ビジネスメールは「見やすさ」重視!改行と空白で思いやりのあるメールに
この記事は、書籍 『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
今回の記事は、第3章 「ビジュアルを工夫して読ませる」 より抜粋
選ばれるのは読めるメール&読みたいメール
「メールで一番大切なのは、ビジュアルです」
研修やセミナーでそう言うと、ほとんどの方が「エッ⁉」という表情をされます。
実際、質疑応答で寄せられるのは、
「どうしたら文章力をつけることができますか?」
という問いが多いのです。みなさん、自分の文章力がイマイチだからうまくいかないのだと考えているのでしょう。
しかし、上手な文章なら読んでもらえるかと言えば、必ずしもそうではありません。
なぜなら、人が「読みたい」と感じるかどうかは、1行の文字数やスペースといった「視覚的な要素」に大きく影響されるからです。
私は本を読むのが好きで、1日1冊の読書を日課にしています。だから、活字を読むこと自体はそれほど苦になりません。
ところが、読むことに慣れている私でも、パッと見て文字だらけの本(改行が少なく行間が詰まっている)には抵抗を感じます。そして、実際に読んでみても、時間がかかります。それと同じことがメールにも起こるのです。
では、「読みづらいメール」とは、どのようなものかというと、
- 1行の文字数が多い(30文字以上)
- 空白の行がない
- 改行がない
- 文章が5行以上続く
- 箇条書きにすべき事柄が文章で書かれている
という特徴があります。
百聞は一見にしかず。次のメール文をご覧ください。このようなメールは、開いた瞬間、文字がギュッと詰まっていて、直感的に「読みにくい」と感じます。
「読みにくい」ということは、メールを開いたときの画面に反発を感じる(読む気が失せる)ということ。こうなると、よほど特別なメールでなければ、後まわしにされてしまいます。
「そうはいっても、仕事上のやりとりなら、多少読みづらくても最後まで読んでもらえるのでは?」
そう思われるかもしれません。
確かに、どうしても読まなければならないメールなら、受け手は我慢して目を通すでしょう。ただ、この時点で、受け手の送り手に対する印象は最悪になります。
いや、それだけならまだいいでしょう。
メールの読みにくさは、理解度にも影響を及ぼすのです。
読みにくいメールは、読み間違いを誘発します。その結果、正しく伝わらなかったり、こちらが望む処理をしてもらえなかったりします。そうなると、もう一度働きかけをしなければならないので、二度手間になってしまう……。
これでは仕事は進みません。
読みにくいメールを送っていると、相手の中で優先順位を下げられてしまいます。
優先順位が下がれば、結果的に仕事が滞ってしまう。
仕事が速い人はこの点を危惧しているので、メールの見た目(レイアウト)に人一倍気を遣うのです。とくに初対面の人にメールを書くときには、そのメールがあなたの印象を決めることになるので要注意です。
メールに限ったことではありませんが、文章を「読める」「読みたい」と感じるかどうかは、過去にそれと同種の文章が読めたかどうかによります。
例えば、書店で本を探していて、ある作家の作品が目にとまったとしましょう。
そのとき、「この人の文章、前に読んだけど……すごく癖があって読みづらかったなあ」という記憶が残っていれば、手に取らないのではないでしょうか。
ビジネスメールの場合も同様です。
メールの処理は業務の一部ですから、抵抗がある文章でも読まなくてはなりません。しかし、「差出人」の名前から「この人のメールは読みにくかった」「よく意味がわからなかった」という記憶がよみがえると、途端に読む気が薄れてしまう……。
それが、返信の遅れを招くことになるのです。メールの「見た目」もまた、仕事のスピードにダイレクトに影響を与えると言えるでしょう。
どれだけいい文章が書けるようになっても、相手に読んでもらえなければどうしようもありません。また、読んでもらえなければ、「返信」ももらえません。
だからこそ、ビジュアルを工夫することが大切なのです。
では、メールの「ビジュアル」をどう変えればいいのか。
具体的に説明していきましょう。
ブロック化・1行空きで本文を美しく整える
メールは「レイアウトを整える」ことで読みやすくなります。
レイアウトとは、メールの構成要素の配置です。各要素に関する詳細は後述しますが、まずは何をどう配置すれば読みやすくなるのか、ご説明しましょう。
次の図は「読みやすいメール」の例です。パッと見た印象として、文字と空き(スペース)がバランスよく配置されていることがわかります。
この空きは、改行、1行空き、箇条書きによってつくり出されています。
文章を読みやすくするコツは、20~30文字程度で改行すること。そして、文章のまとまりごとに「ブロック(文章の塊)」をつくることです。
この場合のブロックは、段落のようなものだと考えてください。
ブロックは5行以内でまとめられると理想的。もし5行に収まらなければ、できるだけ短くしてみてください。
ブロックとブロックの間には、1行分の空きを入れましょう。
ここで注意したいのは、一文ごとに空きを入れないこと。
よく、ブログなどで一文ごとに空きが入っているケースがありますが、メールとブログは違います。一文ごとに空いていると、文単体では読みやすい反面、文と文の関連がつかみにくく、間延びした印象を与えます。
そもそも、1行空きを入れてブロックをつくるのは、なぜでしょうか。
もちろん、読みやすくすることが最大の理由ですが、もうひとつの理由は、ブロックをつくると本題がつかみやすくなり、読み飛ばしてもいい箇所の判断がつきやすくなるからです。要するに、重要な箇所が視覚的にわかるようになるのです。
また、メールは、じっくり丁寧に読むというより速読することが多いのではないでしょうか。
速読ではキーワードを拾いながら斜め読みをします。このとき、ブロックが分かれていれば、書き手の意図、つまりしっかり読んでほしい箇所と、斜め読みで構わない箇所を伝えることができます。これなら、読む側も拾い読みが楽になるでしょう。
ブロックの分割は、送り手と受け手、両方にとって便利なのです。
なお、情報をブロックごとにまとめるときには、コツがあります。
それは「関連する情報を近くに置く」ということ。
例えばセミナー参加者への通知であれば、日時、会場の住所などと合わせて電話番号を載せるでしょう。
このとき、当日の緊急連絡先(連絡方法)も近くに記しておきます。
そうすれば、当日遅刻しそうになった参加者がこのメールを見返しても、すぐに連絡先を探すことができるのではないでしょうか。
これが、最後のブロックに、「なお、緊急の際のご連絡は……」などと書いてあると、焦っている状況では、見逃したり、見つけづらかったりしてイライラするものです。
相手からの素早いレスポンスを引き出すメールとそうでないメールの差は、こうした細かい部分にこそ現れるのです。
「ビジュアル」という観点では、「漢字」の使い方にも注意が必要です。
手書きならひらがなで書くような表現を、ビジネスメールになると、
「有難う御座います」
「宜しくお願い致します」
「御対応頂けますでしょうか」
と漢字を多用する人がいますが、あまり効果的だとは言えません。
漢字が多用されていると読みづらくなり、見た瞬間にブロック全体が〝黒っぽく〟なります。人によっては、それだけで読む気が失せてしまうでしょう。
過剰に漢字を使う必要はありません。ひらがなと漢字をバランスよく使い、見た目の読みやすさを意識してください。
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