ウェブサイトの看板「キービジュアル」の正しい撮影方法(第7回)
ウェブサイトには、さまざまな写真を掲載します。
利用者は文章を読み、写真を見ることで、必要な情報を得るだけでなく、感情が動かされ、実際にお店に行ってみよう、商品を買ってみようという気持ちになります。
第7回では、ウェブサイトの看板となる、キービジュアルの撮影方法について解説します。
お店の「売り」を看板に
利用者がもつウェブサイトの印象は、「3秒で決まる」とも言われています(デザインカスタマイズ:第1回「デザインの方向性を決めよう」※「はじめてWEB」は
サービスを終了しました参照)。そのため、ウェブサイトの中で一番目立つところに、看板となる写真を配置するのが一般的です。
みなさんはそこに、どのような写真を掲載すると効果的だと思いますか?
ウェブサイト全体を通して、「伝えたいこと」や「アピールポイント」はたくさんあります。何枚か撮影した写真を、実際にレイアウトし、比較することで、どれが一番メイン写真にふさわしいのかを決めるのが鉄則ですが、これから説明する「事前準備の工夫」によって、作業がだいぶスムーズに進みます。
撮影前の打ち合わせが一番重要
絵コンテを準備して「仕上がり」を確認
絵コンテといっても、簡単な手書きの絵(ラフスケッチ。撮影ラフ、略してサツラフとも言います)で充分です。それを元に「事前打ち合わせ」をします。これでメイン写真制作の70%が終わったと言っても過言ではありません。
絵コンテを使い、打ち合わせをするメリット3点
- 事前に被写体を引き立たせる為の、撮影小物※ を準備する時間ができ、写真の完成度が上がる
- スタッフ間で共有することにより、「+α」のアイデアが生まれる
- 撮影当日に悩むことが減るので、忘れ物や見落としがなく、スムーズに短時間で作業が終わる
単に写真を撮るだけならとても簡単です。しかし、キービジュアル用の撮影は少し工夫が必要です。
店名やロゴマーク、キャッチコピー、切り抜き画像の貼りこみなど、複数の要素が組み合わさることで、1枚の写真(画)になります。
チェック項目は以下の通りです。
- 店名やロゴマークが入るスペース
- キャッチコピーが入るスペース
- 切り抜いた写真が入るスペース
これらを事前に考え、適正な「間」を空けて撮影するようにしましょう。
撮影した写真だけを見たら、「間抜け」に見えるかもしれませんが、ジグソーパズルのように必要なピースを配置することでメイン写真は完成します。
この考え方は、ウェブサイトに限らず、ポスター、チラシ、DM、ポストカードなど、全てのものに共通です。是非参考にしてください。
※撮影小物とは
- 飲食・・・食べ物の下に敷く布、季節感を出す草花、盛り付ける皿やかご、ザル、お盆など
- アパレルや人物・・・商品を引き立たせるモデルの手配、ヘアメイク、メインの被写体に関連した周辺道具など
- 施設・・・生花や家具など(特に室内撮影の場合、整理整頓し、いらないものを省くことも必要です)
では、実際に見てみましょう。
撮影場所:高松市中心街のカフェ
営業時間:11:00~17:00 と 20:00~26:00
利用者層:学生、20~40代の社会人
撮影意図(店の特徴)は次の通りです。
- ゆったりとした、広い店内(1人当たりのスペースも広い)
- こだわりの椅子やテーブル(特に無垢板のカウンター)
- 大人数でも、1人でも居心地がいいように考えられたテーブルレイアウト
- 深夜2時まで営業
- 21、22時頃から夜カフェとしての利用者が多い(美味しいケーキと飲み物が楽しめる)
- 女性店員がつくる「温かい店の雰囲気」
- 結婚式の二次会など、パーティーでも使用できる収容力をアピール
絵コンテには暖色系と白色しかなかったので、木の小物を入れ写真の中に緑色を加えました。
例えば、クリスマスシーズンに、下のような赤い写真に変えてみるのも、イメージアップにつながります。
真俯瞰からの撮影は、皿やグラスなどの丸い形状もあり、かわいい写真に仕上がります。
利用者が足を止めたくなるキービジュアルは
今回の例で出したカフェの写真は、「食べ物」と「空間」を中心に数パターン撮影しましたが、どの写真がキービジュアル向きかはわかりません。
そんなときは、「アクセス解析」をふまえた考え方が効果的です。
例えば宿泊施設で説明します。
決まった期間ごとに、「料理」→「部屋」→「周辺の美しい風景」→「建物の外観」→「料理人の真剣な調理姿」と写真をかえてみます。
写真を変える前と後で、利用者の滞在時間が長くなったり、利用者の動きに変化がないか注目すると、コンバージョンの達成につながるキービジュアルがなにか判断できます。
この方法をA/Bテストと言います。
データが得られれば、キービジュアル選定に悩むことはなくなります。
仮に料理写真に絞れた場合は、少し季節を先取りするなど工夫をして撮影し、掲載しましょう。
メイン写真に使われなかった写真は、スライドショーにして本文に掲載し、大切な説明写真として活用しましょう。
建物の外観は撮影時刻が大切
屋外での外観撮影で注意することは、太陽光線のあたり方です。
このカフェの撮影状況と対策は次の通りです。
- 玄関は北向きのため、日中は常に逆光
北向きなので太陽光のあたり方を気にせず、明るさや雰囲気で判断しました。
東向きなら午前、南向きなら正午前後、西向きなら午後に撮影すると逆行にならないので良いでしょう。やむを得ず逆光になる場合は「露出補正」を活用しましょう(第4回:「被写体が生きる明るさのコントロール」※「はじめてWEB」は
サービスを終了しました参照)。 - 夜の営業時間がメインのお店
室内の照明がきれいに写りはじめる、夕方ごろに撮影しました。
- 繁華街にある店舗
店の雰囲気とは違うビルが隣接しています。なるべく入らないように撮影しました。
まとめ
撮影に重要な考え方は以下の3点です。
- 何を撮るのかを考え、絵コンテを準備、スタッフ全員で撮影前に「完成イメージ」を共有する
- キャッチコピーや店名、ロゴマークが無理なく入るように「スペース」を考え撮影する
- 「アクセス解析」を利用しどのような写真がキービジュアルになれば利用者が足を止め、長く滞在してもらえるかを知る
今回は撮影前の準備、撮影中の注意点、掲載してから後の考え方について解説しました。
写真はみなさんが心を込めて作った製品やサービスを、一瞬にして利用者に伝える大切なツールです。
慣れるまでは、この一連の流れを参考に撮影する事をおすすめします。
第8回では、お店のスタッフを撮影し、ウェブサイトに掲載する際のポイント、利用者に与える印象や注意点など「人物撮影」について解説します。
このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
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