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1兆円に到達した日本のネット広告費、予約型から運用型へ・PCからスマホに転換する広告市場

「2016年インターネット広告市場規模推計調査」から、広告フォーマット別市場規模などを解説

この記事は、D2Cスマイルで公開された記事を、許諾を得てWeb担当者Forum向けに特別公開したものです。

先日、2016年1~12月のインターネット広告市場における「デバイス別の広告費」「ビデオ(動画)広告費」「広告種別の広告費」と、2017年予測について、リリースさせて頂きました。

2016年インターネット広告市場規模推計調査~D2C/CCIが独自推計~

詳しくはこちらのリリース内容を見て頂きたいと思いますが、この記事では、リリースには記載されていない広告フォーマット別市場規模等についての詳細や、今回の推計の内訳、押さえておくべき下記3つの転換についてお話しします(調査概要を見る)。

  1. 広告手法の転換
  2. 広告掲載先デバイスの転換
  3. 表現手法の転換

1. 広告手法の転換

日本のインターネット広告媒体費は、前年比113%で今年1兆円に到達し、2017年も2桁成長を維持して前年比112%と見込まれます。

広告タイプ別で2016年の内訳を見てみると、運用型71%(前年比119%)、予約型15%(前年比96%)、成果報酬型14%(前年比107%)となりました。

図1 広告タイプ別の構成比と成長率

eMarketerが発表している米国インターネット広告市場に関するデータから運用型広告比率を算出してみると、既に8割を超えていますが、依然として高い成長率を維持しています。米国インターネット広告市場における運用型広告比率の伸びに照らして考えてみると、日本でも運用型広告比率はさらに高まっていくと想定され、2017年は運用型は74%程度になると見込んでいます。

図2 運用型広告比率の推移、米国との比較

2. 広告掲載先デバイスの転換

次に、広告掲載先デバイスについて、スマートフォン広告費/PC広告費のシェア率を見ていきましょう。

2016年のスマートフォン広告市場は6,476億円でシェア6割に達し、ついに新聞広告市場(5,431億円)を上回りました。その一方で、PC広告市場は2014年以降減少を続け、2017年にはシェア3割まで縮小する見込みとなりました。

図3 デバイス別広告費推移と予測

モバイル広告比率の推移についても米国市場と比較してみると、もともとはフィーチャーフォン広告を土台として日本が先行していましたが、現在はスマートフォンの普及によりほぼ同等の比率となっています。米国市場におけるモバイル広告比率が今後も成長を続ける予測となっているように、日本市場においても同様に高まっていくと想定されます。

図4 モバイル広告比率の推移、米国との比較

ここからは、スマートフォン広告とPC広告について、タイプ別構成比と成長率を見てみましょう。

まず、スマートフォン広告タイプ別構成比と成長率を見てみると、2016年は全領域増加しており、最も伸びたソーシャル広告は前年比163%の成長となりました。

タイプ別では検索連動型広告がまだ最大シェアを維持していますが、他のシェアが伸びていることにより成長は鈍化気味。市場としては減少傾向にある予約型広告も前年比149%と、スマートフォン広告ではまだ高い成長傾向にある点が見て取れます。

図5 スマートフォン広告タイプ別構成比、成長率

一方、PC広告は大きなシェアを占めていた検索連動型広告と予約型広告の縮小傾向により、2014年以降全体を落としています。2016年は予約型広告が大幅に落ち込み前年比69%、検索連動型広告も前年比88%となり、その他で現状維持~少し拡大の傾向があったもののリカバーするまでに至っていません。

図6 PC広告タイプ別構成比、成長率

3. 表現手法の転換

今回初めての試みとして、JIAAが定義する広告フォーマット別に市場規模を推計しています。

ビデオ(動画)広告以外は前年数字を把握できていないため成長率は分かりませんが、シェアは下記のとおりリスティング広告が最もシェアが高く36%、次にディスプレイ広告23%、続いてネイティブ広告17%と推計されました。

図7-1 広告フォーマット別市場規模推計
図7-2 インターネット広告フォーマットの分類

ビデオ(動画)広告の市場規模は2016年は869億円、2017年は1,224億円と推計され、2017年にはインターネット広告市場の約10%程度までビデオ(動画)広告比率が拡大するということになります。

ビデオ広告をデバイス別でみるとスマートフォン広告の比率が高く、2016年で74%、2017年は8割を超えてくるのではないでしょうか。

図8 ビデオ(動画)広告の市場規模推移と予測

インターネット広告市場のこれから

2012年よりスマートフォン広告市場について、2015年からはPC広告市場含め、日本のインターネット広告市場全体について調査、分析してきました。

そして2016年、広告タイプ別では運用型広告がシェア71%、デバイス別ではスマートフォンシェアが62%にまで拡大し、日本のインターネット広告市場=運用型スマートフォン広告がメイン、というのが現状です。その一方で、インターネット広告市場の歴史や世界の動向に目を向けると、デバイスやアドテクノロジーなど様々なトレンドを取り入れ変化しながら、今後も成長し続けるであろうと考えています。

今回は、JIAAが定義する広告フォーマット別で市場規模推計を算出してみましたが、引き続き、様々な視点から日本のインターネット広告市場について調査、分析していきたいと思います。

調査にご協力いただきました媒体社の皆様、ありがとうございました。

調査概要

  • 調査主体:株式会社D2C、株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)
  • 対象期間:2016年1月~2016年12月
  • 調査実施期間:2016年12月~2017年2月
  • 調査方法:インターネット媒体社へのヒアリングおよび各種データ収集・分析を実施

※インターネット広告媒体費の合計値、および運用型広告費の合計値については電通「2016年 日本の広告費」を参照しています。詳細内訳としての、デバイス別広告市場規模、広告タイプ別・デバイス別市場規模、広告フォーマット別市場規模推計、ビデオ(動画)広告の市場規模、予測は株式会社D2C、株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)が独自に実施した調査、推計によるものであり、電通「2016年 日本の広告費」とは関係がありません。

オリジナル記事:日本のインターネット広告費~2016年推計と2017年予測~(2017/05/23)

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