そのページビュー数「水増し」されてない? ちょっとクセのある「ページ別訪問数」を扱うコツ[第16回]
今回は「ページ別訪問数」について説明する。各ページの閲覧状況を測るわかりやすい指標としては、ほかに「ページビュー数」があるが、どのような違いがあるのだろうか?
ページ別訪問数は、「訪問」という名前だが実際は「重複を除いたページビュー数」を表すものだ。そう頻繁に活用するわけではないが、ちょっとクセのある面白い指標でもある。ここでは、ページ別訪問数が何をどうカウントした数字なのか、どんなときに役立てればいいのかを解説しよう。
- 「ページ別訪問数」の意味を理解する
- ページ別訪問数の活用例がわかる
ページ別訪問数は「そのページに1度でも閲覧があった訪問回数」
「ページ別訪問数」とは、1回のセッション(訪問)で、同じページが何度閲覧(ページビュー)されたとしても、そのページ閲覧を「1」としか数えない集計をする指標だ。言い換えると、そのページに1度でも閲覧(ページビュー)があった訪問回数(セッション数)をページ別に集計した指標ということになる。
わかりやすく例を挙げよう。次のような順番で、4ページビューの訪問があったとする。
このセッションでは、/page02.htmlは「2」ページビューだが、ページ別訪問数は同一セッション内での重複は無視するので、/page02.htmlは「1」ページ別訪問とカウントされる。
URLとページタイトルの組み合わせごとにカウントされる
ちょっと複雑な話になるので飛ばしても構わないが、正確には「URLとページタイトルの組み合わせで個別のページを判別している」ことに注意してほしい。Eコマースサイト以外ではあまり見かけないかもしれないが、同じURLで異なる内容のページを表示するような動的ページなどで注意が必要になる。
こちらも具体例で示そう。次のようにカートから注文完了まで4ページビューで1セッションの例(カートにためておいた商品を最短ステップで買った例)があったとする。そして最初の3ページのページURLは「/cart.php」で同じだが、ページタイトルはすべて異なるものとする。
この場合、「/cart.php」は「3」ページ別訪問数になる。ページURLは「/cart.php」で3つとも同じだが、ページタイトルはすべて異なるので、この場合はそれぞれが別の「ページ」と判別され、組み合わせごとに「1」とカウントされる。
しかし[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートで表示されるときは「/cart.php」のページ名としてまとめられるので、3つあった「1」が単純に合計されて「3」ページ別訪問数になるという仕組みだ。
「ページ別訪問数」は「行動」系のレポートで確認できる
では、この「ページ別訪問数」はどのレポートで見ることができるのだろうか? 「ページ別訪問数」は、行動系のレポートで確認できる。たとえば[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポート(図1赤枠部分)や[行動]>[サマリー]レポート(図2赤枠部分)などだ。
「ページ別訪問数」には、各ページのページ別訪問数と(図1青枠部分)、サイト全体のページ別訪問数がある(図1緑枠部分、図2青枠部分)。
各ページのページ別訪問数は、先ほど解説したページ別訪問数のカウント方法により、集計対象期間のすべてのセッションを対象に、各ページの「ページ別訪問数」をカウントし、それをページごとに単純合計したものだ(図1青枠部分)。
一方、サイト全体のページ別訪問数は(図1緑枠部分、図2青枠部分)、上記で算出した各ページの「ページ別訪問数」をサイト全体で単純合計した値になる。画像では3つしか見えていないが、実際はこの3つだけでなく閲覧のあったすべてのページのページ別訪問数が下に続いている(図1青枠部分)。
「重複を除いたページビュー数」という意味合いが正しい英語表記
細かいことだが、マウスオーバーすると表示されるヘルプ(図3赤枠部分)では、英語表記の「Unique Pageviews」をカタカナにした「ユニークページビュー」という言葉が使われている(図3青枠部分)。混乱するが、ここは「ページ別訪問数」と置き換えて読めばよい。
筆者は、個人的には英語表記の「Unique Pageviews」の方が好きだ(図4赤枠部分)。「ページビュー数みたいなものだが、重複を除く(これが『Unique』の意味合いに該当する)」といったニュアンスが含まれるからだ。
Googleアナリティクスの日本語表記は元の英語表記とかけ離れた「ページ別訪問数」となっている。本来はページビュー数に近い概念なのに、日本語表記上はどちらかといえば訪問数に近い言葉に聞こえることもわかりづらい一因だろう。
「ページ別訪問数」をどのように活用するのか?
では、この「ページ別訪問数」の指標は、どういった目的で使えばよいのだろうか。この指標の意味合いをもう少し考えてみよう。
さまざまなページを見にいくためのハブになるトップページやカテゴリーのトップのページなどは、1セッション内で何度もそのページを経由して行き来することになるだろう。そういうページのページビュー数は多くなりがちだ。
ページ別訪問数は、そうした無駄なページビューがカウントされていないページ閲覧の指標だと思えばよい。余計な水増しを省いた正味のページビュー数とでもいおうか。各ページの「ページ別訪問数」は、そうした見方をする指標にするという考え方がある。
「1セッションで何種類のページが見られているか」という見方ができる
また、一連の閲覧行動である「セッション」の視点から見ると、ページ別訪問数は、「どれだけの種類のページを1セッション平均で見ているか」を表す数字だともいえる。サイト全体を見るときは、次のように利用してみてはいかがだろう。
自分で計算する必要があるが、おすすめなのは「サイト全体のページ別訪問数÷サイト全体のセッション数」を算出する方法だ。
似た数字に「ページ/セッション」という指標が標準で用意されている(図5青枠部分)が、これは「1セッションあたりの平均ページビュー数」のことだ。[ユーザー]>[サマリー]レポート(図5赤枠部分)の例では、単純に「5,807ページビュー÷3,344セッション」を計算して「1.74」(図5青枠部分)となっている。
たとえば、次のような一連の訪問があったとする。
この場合、1セッションで6ページビューとカウントされるが、メディアサイトなどの場合、読まれている記事は実質ページA、ページB、ページCの3ページだ。「1セッションで6ページビュー」という数字だけを見ていると、「何記事読まれているか」を知りたいときに、認識のずれが発生してしまうことがある。
一方、ここで計算する「サイト全体のページ別訪問数÷サイト全体のセッション数」は、同じページの繰り返し閲覧がカウントされないので、「ページ/セッション」よりも少な目の数字になる。図4の数字を使って計算すると、「4,624ページ別訪問数(図2青枠部分)÷3,344セッション(図5緑枠部分)」で「1.38」となる。「1セッションで平均何種類のページが見られているのか」を測る指標としては、こちらの方が有効だろう。
冒頭でも述べたが、「ページ別訪問数」は、そう頻繁に有効活用する指標ではないが、ほかの数字とかけ合わせると少し変わった見方ができる面白い指標だ。皆さんは、どんな使い方が想像できるだろうか?
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