記事の筆者ごとの成績は? GAでコンテンツを自由にグルーピングして利用行動を分析する[第43回]
今回は「コンテンツ グループ」を利用して、各コンテンツに複数のタグを自由に付けるような感覚で分析する方法と、その機能を利用するための準備について説明する。
これまで「コンテンツの見られ方」を理解するためのレポート群とその活用法を紹介してきた。しかし、それらは「ディレクトリ」「ページ」「ページタイトル」などのすでに割り振られた情報だけをもとにして集計されたレポートだった。たとえばWeb担当者Forumの記事のURLは下記のようなパターンになっている。
トップディレクトリは「記事なのかニュースなのか」といった記事分類に割り当てられ、さらに記事を掲載した年月日を示すディレクトリがその下に続く。標準では上記のようなURLに依存した物理的なグルーピングしかできないが、コンテンツグループを利用すれば、たとえば「著者Aと著者Bを比較する」のように自由度の高い論理的なグルーピングが可能になる。
コンテンツグループは最大5つまで設定できる。つまり、新しい分析軸(ディメンション)を5つまで利用できるということだ。コンテンツグループを使うと分析視点でどのように役立つのか、分類設定はどう行うのかを解説していこう。
- タグを付けるように、自由な分析軸を追加する
- コンテンツグループの設定方法を知る
コンテンツグループは主要な行動系レポートで使える
まずはコンテンツ分析をするときに利用する主なレポートをおさらいしておこう。第40回~第42回では、[行動]>[サイト コンテンツ]セクションの中の[すべてのページ][ディレクトリ][ランディング ページ]レポート(図1赤枠部分)を紹介してきた。
[すべてのページ]レポート(図1青枠部分)では、「ページ」と「ページタイトル」の2つのディメンション(分析軸)があり(図1緑枠部分)、それぞれURLとタイトルタグの文字列が値として利用されている。そして[ディレクトリ]レポート(図1黒枠部分)が、ディレクトリ構造単位で利用できるレポートだ。「コンテンツ グループ」を使うと、この分析軸を新しく追加できる。
プルダウンからグループを選択する
コンテンツグループの機能を利用すると、レポートにどのような変化が表れるのだろうか? グループの設定方法は記事の後半で解説するとして、まずはコンテンツグループを使ったレポートやデータの見方を解説していく。
コンテンツグループを設定すると、[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに「コンテンツ グループ」のプルダウンメニューが表示され(図2赤枠部分)、ここから「コンテンツ グループ」機能で作成した新ディメンションを選択できるようになる。
プルダウン部分をクリックすると、設定されているコンテンツグループの名前が表示されるので、そこから見たい分析軸を選択することになる。図2の例では、「記事名」「執筆者」(図2青枠部分)というのがコンテンツグループの名前に対応する部分だ。正確に言うと、ディメンションの名前はそれぞれ「記事名(コンテンツ グループ)」「執筆者(コンテンツ グループ)」(図2緑枠部分)のようになる。
そしてプルダウン表示から「執筆者(コンテンツ グループ)」を選択したときのレポート画面が図3だ。
図3ではディメンション名が「執筆者(コンテンツ グループ)」(図3赤枠部分)となっていることがわかる。この例では、ディメンションのそれぞれの値が「著者A」「著者B」「著者C」(図3青枠部分)となるわけだ。
この例では、「著者Aの書いたページ群」をまとめて「著者A」と表示していると考えてほしい。つまり著者別ページという分類(グルーピング)になる。なお設定上でどの分類にも所属しないページ群はまとめて「(not set)」と表示される(図3緑枠部分)。
表示される指標群(図3黒枠部分)は、基本的に通常の[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートの通常の指標群(図4赤枠部分)と同じだと考えてよい。唯一違いがあるのは、通常「ページ別訪問数」と表示されている指標が、「ユニーク表示数n(コンテンツグループ名)」に変わっている(図4茶枠部分)。
「ページ別訪問数の定義」は第16回の記事で解説しているが、1つのセッション(訪問)内で同じページを2回閲覧しても1としかカウントしないという特徴がある。
「コンテンツ グループ」を選択した場合は、「ページ別訪問数」と同様の考え方をベースにして、「ページ」の代わりにコンテンツグループという「ページ群」に拡張したと考えていただきたい。つまり1つのセッション(訪問)内で同じコンテンツグループに属するページ(群)を2回閲覧しても1としかカウントしない指標と読み替えればよい。
「ナビゲーション サマリー」タブでもグループ間の移動を見られる
コンテンツグループは、[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポート(図5赤枠部分)の「ナビゲーション サマリー」タブ(図5青枠部分)でも選択できる。
通常は、上部のプルダウン(図6赤枠部分)からページを選択することで、そのページの前後の閲覧行動を見ることができるレポートだ。
