「本当のユーザー行動」を知ることでCVRが127%にアップ! スタッフサービスはいったい何をしたのか?

従来のサイト改善施策の行き詰まりを打開したのは、バブルチャートとヒートマップを使って視覚的に「本当のユーザー行動を知る」という取り組みだった。

スタッフサービス メディカル」は、競合が多い求人サイトのなかで「どうやったらユーザーに選んでいただけるのか」という悩みを抱えていたが、思い切ったサイト改善を行いスマートフォンサイトのコンバージョン率を127%に引き上げた。そのカギとなったのは「ユーザーの本当の行動を知る」という取り組みだった。

スタッフサービス・ホールディングス 神谷亮介氏(右)と、改善施策に携わったUNCOVER TRUTH 小畑陽一氏(左)
スタッフサービス・ホールディングス 神谷亮介氏(右)と、改善施策に携わったUNCOVER TRUTH 小畑陽一氏(左)

従来の改善施策では「次の一手」が見えずに行き詰まっていた

スタッフサービス・ホールディングス コミュニケーション企画グループ 神谷亮介氏
スタッフサービス・ホールディングス コミュニケーション企画グループ 神谷亮介氏

スタッフサービス・ホールディングスは、事業領域ごとに人材派遣のサイトを運営している。「人材を募集する企業」と「応募するスタッフ」をマッチングすることがサイトの目的だ。

人材派遣業界は季節変動が激しく、年度末の3月が最大の繁忙期だ。大手企業は複数の派遣会社に一斉に募集を載せるため、同じ条件の募集が多数の競合サイトに掲載されることも多い。そのなかで「どうやって自社を選んでいただくか」「どうやったらユーザーから見て一番になれるのか」が勝負となる。

同社の神谷亮介氏は、事業ごとに分かれる複数のサイト改善や集客、外向けのPRなど「ユーザーとのコミュニケーション」にかかわることを広く扱っている。

同社はこれまでも訪問データの分析とA/Bテストをくり返し、サイト改善を行ってきた。しかしスマートフォンの狭い画面では、行えるテストや表示できるコンテンツにも限界があり、「これ以上何をやればいいのか」という行き詰まりを感じていた。

今回、同社が運営する医療・介護系求人サイトの「スタッフサービス メディカル」のコンバージョン率を127%に引き上げたのは、思い切ったサイト改善だった。「職を探す」という最重要アクションの位置を下げて、「サイトの特徴」と「よくある質問」の位置を引き上げたのだ。その判断のもとになったのは「実際のユーザー行動を知る」という取り組みだ。

「これ以上何をすればいいのか」という行き詰まりを打開したのは「実際のユーザー行動を知る」こと

「本当のユーザーの行動を知りたい」という思いで試行錯誤した

同社はアクセス解析ツールで訪問データを分析していたが、神谷氏はそれだけでは不十分だと感じ、「本当のユーザーの行動を知りたい」という気持ちを強く持っていた。

「サイトにはAdobe Analyticsを入れていて、普段から訪問データを見ています。そのデータから見えることは当然改善していくのですが、「ユーザーが本当にどのように動いているのか?」ということは、データだけで見るには限界がありました。(神谷氏)

「こうではないか」と仮説を立てようにも、根拠がないと社内を説得して施策につなげることは難しい。そこで試したのは1対1のユーザーインタビューだった。しかし、期待どおりの成果にはつながらなかった。

1対1のインタビューは、「人」にすごく依存してしまうんですね。わざわざインタビューに来てくれる人はやっぱり思いが強い人が多くて、ヘビーユーザー寄りのデータになってしまうんです。(神谷氏)

実際にインタビュー結果をもとに何度かサイト改善を行ったが、あまり良い成果は出なかったという。特にメディカル(医療・介護)の領域では、中心のターゲットユーザーは主婦層だ。利用デバイスはスマートフォンで、ITに特別強いユーザーではない。スマートフォンの狭い画面で、一体何を見せればいいのか。

神谷氏は、本格的に「ユーザー行動を知る」ための取り組みを始めた。そこで使った手法は「コンテンツ貢献度のバブルチャート」と「ヒートマップ」の2つだ。

方法1バブルチャートでコンテンツ貢献度を明らかにする

まずは「どのコンテンツがコンバージョンに貢献しているのか」を洗い出すことからスタートした。それをまとめたのが次のバブルチャートだ。

コンテンツ貢献度を洗い出したバブルチャート。「登録会について」「よくある質問」は訪問者数こそ少ないが、コンバージョン率が高い
コンテンツ貢献度を洗い出したバブルチャート

横軸は訪問者(ユニークユーザー)がそのコンテンツを見た割合で、縦軸はそのコンテンツを見たセッションのコンバージョン率を表す。バブルの大きさはそのコンテンツに接触したユニークユーザー数を表している。

こうして見ると、訪問者の割合が高くバブルが大きいのは、図で最も右側に位置する「エリアから探す」だが、同コンテンツはコンバージョンへの貢献度という点(縦軸)では低い位置にいることがわかる。

サイト改善では「PV数が大きく影響力の強いコンテンツから手を付ける」のが王道だ。しかしこの場合は「よくあるご質問」や「メディカルの特徴」のコンテンツがコンバージョンに影響を強く与えていることに注目した。

コンテンツ貢献度という視点で見ると、訪問者数こそ少なくても「登録会体験レポート」や「よくある質問」のコンバージョンへの貢献度が特に高いことがわかりました。

それで「これらの情報を訴求したら、ユーザーはコンバージョンしてくれるのではないか?」という仮説を立てました。(神谷氏)

