸構図その2/真俯瞰で撮影]Instagramで人気の高い構図。この写真のように、食べ物全体を写そうとせず、器を切って見せたいところにグッと寄ることで、「新鮮さ」「繊細さ」「おいしさ」が伝わる写真になる。

[日の丸構図その3]では、よく見る斜め上からの撮影ですが、その2同様、被写体にグッと迫った撮影をしています。緑色のネギが画面のほぼ中央に配置された日の丸構図です。

  • 讃岐うどんのシンプルさ、素朴さを伝えたい
  • 讃岐うどんは「麺」と「ダシ(つゆ)」で勝負
  • 色は緑と白だけ、素材感(白い麺の角がわかるように)を伝えるべく「引き」ではなく「より」

この写真から、上記のような撮影者の意図が伝わりました。
麺からほのかに漂う小麦と、いりこダシのにおいがする写真です。

[日の丸構図その3/斜俯瞰で撮影]この写真のように、斜め上(斜俯瞰)から撮影するのも悪くはない。中央に寄って撮影された正方形の写真は、上下左右が大胆に切り取られ、想像力がかき立てられる。

※POINT

スマホ撮影、SNSでの公開ともに、上達のポイントは、一番見せたい“メイン”と、それを引き立てる“サブ”を頭の中で決定した上で、”メイン”を中心に撮影することです。
初心者のみなさんは、メインが画面の大部分を占めるように「アップ」で撮影しましょう。慣れてくると、広めに撮影する(引く)ことの魅力やメリットがわかると思います。

Instagramの60秒動画が便利

写真の魅力は「一瞬で伝わる」という点にあります。
一方で、動画には写真では伝わらない「音」、パンやチルトの効果から「広がり」や「時間の流れ」を表現できるのが魅力です。

Instagramで動画を公開する際は、写真と同じようにワンタップで「エフェクト」がかけられ、上限60秒まで公開可能です。

  • 店内の雰囲気
  • 作業風景
  • 楽しい雰囲気
  • 文章だけではなく、音と映像でメッセージを伝えたい

など、利用方法は多岐にわたります。

よい構図を学ぶ上で参考になるInstagramアカウント

  • Instagram公式
    さすが本家、写真ありイラストあり、デザインありで美しく楽しい。
  • Instagram Japan公式
    本家Instagramとは少し違い、モノクロを含め、彩度が低い優しいトーンのものが多い。
  • 北欧、暮らしの道具店
    アパレル、生活雑貨中心の写真。
  • 無印良品
    製品の特徴を静止画、動画でわかりやすく解説。
  • ANA
    ANAで旅行に行くと楽しいよ!という「旅のワクワク感」が伝わる写真で構成されているのが好印象。
  • 清水寺
    世界的に有名なお寺だけに、美しく厳かな写真が並ぶ。
  • 手紙社
    丁寧な暮らし、生活に取り入れたいプロダクトを、日常の写真として紹介。
    法人だが、商売っ気の無いところが好印象。

まとめ

数ある写真撮影の魅力のひとつは、「一瞬が永遠」になる点です。
おいしいご飯、美しい風景、家族のふとした表情など一枚の写真を見返すと、当時あったエピソードを語れたり、なんだかにやけたりします。

最終回の今回は、とても大切な構図についてでした。
最後に、カメラを構える位置を、一緒に考えてみましょう。

みなさん、身長はどのくらいですか?
大人の人は、立ち上がると目の位置が1.4m~1.8mから世の中を見るでしょう。
食事をする場合は、テーブルから30~50cmの距離で料理を見ます。

大人が子供の写真を撮るときに、見下ろして撮影するのではなく、子供の目線よりも低い位置から撮影すると思っている以上に大きくなった姿が写真に残せるでしょう。

かわいがっているペットも同じです。 カメラを床ぎりぎりのところで構えて撮影をすると、日頃この子はこんな風景を見ているんだと気がつきます。

料理を撮るときは、真俯瞰もよいですが、テーブルにカメラを置いて、画面からはみ出るくらい「どアップ!」で撮影してみてください。みなさんが作った料理が、三ツ星レストランの料理のように写るかもしれません。

日頃は当たり前に感じている風景が、カメラを構えた瞬間に、新しい発見やさまざまな感情をともなった写真として記録されます。特にSNSの場合は、肩肘張らずに「自由なアングル」で撮影することをおすすめします。

いつかみなさんがタイムラインを振り返ったときには、夏休みの絵日記のように「楽しい写真」「うれしい写真」「おいしい写真」で埋め尽くされていますように。

「ウェブサイト運営のためのスマートフォン撮影テクニック」ではスマートフォンでの撮影方法について4回にわったて解説しました。

  • 軽量ゆえの携帯しやすさ
  • 撮影後の加工やエフェクトが簡単
  • SNSやウェブサイトへの公開が可能

というメリットがありつつ、スマートフォンをカジュアルなカメラととらえるだけでなく、いかに見せたいか、どう感じてほしいかなどを、考えることが大切です。

過去2つの写真コラムでも解説しましたが、SNSやウェブサイトを通じ、見た人に「被写体の魅力」や「みなさんの人となり」が伝わるよう意識して撮影することが最も重要です。

みなさんにとってこのコラムを通じて、単なるお手軽なカメラでしかなかったスマートフォンが、良好なコミュニケーションのためのツールとなってくれることを心から願います。

全4回の「ウェブサイト運営のためのスマートフォン撮影テクニック」を、お読みいただき、ありがとうございました。

このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。

※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました

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