コンテンツグループを利用していると、図7のように左側にある「ページをグループ化」のプルダウン(図7赤枠部分)をクリックして、コンテンツグループを選択できるようになる。
図8は「執筆者」コンテンツグループを選択し(図8赤枠部分)、基点となるコンテンツグループに「著者A」を選択した場合だ(図8青枠部分)。「著者A」コンテンツグループを基点として、その前後に「著者B」や「著者C」のコンテンツグループを閲覧したのかという視点で分析できる。
他にも[行動]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポート(図9赤枠部分)などでも、このコンテンツグループの分類を利用することができる(図9青枠部分)。
分析の仕方はディレクトリやページの場合と同じ。グルーピングがキモ
「どのようにレポートが表示されるか」は理解していただけただろう。では、「実際どう分析したらよいか」ということだが、これはこれまでに紹介したコンテンツ系の分析と基本的には同じ型(大ざっぱから詳細へドリルダウン/量・質・成果の視点で見る)を適用していただきたい。
むしろ重要なのは、「どういう論理的なグルーピングを行うのか」ということだ。
さまざまな目的やタイプのWebサイトがあるので、「こうすればよい」という正解があるわけではない。自分のビジネスモデルや分析に意味のあるページの分類軸は、各サイトの事情に応じて変わってくるからだ。
たとえば巨大なeコマースサイトで、取扱商品の大分類、小分類などをディレクトリの階層で決めておくのが困難な場合は、フラットなURL構造になっているか、あるいはURLの中のパラメータなどで表現しているだろう。こうしたURL構造の場合、URLやタイトルによる分類では自由度の高い分析は困難なので、コンテンツグループを利用して分析しやすい分類を設定することが必須になる。
逆にディレクトリを細かく分けすぎているURL構造のサイトでは、コンテンツグループを利用して大ざっぱにグルーピングし直した分類にするといったケースも考えられる。
グループの分類は「管理」画面から設定する
コンテンツグループの分類の指定を実際どのように行うのかを簡単に紹介しよう。グルーピングには大きく3つの方法があるのだが、あまり難しくならないようにここでは全体の概要と1つの具体例を紹介する。
まずは左下にある歯車のアイコン(図10赤枠部分)をクリックして、「管理」画面に移動しよう。次にビューの設定項目の中にある「コンテンツ グループ」(図10青枠部分)をクリックする。
表示された画面で「+新しいコンテンツ グループ」(図11赤枠部分)をクリックすると、「コンテンツ グループ」の設定画面(図12)が表示される。
設定の流れは、コンテンツグループにわかりやすい名前を付けて(図12赤枠部分)、グルーピングの設定を行い(図12青枠部分)、その適用順を指定する(図12緑枠部分)という順番になる。グルーピングの設定方法は、以下の3つがある。
- トラッキングコードで指定する方法
- 正規表現でURLかページタイトルの一部を抽出する方法
- URLかページタイトルの条件でグルーピングを指定する方法
本記事では、初心者でも取っつきやすい「URLかページタイトル」の条件でグルーピングする方法を紹介する。
1つのコンテンツグループの値は多くても10分類程度がおすすめ
前半で紹介した「執筆者」というコンテンツグループの設定を例にとってみよう。
まずコンテンツグループの名前(図12赤枠部分)に「執筆者」と入力し、次に「ルールセットを作成」(図12黒枠部分)をクリックする。表示された画面でこのコンテンツグループの1つ目の値の「著者A」と入力し(図13赤枠部分)、該当するページ群を指定するるルールをその下で設定する。
図13の例では「ページ」「含む」「writer_a」(図13青枠部分)と設定して「完了」(図13緑枠部分)をクリックする。著者を判別できる文字列がURLの中に存在しており、「著者A」には「writer_a」が、「著者B」には「writer_b」で判別できるという想定だ。たとえばファイル名にこうした目印を付けるルールにしておけば、ディレクトリにかかわらず「著者Aの記事」でグルーピングできる。
この作業を「著者B」「著者C」などと必要な分類の数だけ指定していくことになる。これは設定の1つのパターンだが、この方法で多数の分類を作成するのは結構な手間がかかるのがわかるだろう。設定だけでなく、分類が細かくなればなるほど分析も面倒になる。
分析の目的や必要とする粒度、サイトの規模にもよるので一概には決められないが、1つのコンテンツグループの値はせいぜい10前後の分類でよいのではないだろうか。
もっと細かいグルーピングをしたい場合は、複数のコンテンツグループを作成して必要に応じてそのかけ合わせで分析をする方法もある。たとえば「カスタム レポート」という機能を使えば、図14のように2つのコンテンツグループのかけ合わせでレポートを見る(図14赤枠部分)こともできる。
「カスタム レポート」は、任意のディメンションと指標を組み合わせてレポートを作成できる機能だ。作成方法などの詳細は、連載の別の記事で解説する予定だ。
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
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