方法2ヒートマップツールでユーザーの実際の動きを調べる

バブルチャートでコンバージョン貢献度の高いページを見つけたら、次に、実際のページ上でのユーザー行動をヒートマップで深掘りした。スマートフォンのページは縦に長く作られているので、1ページに多くの要素が含まれている。従って、単純なPVだけでは「そのページ内にある、どのコンテンツが本当に読まれているのか」を特定することは難しい。そこで役立つのがヒートマップツールだ。

「コンバージョンしたユーザー」と「コンバージョンしなかったユーザー」に分けて、ページのスクロール、読んだコンテンツ、画面のタップなどのアクションを比較した。

トップページでCVユーザーと非CVユーザーの行動をヒートマップで比較した
トップページでCVユーザーと非CVユーザーの行動をヒートマップで比較した

スマートフォンの操作は持ち方などが人により異なるため、傾向を見るには大量のデータを重ね合わせる必要がある。これにより、コンバージョンしているユーザーは「未経験・資格なしOK」や、お客様の声の「仕事で悩んだときは」のようなコンテンツを閲覧する傾向があるのに対し、コンバージョンしていないユーザーは上記コンテンツを閲覧していない傾向があることが明らかになった。

このデータから、トップページのファーストビューに「未経験・資格なしOK」などユーザーの不安を解消するコンテンツを訴求する改善施策を導き出した。

もともとは「更新情報がすぐわかるように」とファーストビューに「新着求人」のコンテンツを配置していたが、同コンテンツはページ遷移のデータからコンバージョンへの貢献度が低いことがわかっていた。今回の「ユーザーの不安を解消するコンテンツをファーストビューに配置する」という改善を行うにあたり、「新着求人」を削除するという判断も迷いなく行えた。

ユーザー行動のビジュアルデータは社内を説得するのにも効果を発揮

神谷亮介氏

同社は、事業部ごとにペルソナを作ってサイト改善を行っている。これまで、メディカル業界のユーザーは「以前に何かしら医療業界にかかわっていて、結婚後にそのスキルをもう一度生かしたいと考えている人」というペルソナを描いていた。

しかし、ユーザーの行動分析を行っていくと、その仮説と実際のユーザーにギャップがあることがわかったという。

「過去にかかわっていた」という想定ですから、「メディカル業界の特徴や基本的なQ&Aについては、何となく把握しているのかな」と思っていました。でも、そうではなかった。実際の行動を追うと、ユーザーに「初めて働く不安」があることがわかったんです。(神谷氏)

2つの分析結果から、「初めて働く人の不安を解決するコンテンツを最上部に持ってきたらいいのではないか」と仮説を立てた。しかし、スマートフォンの画面で1つのコンテンツを入れるということは、そのぶんほかのコンテンツを下げることを意味する。今回のような求人サイトで「職を探す」という最重要アクション(CTA)の位置を下げるのは勇気がいる判断だ。

ユーザーは「初めて働く不安」を解消したいのではないか?

UNCOVER TRUTH COO 小畑陽一氏
UNCOVER TRUTH COO 小畑陽一氏

今回の分析と改善を行ったUNCOVER TRUTHの小畑氏は、次のように語る。

ヒートマップ分析に弊社の「USERDIVE」を使っていただいたので、私からも役員の方に分析結果を説明しました。やはり決裁権を持つ役員の方は何よりも数字を重視しますから「数字が下がるかもしれない」という提案は承認できません。しかし、バブルチャートとヒートマップはどちらも視覚的にわかりやすく、「ユーザー行動はこうです」と説明すると、すぐに納得していただけました。「ビジュアルでわかりやすい」というのは、社内で説明するときにも力を発揮します。(小畑氏)

神谷氏は、社内で施策をスムーズに進めるためにもう1つ仕掛けを用意していた。それは、「もし数字が下がったらすぐに元に戻す」という体制だ

WebサイトのA/Bテストは短くとも1~2週間はかけてデータを集めるのが一般的だ。しかし、人材業界最大の繁忙期である3月に、2週間かけて「良くなかった」という結果は大きなロスになる。そこで、最短3日で判断して手を当てるような、短くサイクルを回す方法を選択した。

みな、数字を上げることに真剣です。CVRは、何もしなければ自然と下がっていくものです。「やることによるリスクを恐れるよりも、やらないリスクをどうとりますか?」といえば、やろうとしていることの意味は理解してもらえると思います。(神谷氏)

次の一手を決めたのは「ユーザー行動」。その先の施策も見えてきた

今回の改善により、2017年3月のコンバージョン率(スマートフォンでの会員登録率)は改善前と比べて127%にアップした。コンバージョン率が高まったことで、広告の試算も新たに再計算できるようになり、全体の施策に良い影響が出たという。現在はメディカル以外の事業領域でも同様にユーザー行動をもとにしたサイト改善を行い、横展開している。

コンバージョン貢献度の高いコンテンツ(特徴・よくある質問)を上部に上げて、低いコンテンツ(新着求人)を削除した
コンバージョン貢献度の高いコンテンツ(特徴・よくある質問)を上部に上げて、低いコンテンツ(新着求人)を削除した

同社が抱えていた「これ以上何をやればいいのか」という悩みに対する答えは、「実際のユーザー行動に向き合う」ことだった。次の施策に迷っているのであれば、「本当のユーザー行動が見えているか?」という視点でデータを見直してみるといいだろう。神谷氏は、複数のサイトでユーザー行動をもとにした改善を行うことで「成功パターンが見えてきた」と語る。

ユーザー行動を注視すると、ユーザーが本当に見たいもの、期待しているものが見えてくる。同氏は、求められているコンテンツの傾向から「次は動画がカギになる」とし、新たな施策に取り組んでいる。

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