ビジネスメールは送った理由を先に述べる! 趣旨が伝わるメールの書き方
この記事は、書籍 『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
今回の記事は、第3章 「ビジュアルを工夫して読ませる」 より抜粋
「なぜ、このメールを送ったのか」を先に書く
次は「要旨」と「詳細」について。
この2項目は、メールごとに内容を変えなければいけませんが、難しく考える必要はありません。
まず「要旨」ですが、ここには「なぜ、このメールを送ったのか」という説明が入ります。いわば、メールを送った「目的」です。
ここで、前章の内容を思い出してください。
前章では、メールを送るときには「目的」を意識することが大事だと書きました。
目的とは、そのメールの本題であり、一番伝えたいことです。
ですから、「要旨」には、目的を明記します。
具体的には、こんな感じでしょうか。
「〇〇の件でご相談があり、メールをお送りいたしました」
「××の進め方について、お尋ねしたいことがございます」
そもそも目的を先に伝えるのは、なぜでしょうか。
それは「今から〇〇について話します」と宣言して、相手とメールの主題を共有し、内容を把握してから読んでもらえば、理解が速くなるからです。
理解が速くなる分、返事も速くもらえます。
ビジネスメールの場合、大切なのは、お互いに効率よく仕事を進めていくことでしょう。
だとすれば、忙しい相手にメールを読み進めてもらうには、目的をいかに的確に伝えられるかが肝になります。
ですから、「名乗り」が終わったら、余計なことを書かず、速やかに「要旨」を書きます。
最初に目的が書かれていれば、読み手はメールの主旨を瞬時に理解できるので、ストレスなく読むことができます。
「〇〇の件でご報告があります」
「××について教えてください」
「△△の打ち合わせの件ですが、日程の変更をさせてください」
など、相手がどんなアクションをとるべきかわかるように、最初に要旨を明記します。仕事が速い人なら、「日程」「変更」の文字を見た瞬間に、スケジュール帳を開いているでしょう。
「詳細」には質問がこないレベルまで情報を網羅すべきですが、伝える必要のない情報まで書けば、かえって目的から離れてしまうため、何が言いたいのかわからないメールになってしまいます。その意味では、盛り込むべき情報をどう絞り込むかがポイントになります。
人によっては、この「要旨」と「詳細」の順番が入れ替わっていることがしばしばあります。その場合、読み手は最後まで読まなければ、どういう用件でメールが送られてきたのかわかりません。
求められていることがわからないまま読ませるのは、負担を強いることです。
最後まで読んでも、「結局、何をしてほしいの?」と思わせるようなことは、避けなければなりません。
メールの場合、優先すべきは、メールを送った目的を相手にすぐに理解してもらうこと。なぜなら、相手を動かしたければ、目的を共有しなければいけないからです。
その意味で、まずは「目的ありき」なのです。
文章をできるだけコンパクトにする
メールの構成要素を正しく書き、各要素を読みやすく配置する。
その際、ブロック分けを意識して、効果的に箇条書きを使う。
このように「見た目」に気をつければ、それだけですぐに読んでもらえるメールをつくることができます。
とはいえ、文章力がまったく関係ないかというと……実はそういうわけでもないのです。
伝わらないメールを書いてしまう人には、共通する〝ある特徴〟があり、それがもとで正しく理解されなかったり、誤解を与えたりすることがあります。
その特徴とは、「一文が長い」ということ。
「~ですが、~なので、~です」と、文章が途切れることなくダラダラと続いていくのです。
例を挙げるなら、こんな感じでしょうか。
「先日お話しさせていただきました新規案件の件なのですが、お打ち合わせの際に6月に始動したいとお伝えしましたが、その後のクライアントとの調整で5月の連休明けには始動したいということになりまして、スケジュールを再調整させていただきたいので、来週あたりにでも一度お打ち合わせをお願いします」
読み手のことを考えれば、このような文章が好ましくないのは言うまでもありません。ただ、わかっていても、意外と多くの人がやってしまうのです。
一見、ビジュアルとは関係なさそうな話ですが、一文が長いことも見た目に影響を与えます。ですから、視覚的な問題としても、一文を短くすることを心がけなければいけません。
そもそも、なぜ一文を短くしなければならないのでしょうか。
人間は、長い文章を読んでいると、前に書かれていた前提や条件を忘れてしまうため、主題がわからなくなります。そうなると、全体の意味を間違って理解してしまいます。
一方、一文が短いと、主題がわかりやすくなるので誤読が起きません。結果として、書き手と読み手との間で認識のズレが生じにくいのです。
仕事が速い人のメールは、一文が短く、一読して理解しやすいことがわかります。
ときには、それが素っ気ない印象を与えるかもしれませんが、まず優先するのは、速やかに誤解なく伝えること。
では、文章を短くするには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
基本的には、ひとつの文にはひとつの内容だけを盛り込むこと。
そのためには、「接続助詞」を使って文章を長くつなげないこと。
曲者なのが、文をつなぐ「が」です。
メールの添削をしていると、何度も「が」を使って、安易に文をつないでいる人がいます。おそらく読点(、)のような感覚で使用しているのでしょう。
「が」は、前後の文章で反対の内容を伝えるときに使うため、単純に文をつなぐときに用いると、文意がつかみにくくなるのです。
「先週、新商品に関する説明会を開きましたが、そこで寄せられた質問をリストアップしたのでご報告したいのですが、前回の説明会で出たのと同じ質問がいくつかありました」
言いたいことはわかりますが、何となくしっくりきません。
この文なら、
「先週、新商品に関する説明会を開きました。そこで寄せられた質問をリストアップしたのでご報告いたします。前回の説明会で出たのと同じ質問がいくつかあります」
としたほうがわかりやすくなります。
先ほどの例文も見直してみましょう。この例文を読みやすく修正すると、次のようになります。
「ですが」「なので」をカットしたので文章は4つになり、全体の文字数は14文字ほど短くなっています(句読点含む)。
これで一気にわかりやすくなりました。
見た目も、修正後はそれほど負担を感じません。さらに、最後の一文を見れば、「来週の打ち合わせは可能か」と「都合のよい時間帯はいつか」を答えればいいのだとすぐにわかります。
例文のような連絡(スケジュールの前倒し)は、たいていの人にとっては少し手間がかかる内容です。ただでさえ愉快ではない内容を、「なので」「ですが」でつないでダラダラ書かれると、読むのにも疲れて二重に負担をかけるのではないでしょうか。
しかし、修正後のように端的な書き方であれば、相手がイラッとすることは回避でき、返信も速やかにもらえるようになるでしょう。
なお、文章を短くするには「接続詞」を極力使わないこともひとつの方法です。
接続詞は文章に不可欠なものだと思われがちですが、なくても意味が通じるものもあります。不要だと思われる接続詞は、思いきって消してしまいましょう。
「さて」「そして」などは、文脈によっては、取り除いても不都合はありません。
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